↓創作
ただいま〜、と間延びした声が小さく聞こえた。差し込んでいたイヤホンをはずし、プレイヤーを止める。殴り書かれた用紙の上にシャーペンを置いて電気を消す。速やかに、かつ無駄なく。自室を後にして声の主がいるであろうリビングへ向かう。本能的第六感が警報を鳴らしているのを気の所為だと必死に紛らわせた。
「親父、おかえり。」
やはり声の主であった親父は酒が入っているらしく、上機嫌におー、ただいま、と言葉を返す。それを適当にあしらいながら、すぐさまそこそこ広さのあるリビングを見渡した。そして、本能的第六感の警報が的中したことを思い知る。いや、知らなかったことなど、寧ろ、ない。
思わず、息をするのを忘れた。無性に口内が渇いた気がした。はッ、と息を吐き出すついでに舌で唇を舐めて潤す。そして、ゆっくりと親父の方を見つめた。
「お、親父。アレは、ソファーにいるのは、・・・誰?」
頭の中の警報音は鳴り止むどころか、一層酷くなるばかりだ。嫌な汗が流れているような気がする。そんなことも露知らず、チンしたほかほかの枝豆を口に運ぶ親父はあぁ、と忘れていたかのように話す。
「拾ってきた。」
ガッテームッ!!
頭を抱えて叫びたくなった。それをしなかったのは、ほんの少しの理性が片隅に残っていたからで、なんとかギリギリのラインで平常心を保つことが出来た。
誰しも酔うと、色々な"癖"が出てくる。キス魔もそうだし、すぐゲロる奴もそう。泣き上戸もしかり。それがうちの親父の場合、何でもかんでも拾ってくるのだ。今まで、壊れたテレビに娘なんていないのにボロボロの人形、生き物なら犬、猫は当たり前に拾ってきた。遂に、人を拾ってくるとは。いつかはあるかもしれないと危惧してはいたが、まさか現実になるとは思いもしなかった。酒とは、本当に恐ろしい。二十歳になっても、俺は絶対に飲まない。
もぐもぐと美味しそうに枝豆をあてに酒を飲み直す親父を小声で責め立てる。
「"拾ってきた"って、どういうことだよ。アレは、明らかに"人"だろッ。普通、"人"は拾わねーよッ!」
「いやね、帰ってたらさ〜。ゴミ置き場にいたもんで、あんまりにも可哀想だからさ〜。連れて帰ってきちゃった。」
「連れて帰ってきちゃった、じゃねーよ!そんな軽いノリで連れて帰ってくんなッ!」
「あの〜、えっと、何だっけ?・・・あ、そうそう。"困ってる人は助けなくちゃいけない"でしょ?父さん、樹に教えなかったっけ?」
「そりゃあ、そうだけどッ!つーか、困ってるかわかんねーじゃんッ。」
くッそ、らちが明かない。アルコールが回り、思考回路がおかしい親父と話をしたところで何も解決しない。ならば、せめて助けを求めようと母へ話を振る。
「母さんも気になんねーのッ?」
「え、何が?」
「アレが、誰なのか、とかさッ。」
「ううん、別に。」
酒が一滴も飲めず、アルコールに犯されていない筈の母も気に止める様子はない。それどころか、怪我してるみたいだから、手当てしておいてあげて、と言ってくる始末。
「嫌だよ!母さんがすれば、いいだろッ。」
「母さんはお父さんにご飯を作ってあげなきゃなんないの。」
いや、つまみの間違いだろ。
ようやく、ここには誰も俺の味方がいないのだ、と感じた。やはり、いつだって味方は兄、一人だ。しかし、その兄も家を出て行ってしまっているので、今はいない。
足音を立てず、そっとソファーを覗き込む。寝そべるソレは全体が薄汚れ、顔がわからないくらいボコボコに腫れていた。赤黒い色が所々についている。ムラなく染められた美しいであろう汚れた金色に耳に空いたたくさんの空洞。そして、今までのそれら。全てをひっくるめて考えると、どうやったって辿り着く答えはひとつしかない。
「不良じゃねーかぁああ!!」
親父が今までで一番最悪なモノを拾ってきました。
っていうネタ。←
急に夜中思い付いたんだケド、これって結構面白いよね。
そんでもって、結構美味しい(腐的意味合いで)←
マジでこんなことになんないかなぁー。(ならねぇよ)
ちなみに、ボコボコで顔の原型がわかんないくらいの不良くんって可愛くないですか?←
そうです、かぐろは不良くん好きです。
そして、痛め付けられるの好き(しかし、かぐろは決してMではないし、Sでもないつもり)←
やらなきゃなんないこと、なーんもやってねーや。
春はやっぱり平和ボケする(^q^)←
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