ちょっと怖いお題バトン
ちょっと怖いお題バトンです。
抽象的でも、そのままでも。文でも、絵でも。
お好きなようにお使い下さい。
かなり使いづらいかもしれません。
桜の下には
死体があるのは知ってる?
じゃあ、どうして死体があるのかは?
ふふふ、桜はね、とっても寂しがり屋なの。ずっと傍にいてくれる人を探して誘拐するけど、桜の寿命に付き合える人なんていないでしょう?だから、桜に連れ去られて死んだ人は桜の下で眠るのよ。
え、なんでわかるのかって?
ふふふ、ねぇ、貴方の目の前にある樹、なんだかわかる?
そう、桜。
私ね、とっても寂しがり屋なの。
ねぇ、私と一緒に遊びましょう?
永遠に
かごめ、かごめ
小さな子供が遊ぶ声。 真ん中にうずくまり顔を伏せる女の子の周りを、子供がぐるぐると回る。
籠の中の鳥は
唄の中から聞こえる、すすり泣きの声。回っている子供は悉く笑っているのだから、泣いているのは真ん中の女の子だろう。
何時何時出会う
しばらくその様子を眺めていて、気づく。子供の顔に見覚えがある。あれは、
夜明けの晩に
回る子の一人がこっちを見て、ニヤリと笑う。それは、昔自殺したクラスメートであり、あの《立場》にいたのは本来なら私の筈で、あの子はすすり泣く《立場》だったのに。
鶴と亀が滑った
あの子が自殺した日に、また遊ぼうね、と書かれた葉書が配達された事を思い出す。迎えに来たのか。突然怖くなり、一歩後ずさると、何かにぶつかった。強い力で止められているように、後ろは、振り向けない。
「後ろの正面、だあれ?」
トンネルの向こう
見慣れた筈の景色はなく、見慣れない風景がひたすら続く。
トンネルを抜けた細道の先にアパートがある筈なのに、そんなものは全くなくて、田んぼに挟まれた畦道と案山子、それに留まるカラスだけがある。
なんで、と振り返ってみるも、トンネルはもうない。
「え、」
おい、此処、どこだよ?
「あれやぁ、あんた、迷い込んだだかね」
声をかけられて、漸く小柄な老婆がいることに気づいた。
「あの、此処、どこで…」
「この道をずーっと真っ直ぐ行くと竹藪があるで、そこに入ると道が三つあるだよ。右の道を進みなね。くれぐれも、竹の言う事に耳貸しちゃあいけんよ。そんで、此処の食いもんも食っちゃいけん。わかったね?」
「は、はぁ…」
圧倒されて返事をしたら、老婆はいなくなった。訳がわからぬまま言われた通りに進む。
立ち去った後で、いなくなった筈の老婆の声小さく響いた。
「右に進めば、またこの場所に戻ってくるからねぇ」
片道切符
今時は三途の川の船も渡し舟っていうもんでなく大型の漁船のような見た目をしている。船の賃金は相変わらず六文で、船着き場で切符を買って乗船する。現世から黄泉への、文字通りの片道切符だ。
このあたりはまだ仮死状態のような人間も来るから現世でも知られているらしい。この間観光気分で歩き回ってて奪衣婆とか船着き場の鬼にど突かれてた人間を見かけた事がある。さっさと現世帰れよとは思った。
あー、このバイトは給料高くないけど他よりはだいぶ楽だよなあ。賽の河原の積んだ石崩すバイトしてる奴は最近の子供ウゼェって嘆いてるし。
花畑を徘徊する奪衣婆と赤い空を眺め、亡者の叫びを聞きながら切符を切って船を見送る。
今日も黄泉は平和です。
さよなら、明日
私は今日、死のうと思います。
だから、明日を目にする事は無いでしょう。
理由を聞かれても特に思い当たる節がなかったので、こんな人生を憂えた自殺という事なんでしょう。
そんな理由で、と思うかもしれませんが、私にはとても重要な事なのです。まぁ、理解はされないでしょうから、もう疲れたんです、と意味深な言葉にしておきましょうか。
お父さん、お母さん、先立つ不幸をお許し下さいと紋切り型な文も一応書き記しておきます。書いておけば、多少心証が良くなるでしょうからね。誰の心証なのかは、私にもわかりませんが。
さあ、疲れてきたしそろそろ筆を置こうかと思います。
さようなら明日。もう会うことは無いでしょう。
意味深に書いておいたし、誰か勘違いして色々問題起こしてくれたら面白いなぁ。
壁一面に書かれた血文字の遺書に満足して、パタリと少女は倒れ込む。噎せ返るような臭いの中で紙のように白くなった肌の少女は、それでも満足そうな表情だった。
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