――――――――――――――――――
夕影鳥(ほととぎす)が頻りに鳴き続けている。それがどこかしら痛ましい。痛ましいほどに、澄んでいる。
平野啓一郎「一月物語」
――――――――――――――――――
◇途順 ?
◇踵(くびす)
足の裏の後部。かかと。きびす。
◆踵(くびす)を返・す
引き返す。くびすを回(めぐ)らす。きびすをかえす。
◆踵(くびす)を接・する
@前後の人のかかとが接するほど、次から次へと人が続く。くびすを接(つ)ぐ。きびすを接する。
A物事が続けざまに起こること。
「珍事、続々として−・せしかば」〈田口・日本開化小史〉
◆踵(くびす)を回(めぐ)らすべからず
かかとをめぐらすほどの時間も無い。すぐある事態になってしまう。
◇卒然・率然(そつぜん)
事が急に起こるさま。だしぬけ。突然。しゅつぜん。
「−として姿を消す」
◇穹蓋(キュウガイ)
おおぞら。天空。
◇赤酸醤(あかかがち)
ホオズキの古称。あかがち。
◇炯炯・烱烱(けいけい)
目などが鋭く光るさま。
「眼光−」「そう云う時は翁の−たる目が大きく(みは)られて」〈鴎外・妄想〉
◇淋漓(りんり)
@水・汗・血などが、したたり流れるさま。
「鮮血−」「雨−として玻璃(ガラス)に滴(したた)り」〈蘆花・不如帰〉
A勢いなどが表面にあふれ出るさま。
「墨痕−」「慷慨−たる郷人の漢文もあらん」
◇慷慨・概(こうがい)
@世間の悪しき風潮や社会の不正などを、怒り嘆くこと。
「社会の矛盾を−する」「悲憤−」
A意気の盛んなこと。また、そのさま。
「岸本の心は−な口調を帯びた僧侶の説教の方へ行き」〈藤村・新生〉
◇非憤(ひふん)
悲しみ、いきどおること。
「−の涙」「それらを二重に−する気持で」〈宮本・伸子〉
次からは場面転換。
話題:今読んでる本