アカデミーに響き渡る階段を駆け降りる足音。
美術室から音楽室からの移動。
焦りが募っていくがレオンはそれをあえて振り払う。
焦りがミスを招く。
それに嵌まれば嵌まる程クロニカの思うつぼだ。
(冷静に、冷静で居るんだ…セリみたいに)
"クールで立ち向かうんだ"
音楽室に着くとレオンは恐る恐るドアノブに手をかける。
ガチャリ、と扉が開く。
「ここも開けてやがるのか」
レオンが中に入ると音楽家の肖像画がこちらを見ている気がした。
七不思議にもよくある肖像画がこちらを見ている。
アカデミーにもそんな噂が持ち上がっていたのを思いだす。
レオンは辺りをキョロキョロする。
同じパターンならクロニカが何処かに問題が入った封筒を貼付けているはず。
ふと、目に入るグランドピアノ。
真っ黒なそこに貼付けられた真っ白な異物。
それを剥がすとレオンは封筒を開封する。
『次の問いをローマ字にして最初の頭文字を繋げて答えよ。その答えが次の行くべき場所だ。
詠唱
交響曲
テンポ
輪舞曲
歌劇
音符
聖譚曲
行進曲
叙事詩(ユーカラ) YUKARA
※最後だけは大サービスで答えを載せてやったぞ。感謝するんだな。
「あの、野郎!!」
馬鹿にされた文面にレオンは怒りが沸くが今は問題と向き合うのが先決だ。
「しっかし、サッパリわかんねー。曲とか書いてあるから問題は全部音楽用語ってのは解ったけど」
こんな事なら普段から真面目にフランシスの授業を真面目に受けておけば良かったと今更ながら後悔する。
「まぁ、解くしかねーよな。テンポはまんまtempoだな…詠唱って英語だと何だ?歌劇は確かシャロンがオペラだって言ってたな…歌劇はoperaで綴りは良いのか?」
行進曲はmarch、音符はnote
輪舞曲はrondo、交響曲はsyphony
暫くは唸っていたレオンだったがフランシスが普段から使う音楽用語の本を音楽室に置いてあるのを思い出しそれをヒントに問題を解いていく。
「詠唱はaria…っと、あとこの"せいたんきょく"?ってのがわっかんねーよ!」
詠唱は"a"、交響曲は"s"、テンポは"t"、輪舞曲は"r"、歌劇は"o"、音符は"n"、行進曲は"m"、叙事詩は"y"。
詠唱・交響曲・テンポ・論舞曲・歌劇・音符・聖譚曲・行進曲・叙事詩
これをローマ字にしてそれぞれの最初の頭文字を繋げると答えが出るのだが。
聖譚曲だけが解らない。
「えっと…確か、なんか聞いた事あるんだよなー。マロン先生の授業の音楽ゲームの問題で…」
『マロンが個人的にオススメなのはオラトリオ!歌も綺麗で物語みたいになってるんだよー!ちなみに意味は聖譚曲って言うのだー!"』
「オラトリオ…聖譚曲…オラトリオ…オラトリオか!」
聖譚曲を埋めるとレオンは全ての文字を繋げる。
"astronomy"
「あ…アストロノミー?意味はなんだっけな…だけど俺の勘だと次の場所は視聴覚室か実験室なんだよな」
レオンは暫く悩む。
どちらかが正解でどちらかが間違い。
「よし、決めた!」
そう叫んで立ち上がるとレオンは音楽室を後にする。
目の前には実験室へ続く階段と視聴覚室に続く廊下。
レオンは階段を見向きもせず視聴覚室がある廊下の方を歩いていく。
同時に時間を知らせる鐘が再び鳴る。
−タイムリミットまで
−あと、3時間。
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バトル編4話。
今回は意外に頭を使いつつ調べたら解る問題でチャレンジです。
音楽用語は本来ローマ字を日本の言い方にすると響きや違った言葉になり好きだったりします
解説を少し入れると問題にした最後のユーカラはアイヌ語の言葉で叙事詩という意味になります。
持っていた辞典に載ってましたもので(笑)。
あと一日で残りを更新出来るか…ヒヤヒヤな所。
あと2話…頑張って載せます。
バトル編おまけ話については4月に入ってから載せますね。