生存確認
 千ゲン(dcst)
 2020/8/29 01:37

大きく開いた口からこぼれる吐息が、快楽によるものなのか、苦痛によるものなのか。何もかもが初めてで右も左も解らない俺に、それを見極めるのは困難で。内腿を伝う液体に色が付いているかどうかさえ、丈の長い上着に遮られて確認する事も出来ない。

「……はいっ…、た?」

脚の上に乗られ、その上で天を仰がれては表情をうかがう事も不可能。発する声は普段よりか細く甘い気がするが、そもそもがエンターテイナー、そのくらいの演技はお手の物だ。

「ゲン」

ややこしい駆け引きでこいつに挑んだ所で、勝ち目などある訳もない。汗で貼り付く髪を避け、上気した頬に手を這わせる。途端に肩を跳ねさせ、逸らしていた顔がこちらに向けられると、うっすらと涙の幕を張った瞳と視線がかち合った。

「な、…ぁに、千空ちゃん。そんながっついた顔しないで…」
「…テメー…」

俺ががっついた顔をしているというなら、自分はどんな顔をしているつもりなのだか。
腰を浮かせようと力を入れられた脚の肉に、添えた指を沈ませる。もう思い通りにはさせない。

はじめて同士だ。
はずかしいのもこわいのも、一緒に味わおうじゃねぇか。

c o m m e n t (0)



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