檻の中で泣きじゃくる私に
貴方は一度だけ会いに来た
錆びた鉄格子の向こうで
優しい声が響いた
今の事じゃなくて、未来のことを考えようよ
君がここから出られたら、まず何をするか
実は、見せたい物があるんだ
詳しい事はまだ教えられない
でも僕が連れて行くから
ちゃんと場所を覚えておくから
君はその日の事を考えて、ここに居ればいい
きっとすぐにやって来るよ
そう遠くはないはず
雨の日も風の日も
貴方の言葉を忘れる事なく待ち続けた
喉が枯れて、手がかじかんで
それでも待ち続けた
けれど何も変わらなかった
私は酷く不器用だから
せっかく貴方が教えてくれたのに
何も出来なかった
また、何度も涙を流した
流れた涙は頬を伝って、地面に落ちて
綺麗な綺麗な、花を咲かせた
そっか、やっと分かったよ
このままではいけないってこと
変わらないといけないってこと
だから貴方はそうやって
私を待っていてくれたんだ
きつい手錠を解いて
重い足枷も外して
綺麗な姿じゃなくてもいい
ここから抜け出そう
ほら、出口で待つ貴方は
最高の笑みを浮かべている
早く家に帰って、喜びを分かち合いたいところだけれど
少しだけ我慢してほしい
そう言って私の手を引いた
林を抜けて、森を抜けて
広い広い草原を走って
日が暮れていくのも気にせず
息をすることも忘れそうになりながら
もうすぐだと貴方が叫んだ時
私の目にはもう映っていた
ねえ
この景色を君と見ることが出来たなら
もう何も
伝える必要は無いよね
2013-4-14 14:24