アサメタウン
10代トレーナー、旅立つ。
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二次創作ブログサイト。気ままに更新なう。
アサメタウン、これから花開く町。朝日が昇った木の上ではヤヤコマ達がぴぃぴぃ鳴いている。
とある一軒家の二階、奥の部屋の窓際のベッドの上でエネコが可愛らしく鳴いた。その声に布団から顔が覗かせ、少年―サクラは橙色の瞳を眠そうに瞬きした。眠気を我慢しもぞもぞと布団から這い出ると、みゃう、と足元でエネコが鳴いた。
母の手持ちの一匹であるこのポケモンは、自分が産まれてからずっと目覚ましの代わりをしてくれていたが、今日は少々寝坊してしまっていた。昨日の夜は興奮して寝付けなかったのだ。なんたって今日は……。
「おはよ、エネコ」
「みゃう」
ぼさぼさになった水色の髪を梳かして整えながら、ふわわ、と欠伸をすればまた声が聞こえた。今度は外からだ。寝ぼけ眼で窓を開けたサクラは、庭を見る。外に立って手を振っていたのは、幼馴染の二人だった。
「サクラー」
「おはよー、準備できたー?」
「はよぉ、今起きたぁ」
「もー、出発時間になっちゃうよ」
「ふぁーい、今行きますぅ」
「はーやーくー」
サクラはむにゃむにゃ言いながら服を着替える。毎年、十歳になった子供たちの中から数人が選ばれてポケモンとともに旅に出るのがこのカロス地方の習わし。今年は自分を含めて三人と聞いている。今日は隣町でポケモンと図鑑を受け取る予定だ。旅用の動きやすい服に着替え、肩掛け鞄をチェックし帽子をかぶる。鏡の前でビシッと決めると、エネコが嬉しそうににゃあと鳴いた。それに気を良くしエネコを抱え1階に下りる。キッチンでは母が朝ごはんを作っていた。
「おはよ、母さん」
「おはようサクラ。ちゃんと準備できた? 外で二人が待ってるわよ」
「大丈夫。しっかり準備しといた」
母と話しながら朝食を取り、出かける準備をする。元エリートトレーナーである母は、何を準備すればいいか心得ていた。今日はついにポケモントレーナーとしてデビューの日。幼馴染と一緒とはいえ、旅に出るのだ。10歳になったばかりのサクラにはワクワクが止まらない。ついでに欠伸も止まらない。
これ以上外に待たせるのは流石に悪いと思ったサクラは、パンを齧りながらドアへ向かった。
「いっへひまーふ」
「食べながら歩かないの! いってらっしゃい」
ドアを開け外へ出れば、幼馴染の二人が庭のポケモンと戯れながら待っていた。長い桃色の髪を耳の上で左右にお団子にした水色の瞳の少女―カフカは立ち上がって腰に手をやり、キッとサクラを睨んだ。
「遅い! 約束の30分前にはちゃんと起きなさいって言ったでしょ!」
「ごめんなさい、カフカママ」
「ママじゃないもん!」
「まぁまぁ……」
くすくす笑う黒髪に赤い瞳の少女―レイヤは戯れていたドサイドンに手を振って、二人のそばに寄りぎゅっと手を握って引いた。サクラの家の庭から道へ出て、町の出口へ向かう。
「早く隣町へ行こ、そこでポケモン預かってもらってるんだ」
「僕らの最初のポケモン?」
「そうだった! 早く行こ!」
「うん」
レイヤを真ん中にしたまま手を繋ぎ、町の中を駆ける。通りすがりの人々はその様子に微笑みを浮かべている。アサメタウンを駆け抜け、アサメの小道を走る。短い街道を過ぎると到着するのはメイスイタウン。アサメタウン出身の3人にとってメイスイタウンは、お使いや遊びに来る程度に親しんだ街だ。サクラとカフカは慣れた様子で外に設置されたテーブルに駆け寄り、各々座る。レイヤは預かってもらったポケモンを取りに、近くの店へ入って行った。
「楽しみだねぇ」
「3匹から選ぶんでしょ? タイプも3つ?」
「そう、水、炎、草の3つ」
「サクラはどれにするの?」
「うーん、どうしようかな」
2人で考えていると、レイヤが店から戻ってきた。手に持った大きな箱をテーブルへ置き、ふぅと息をつく。ごそごそと箱からボールの入ったケース、3冊の本、3つの端末を取り出す。興味津々で眺めるサクラと本をぺらぺらめくり始めるカフカ。レイヤは箱をテーブルの下に置いて、さて、と話を始めた。
「今日はついにポケモンをゲットする日だね。このボールの中にポケモンが入ってるから、みんなで選ぼうよ」
「1回みんな出しちゃわない? よく見て考えたいしさ」
「いいね、出しちゃおう出しちゃおう」
3人はそれぞれ適当にボールのボタンを押した。中から飛び出してきたフォッコ、ケロマツ、ハリマロンはテーブルの上に見事に着地し、3人の新米トレーナーを不思議そうな顔で見上げた。
「ふぉっこ!」
「げこ」
「りまー!」
「わ、かわいい!」
「きつねと、かえると……こいつなんだろ?」
「はりねずみとか?」
「りーま!」
「あ、ポケモン図鑑あるよ、はい」
「なるほどその手があったか」
サクラはレイヤからポケモン図鑑を受け取り、ハリマロンにかざす。起動した図鑑は自動的にハリマロンを読み込み、データを表示した。
「ハリマロン、いがぐりポケモンだって」
「栗なのか、なっとく」
「この子は?」
「フォッコ、きつねポケモン。その隣がケロマツ、あわがえるポケモン」
「うーん、迷うね」
「んーわたしはフォッコかなぁ」
「僕はケロマツ」
「じゃあオレがハリマロンだね」
「けってーい。よろしくねフォッコ!」
3人はそれぞれに決まったポケモンを抱き上げて挨拶する。ポケモン達も嬉しそうに返事をした。こうして、ここに新米トレーナーが3人誕生したのである。
新米トレーナー紹介
サクラ
水色髪に橙色の瞳を持つ少年。両親ともにエリートトレーナー。レイヤ、カフカとは生まれた時からの幼馴染。ずっとそばに誰かがいたのでいざ1人になるとすごく不安になる。僕っ子。
レイヤ
黒髪赤瞳の男の子っぽい少女。1人で旅しても平気ではあるが、3人でわちゃわちゃするのも好き。オシャレよりポケモンバトル派。オレっ娘。
カフカ
桃色髪に水色瞳の少女。1人なんか絶対いや。何が何でも2人と一緒にいたい。いつかポケモンコンテストに出るのが夢。ポケモンバトルよりオシャレ派。わたし、時々あたし。
性 別 | 女性 |
誕生日 | 6月10日 |
系 統 | 普通系 |