『今日も1日お疲れ様でしたー。カンパーイ!!』
『かんぱーい…』
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別に来たくはなかったけど、暇だったし酒飲みたかったし…
てか店長の隣ってマジだるい。
飲み会で気を遣うとかあり得ない。
(※普通はそういうもんです。)
てか周りの人たちとほぼ面識ないし。マジ来なければ良かったかなー。
とか何とか頭の中で愚痴はいてると、目の前の男の子と目が合った。
茶髪で前髪長くて、黒いスボンにシャツとベストを合わせて、大きな十字架のネックレスをしている。
うん、とてもチャラそう。
とりあえず愛想笑いくらいはしてやる。
にこ、っと笑うと同じように笑顔を返された。
その後その男の子とは会話も無いまま、飲み会は終了した。
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『あー、疲れた…』
家に帰り着くなり、ドサ、っと荷物を放り投げ、化粧も落とさないままベッドにダイブ。
化粧落とさないと肌荒れるなー、でも眠いなー、まぁ2時間くらい仮眠とろー。
結局起きたのは次の日の朝。
目覚ましはかけてなかったけど、バイトには余裕で間に合う時間。
とりあえずシャワーを浴びて、化粧をしなおす。
化粧をしてる時が一番楽しい。ブスがそこそこの顔になっていく様を見るのはなかなかの感動を覚える。
むしろ化粧じゃなく、芸術じゃね?
お母さんにも褒められたし。
いつものようにメイクばっちりの顔で出勤すると、事務所に昨日の男の子がいた。
『あ、お疲れ様です。』
『お疲れ様でーす』
語尾伸ばすとか、ますますチャラいわ。
他に話すこともないので、挨拶もそこそこに私は売場に出た。
その時の私はまだ、この挨拶のやりとりの意味を知らなかった。