小十郎×佐助
過去作品
…冬の時期に書いたから季節外れ過ぎますごめんなさい
学パロ(教師×生徒)
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段々と冬も終わりを迎え、暖かくなってきた頃。
まだ、寒がりの俺にはキツい寒さで。
「うぅ…誰だよ…そろそろ暖かくなるとか言ってたの…」
久々に小十郎さんと一緒に帰れると思って外で待ってたケド…。
(寒過ぎっ!!)
「…駄目だ…凄い寒い…」
歯をがちがちと鳴らしながら、薄闇に包まれ始めた空に白い息が出る。意味も無く駄目だ寒いとぼやきながら佐助は外で小十郎を待った。
足はがくがくと笑い出し、鳥肌が凄い。
正直、何ともみっともない状況だ。
だが、小十郎と言う人間はそんな姿は気にしない。
「…オイ…何で外で待ってんだテメェ…」
「あ、先生」
振り返れば直ぐ後ろに小十郎が立っていた。佐助はヘラリと笑い、赤くなった鼻をすん、と鳴らす。
「寒かったろ」
「まぁね〜」
すまない、と言った小十郎に燈色の髪を撫でられ、佐助はくすぐったそうにその手から逃げた。
いや、元はと言えば外で待っていた自分が悪いのだから、小十郎の気にする様な事ではない。なのに謝ってくる彼にとんでもない!と告げ、佐助はすっかり暗くなった夜道を歩き出した。
(…この人どんだけ優しいんだよ)
自分の勝手で外で待っていたのに。
優しさが嬉しくて、何だか体が温まる。
先程より温かい体になり、佐助は照れくさそうにはにかんだ。
「……オイ」
「ん、何?」
ほくほくとした気持ちで振り返れば、眼鏡の効果もあってか、少し柔らかく見える無表情と視線が合った。
「手、寒くねぇか?」
「あ うん、大丈夫!何かそんなに寒くなくなったし」
「…そうか」
「……?」
そのままの無表情でコートのポケットに手を入れた小十郎は、歩く事に集中するかの様に歩を進めた。佐助はそれを追う様にちょこちょこと歩き出す。
そしてふと、ポケットに入れられた小十郎の手に視線を投げる。
(…あれ?)
手袋をはめていると思っていた小十郎の手には、何もはめられていなかった。然も何故か片方のみ手袋をはめていなかったものだから、佐助は頭を捻る。
何故、片方のみしないのか。
「………あ…」
「…どうした?」
「い、いや…」
(…この人…!)
手袋を片手だけはめていない姿。そして先程の投げかけられた言葉。
『手、寒くねぇか?』
(…それってつまり…)
手でも繋げば、温まったのではないかと言う事。
その考えが浮かんだ瞬間、体は恥ずかしさで更に熱くなるばかりで。
(…寒いって…言えば良かった…)
そっと俯いて。
きっと赤くなっているであろう顔を見られない様に歩いて。
早く、手が冷えて欲しいと願った。
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