幼い頃。


俺には
とあるトラウマがあった。





幼い頃に読んだ

「ノンタン」

というキャラクターの絵本だ。


保育士の友人の話だと今現在でも保育園に その絵本はあるらしいので、年齢層問わず読者のみなさんもご存知かと思われる。



その絵本の中のひとつのお話。


白猫の男の子、ノンタンが
風船ガムを食べていたのだが、

ノンタンは そのガムをごっくんと飲み込んでしまうんだよ。



すると
ノンタンのお腹の中で 風船ガムは ぷくーっと膨らむんだ。
お腹が風船のように大きく膨らんでしまったノンタンは


そのまま 風船になってお空に飛んでいってしまうというお話。





俺は怖かった。
だって普通に考えて、風船になって空に逝ってしまえば死ぬっしょ?高いとこ怖いし!

その絵本を読んでから、俺はガムを飲み込めなくなった。


小さい頃はよく友達と駄菓子屋に行くものです。

もちろんそこで友達とガムも買ったものだが

ガムの味がなくなると 友達は ガムを飲んじまうんだよ。


俺にとっては


ガムを飲めるヤツ↓
超すげえ勇気ある


という方程式が存在していた。


そんなタモリ少年も成長するにつれ、風船ガムごときで人間が空に飛んでいくわけがないという事実を知る。



それでもいまだに俺はガムを飲むことに抵抗がある。

三つ子の魂百まで
という言葉が世の中にあるのも頷ける。





あれから二十数年の時が経った。

風船ガムを飲んで空を飛ぶことを恐れていた俺はいま

自由に空を飛びたがっている。


なあ たもちゃんよ。

いまこそ ガムを ごっくん してみる時なんじゃねえか?



そう呟きながら
俺は 今日も
生きている。