ダリが没する2年前の1987年にBBCの制作によるドキュメンタリー。

シュールレアリスムからみたダリは、運動参加から除名までのシュールレアリスム期の短い期間のみで、運動にダリが持ち込んだもののみが顧みられ、その後の言動はあまり語られない。
ここでは、ダリのドキュメンタリーということもあり、幼少期から晩年までのダリを大まかではあるが一括できる。

ダリへのインタビューで、ブルトンに除名された後を「私こそシュールレアリスムであった」と言っているのはおもしろい。
彼は、合理的なものや文化的なものの否定のみ表現し続け、シュールレアリスムに迎え入れられたのだが、ブルトンの信仰するスターリンをもそれで描いた結果、侮辱と捉えられ除名されてしまった。
インタビューでダリは「私は政党への参加はしない」と言っているように、政治的関与のないシュールレアリストであったと言えるかもしれない。(シュールレアリスムと政治は切り離せないが)

また、ダリの物質的で鮮明なイメージやガラ(妻)への信仰的な愛は、幼少期の印象が及ぼしていると見れフロイトの精神分析が思い出される。

なかなかの変人っぷりで、そこに見られる信念には恐れ入る。



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