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瀬八 来耶


†名前
瀬八 来耶
(せや くるか)

†memo
とても明るい元気な少女。ユイカと仲のいい子。中学生の時にユイカのクラスに転校してきてから、クラスは奇跡的に今までずっと一緒。恋愛方面の話が大好きで、自分も恋愛したいがなかなか好みの男がいないらしい。男は外見重視派。

誰問わず声をかけるタイプで人見知りは全くしない。友達も多く、流れ流れに生きているタイプ。新商品や期間限定などのものが大好きで、よくコンビニかなんかで買っている。食べ物に関しては結構詳しく、お菓子づくりや料理も好き。
ただ、手芸や勉強は苦手。運動は好きだけど並。元気なのでよく走っている。

容姿は並。軽く化粧をしていて、髪はセミロングの真ん中わけ。高い位置に上の方の髪をかるく二つに結っている。笑顔が可愛いと言うより眩しい。
腕にはブレスレット類をじゃらじゃらつけていて、カバンなんかにもでかい人形や長いチェーンなどをつけている。スカート短めで白のハイソ。爪には薄いピンク色のトップコートを塗ってある。



act.Yー転校生

広げた傘、ぶつかる雫。
今日は憂鬱な雨…。

空を見上げれば薄黒い雲。でも嫌いではない…。傘は邪魔だけど傘も嫌いではない。



片手に傘、もう片手には…ペンダント。結局下げてしまった…不思議なペンダント。
昨日の事が頭をよぎる。

いつもの道も雨や…そうペンダントを付けている気分のせいか、何故か少し…変わって見える。
傘の生地から覗く道路、同じ制服の足が見える。



「ユーイカっ、おっはよー」
どん と手をぶつけてきたのは同級生の瀬八 来耶(せや くるか)。
いつも元気な明るい子…中学の時に転校してきてから一緒。只今恋愛をしたくて恋愛対象をさがしているらしいが、うちの学校には好みのタイプがいないらしい。ちなみに男は外見が第一な思考の持ち主。

「おはよ、元気だねー来耶は…」
「うん
まぁねー♪今日はなんかいい事がある気がするの!占いにも書いてあ…」

「……?」

楽しそうにいつものように一人で喋りまくる来耶。だけど突然私のほうを見て固まった。目をぱっちり開いたまま歩いてた足までとめて。
「…どした?」
思わず私も止まった。来耶の傘の中を覗きこむと、来耶は私の肩にポンと傘の持っていない方のあいた手をのせ

「…なぁんでおしえてくれないのーっ!」
「……は?」


「彼氏?彼氏?
彼氏でしょーそのペンダント!」
にこーと楽しそうにまた口を動かし始めはしゃぐ来耶を私は冷めた目でみていた。彼氏…ってあなた…。最近の奴はみんなちょっと何かあるとすぐそうやって恋愛に結びつけて まぁまぁまぁ…。

我ながらちょっと婆臭さを感じつつあまりの呆れにため息がでた。

「あのね…私がそんなの作ると思う?男には興味ないしーむしろ見ている方が素敵だわ」

一瞬にして頭の中で男同士の像をした私はもう末期だと思った。そもそも自分が恋愛するなんて思えない。
自分の思い通りに行かないのは大嫌いだし、男ならやっぱり…ロマンチストでナルシストでそれが似合っちゃうぐらいの器じゃなきゃね。
まぁバーチャルな話しだけど。

「だってー珍しいじゃん?それ買ったのー?ユイカがそーゆー趣味なんて知らなかった。」
「変な言い方しないで。…貰ったの。」

またスタスタ先を歩き始める私。えーつまんないーなんてブーイングしながら来耶が後ろをついてくる。

また
小走りで近づいてきた来耶が私の顔を覗き込んできた。ニヤニヤしてなに企んでんのか考えたくないような顔で…


「…彼氏?」
「しつこい。」
ぐぐっと顔を押し返してやった。
“カミさま”から…なんて言いたくないし、言う必要もない。

今日の登校はしつこいほどペンダントは彼氏からでしょと言う固定概念に当てはめられそうになりつつ終わった。
もう学校につく前につかれちゃったよ…朝から本当に元気だよね来耶は。
まぁ…長所であり短所であり…ってとこかな…。

そんなこんなで見慣れた教室。あーあ掃除してんのー?なんて思うくらい汚い黒板。
………が…今日は綺麗…。ちょっと驚いて立ち止まった。

「…ごめん…どいてくれるかな…?」
入り口で黒板をみて固まってた私に後ろから声をかけてきたのは花瓶をもった縁大 澄清(えにしひろ すみきよ)くん。

「あ 澄くんおはよー!」
にっこりハイテンションな来耶がつかさず挨拶して、少し困り気味に縁大くんにおはよ…とか返されたりして。
ごめんという間を逃したけどとりあえず道をあけた。
「…今日縁大くんが日直かぁ…だから黒板が綺麗なんだ。」
縁大くんは生真面目で結構神経質な性格。花瓶をもってるあたりから、日直は毎朝花の水換えをしなきゃいけないから日直だってわかる。縁大くん日直の時は一限の先生も結構機嫌がよくなったりする。
やっぱりなんでも綺麗が一番だよね。



なんて事はどうでもいい。
とりあえず、席についた。ホームルーム始まっちゃうし。

私がつく時間は毎日ギリギリ…だってさ、ゆとりがあるのってなんか好きじゃないんだもん。どーせ早くきたって何もしないし。
そういえば、教室に来るまでにも何回かペンダントについて声をかけられた。
やっぱり目立つかなぁ…なんてペンダントを見てると毎日聞いてるチャイムがなって、先生がぴったり入ってきた。
月曜だって言うのにダルいな…雨だし。
唯一いいのはやっぱり黒板が綺麗な事かなぁーなんてね。


つまんなそうに頬杖ついて窓の外を見る私…。薄暗い空はずっと向こうまで続いてる。窓の外見るの好きなんだよねーでも窓際二番目。
いつも隣の席の子見てるなんて思われてたら大迷惑だな とか考えるけどやっぱり癖なのか外はみちゃう。

いつも違う事を考えて先生の話しなんか聞いてないけど、周りが妙にざわめいた。思わず教壇に立つ先生を横目でちらりと見る。
すると隣の席の守夜 馨(かみや かおる)くんが私のほうを見て
「転校生だって」
っとにっこり笑った。

「転…校生……?」
守夜くんの笑顔を見ながら、やっぱこの子は受よね…!なんて忌々しい事を考えつつ気になった単語を繰り返した。

この時期に?変なの。
転校生って言う展開は確かに萌るけど、実際はどうって事ない行事なんだよねー小説とかアニメとかだったら転校生は不思議な力をもった人とかさぁ少女漫画的にはイケメンとか金髪のハーフとかがベタだけど、現実はなんかちょっと変わり者っつか癖のある人?とかだったり女の子だったら嫌われるタイプか気が強いタイプ。展開的に弱気でけなげな可愛いってのは無い。男だったらくそワックスバリバリの奴か真面目でひょろいとかさえない奴か、気がよわそうな奴か…ともかく女の子きゃー!みないなのは絶対に…


教壇を見つつ“転校生”と言う単語だけど頭の中でぐるぐる解析していた私はドアの開いた瞬間、頭が真っ白になった。

「…あ………」













有り得ない…ッ!!!!!








バッと私はすぐに机に伏せた。
なんなのなんなのなんなのなんなの…なにあれ…なんなの!!
ききききき金髪…!!白い肌、パッチリとした二重、通った鼻筋、薄い唇、しかも………青い目!!!
制服がなんか別のものに見えるぐらいの今までに見たことのないようなルックス!!変、気持ち悪い!!狂ってる!!!!


ゆっくり私はまた顔をあげた。綺麗な黒板なんかもうすさんでみえちゃう。
目の前に非現実的な生物がいる…一瞬パニックになったけど、私はれ…冷静でこそ私なんだから…こんなのにおどろいちゃ…

「……宇碕昴 懐時(うさきすばる かいと)です。よろしく。」
にこりと笑った王子様キャラ。
………しかも…び…び…美声!!!しかもなんてへんてこな名前なの非現実的過ぎて凄く萌える…

クラスの女子なんてあまりの彼の格好良さに黙りっぱなし。私は一人でニヤニヤと金髪少年をみていると彼は前のほうの席に座っちゃった。私は後ろだし…結構遠い…。
ううん、アレとはどーせ関わりなんかもたないだろうし、ここはベスポジよ!!
なにしろ宇碕昴くんは窓側の前から二番目!私の席からは見やすい…!!宇碕昴くんも受!!いや意外に鬼畜とかでも…ってそうじゃなくて…。
でもまって!!宇碕昴くんの隣って…あの…くっつき魔の龍介じゃない!!

そうねじゃあ龍介が普段からくっつくけど実は裏では受で宇碕昴くんが黒い黒い腹黒鬼畜攻なんて言うのも…!!って…だから違うんだってば…。


なんだかんだ考えてるうちに朝の短いホームルームは終わってた。
案の定、宇碕昴くんの席の周りには女子が山盛りであの容姿だもん。男子も混ざってる。噂なんて広まるの早いし、隣のクラスから、違う学年の人達までもがうちの教室わざわざ覗きに来てたりと、教室は大賑わいで…相変わらず私は自分の席で頬杖をついている。

来耶だってあの山にいるんだろうなぁ…なんて思いながらまた窓の外をみる。


「雨…やんでる。」
なんとなくみればまだ曇ってはいるものの、雨はやんでいた。
あーあ…こりゃしばらくうちの教室うるさいなぁ…なんて思いつつ、私は机から、一限目の物理学の教科書を引っ張り出した。



act.Xー朝



―――――――。

夕食も済んで、お風呂も入って、みたいテレビも見て…もう後は寝ちゃうだけ。
あ そうだ。明日は学校なんだっけ…支度はしとかなくちゃね。
それと早めに…


………あ…。

枕元の近くの棚…そう、例の箱、例のペンダント。
夢…。どこからが夢だったの?確か…確か、包みを開けて花びらが飛び散って、それから…消えてつかれて寝そべって花びらを…。
そこからいきなりお母さん。

つまりそこまでは現実?ううん全部夢だったのかも…。
もしかしたら、このペンダントには何か魔力みたいな力があって私に幻を見せたのかもしれない。
……って…だからそんなの現実にはないんだって。ボーとしてたからきっと寝ちゃっただけだよ。そうに決まってる。



「あ―あ。
明日学校面倒くさ―!」
もう考えない事にしよ。余計な事ばっか考えたってしょうがないじゃん。どうにかなるわけでもないもん。
とりあえず引き出しから小型のドライヤーと愛用のプラスチックの安いクシを取り出し、濡れた髪を乾かし始めた。
学校だし、早く寝なきゃね。

適当に乾かした後、また元の位置にしまって昼間さんざんねっころがってたベッドにまた寝そべって布団をかぶった
「お休みなさ―い」
なんて眠くもない瞼を閉じたのは明日になる一時間前。よく寝れるなぁ―なんて自分でも思うけど…寝る子は育つって言うし…昼間の夢…何か気になるからまた見られたらいいな。なんて考えつつ私は意識を手放していった。












―――朝。



「………うわぁ…雨じゃん」
目覚ましからジリリリリ―なんて始まり方はしないよ。だって私、最近勝手に目が覚める
目覚めがよくて便利だよ。なんてのはポジティブな意見でちょっとおばあちゃんに近づいたのかなとかも思ったりもしちゃって。

で 生憎今日は雨。まぁ雨も好きだけどね、それは室内での話。学校いくとなると最悪な天気だよね…濡れるし。


「はぁ…」
朝からため息なんかついて、今日も平凡な1日が始まるわけだよ。雨だし気分ブルーだし…いい事ないよ絶対。
まず簡単に長い自慢の髪をとかして、制服に着替えちゃう。それから洗面所に向かってー顔洗ってここで本格的に髪のセット。結ぶわけじゃないけどつや出しのワックス塗ったりアイロンかけたりね。女の子は大変なわけ。
ちなみにこうしている間に偉大なる母上様が、朝食の支度をしてくれてるのよ。

髪のセットが終わればリビングへいくの。
いつもすでにお父さんが座っていて新聞を見ながらコーヒーをすすって、お母さんは台所。
私はお父さんの斜め前の席に座ってリモコンをもってテレビ占領。これが私の朝リズム。




少しするとリビングのドアが開いて…


「…はよ……」
ぼっさぼさの髪で眠そうな挨拶をするのは弟の艸(ソウ)。本当は葬にしようとしたらしいけど…でも葬式の葬だからやめたらしい。…だからって何この記号の名前、我が弟ながらとても哀れだわ。

「おはよっ、そーちゃん」
「キモイ滅びろブタ。」
にっこり笑いかけてやったのになんだその態度はぁぁあああっ!!
艸の席位置は父の隣、眠そうに乱雑にイスに座る。ちょうどみんながそろったころに朝食が出来る。
あとは朝食を食べて私はもう一回洗面所。弟は自室で着替えるみたいだけどね。女の子は身支度が大変。出る前の最終チェックに後歯磨き。
その帰りに部屋へカバンをとりにいくんだけど…


「………。」
部屋に来た私。携帯もぽっけにいれて、カバンももってさてまた部屋を出ようとしたんだけど…目に入ったのは昨日のペンダント。
………しばらく見つめるけど ほら、デザインは気に入ってるの。だから……だから…。


…付けていってみようかな…なんて。

でも得体のしれないものだしまずいかな…。でもでも…私宛で私にきたものなんだし。
興味はあるわけで………ゆっくり近づくと私はチェーンを掴んだ。
「…だ…だめだったら外せばいい!」
チェーンは首からかぶるような物で、首からさげるとそうだなぁ…ミゾオチの下当たりぐらいまでの長さ。


「よしっ…」
なにがよしなんだかわからないけどとりあえず私は気合いをいれ部屋を出、玄関まで向かった。
昨日…ここで…。ペンダントを再度みるも切り替えるように
「いってきまーす」
と私は家を出た。




act.Wー夢

しばらくそのまま…動けなかった。なんだか一気に脱力した気分で、力が入らなかった。
大きく一回深呼吸をして、思いっきり深ーいため息をついた。









「…なんなのよ……」




後ろに頭をそると、ベッドが邪魔をした。また天井を見上げる形になる。
あ 電気にほこりがたまってる。なんて思いながら、なんだか寝起きよりボーとするよ…。
今起きたのは一体何?

こんな冷めてる私でも、夢を見てるところもあるの。“普通”じゃつまらない。“平凡”じゃつまらない。“みんなと同じ”は嫌。

漫画もアニメも小説も好き。現実には起こり得ないことが起きるから。
私はその中で夢を見てるところもあるの。私も…なんか不思議な力があったり、特別に強力な何かなのかも。って。
だったらいいな じゃなくて…そうなのかもしれない…って感じるの。
私は普通の人達と一緒の時を 一緒の時代を生きている気がしなくて。

そんなのありえないってわかってる。でも…心のどこかで、期待している…。







今、起きたことは
すくなからず非現実的な事ではある。郵便屋さんがきたとこからもうそうなんだよ。
小包には家の住所は書いてなかったんだもの。しかもその小包は“カミさま”って人からで、開ければ花びらぶわってなるわ、一瞬で消えるわ、ペンダントはまぁ普通だけど…石光ったし。


それに…











あの人…








そうだ…そういえば、花びらがあがった時、誰か…誰かが光の中で私を呼んでいた。
私に手を差し伸べて…唇が…たしか……………






―――――アリリス…って
















「私…ユイカなんですけど。」
なんかちょっと今自分凄い冷めた。何言っちゃってんだろう私。
バカみたい…こんな事ぐらいで少しだけどはしゃいじゃってさ。少しだけど。
……少し、だけど。


アリリスってだれよ。
少なくともアリスならわかるけど真ん中が重複してるしなぁ…ってゆ―かアリスだったらもっときしょいけどね。

本当にやってらんないよ。
バカバカしい!バカじゃない。漫画や小説は所詮フィクションなのよ。
ちょっと奇怪現象がおきたって現実では霊とかそっち系で…






………霊……?


まさか幽霊!!?
カミさまって字は控えめで震えてたんじゃなくて幽霊が書いたから?配達のお兄さんも?まさかさっきの風とかも全部幽れ……って…
私、見たことないのは信じないタイプなのよ。百聞は一見に如かずってね。
あ―バカバカしい。
本当、バカバカしい。


バフンと思いっきりベッドに飛び込むと、それでもちょっと期待している自分に気づいた。

時計の音がさっきよりゆっくりに感じる。頭にじんじん響いてきて…少し目を細めつつ、私は顔だけ箱の方へ向かせた。花びらがまだ数枚、箱の周りには残ってる。
さっきのはべつに…夢じゃなかったんだよね…。


意識が朦朧としてくる中、手を伸ばしてそっと花びらを一枚とった。




…………



















気づけば私は暗闇の中に立っていた。


『ここ…どこ…?』
自分の姿も見えない。
周りにも何もない。ただ闇の世界。

ずっと先まで続いているのかもわからない。進んでいるのかも止まっているのかも。落ちているのかも…何もかも。

ただ、手に握っていた花びらだけは…紅く紅く鮮やかだった。
なんで?
どうして?

私は誰?ここはどこ?




ワタシハナニ?
















―――チリーン…


鈴の音が聞こえた。
誰かいるの?声がでてるのか、心で言ってるだけなのかもわからない。ただ鈴の音は聞こえた。確かに、すぐそばで鳴っている。

チリーン…チリーン
呼ぶように何度も何度も鳴る。いや…誰かがならしてるの?
何…此処は…此処は………。





“ユイカ…”

























「…貴方は……ッ!!!」










―チリーン…






























「…何寝ぼけてるのよ、あんた大丈夫?」
ぱっとあたりが明るくなった。目の前でしかめっ面。あぁ…お母さん……?え…今の夢…?うそ…有名な夢オチって奴?

「いいわね、人がクタクタで帰ってきてるって言うのに、家のお姫様はお昼寝ですか。
…離しなさいな。」
嫌みーな事を言われてむすっとお母さんを見ると、私と目があったお母さんは自分の腕を見せた。
うわ…私思いっきり掴んでるよ…

「…ごめ……」
ぱっと離すとお母さんは立ち上がり、夕飯の支度手伝ってよ。なんて部屋をでていった。
…そういえば もうお母さん帰ってくる時間なんだ。私だいぶ寝てたな。

それより、さっきの夢…









あれ?






なん…だったけ?まったく覚えて無い…



まぁ考えてもラチあかないし…いっか。
うんしょ…なんて婆臭く立ち上がると 私もリビングへ向かった。

またウダウダ言われるのもやだしね。





act.Vーペンダント

ほどいたのはいいけど……やっぱり箱をあけるのは緊張するよね…

黒い箱…黒い箱…黒い箱…。
「……えぇいっ
開けてしまえばなんて事ない!」



フタを外すと中には、
「薔薇の…花びら?」
箱いっぱいに赤い薔薇の花びらが入ってて…フタを開けた風のせいか、ふわふわと軽々しく何枚かでたけど…何これ私にどうしろと?
薔薇風呂にでもつかれといいなさりますか、カミさまさんよ。


「はぁ…」
拍子抜けだよ。こんなのに私あんなにぐるぐるしてたの?
すごい時間の無駄だった。ことんとまた携帯のよこに戻しそのまま後ろに倒れた。
さっきの天井。


なんなんだろう…これ。私ストーキングとかされてたっけ?
絶対そうゆう類だよ。それと“カミさま”とか言う奴はキザね!
箱いっぱいに薔薇の花びらだなんて…なんか思考がよくわからないけど。

……そういえば…さっき逆さにしたときのことんって音は?

ふっと疑問に思った私は再び起き上がり箱をみた。箱に手をのばすと薔薇の花びらが2 3枚ふわりと上がって…

「…風……?」
いや…でも窓あけてないし…まぁいいやと流し気味に再び手を近づけると。




「……狽ソょ…
ちょっと何……ッ!?」
ぶわっとどこからともなくいきなり足下から勢いよく風が吹いて、箱に入ってたたくさんの紅い花びらが私の部屋中をまった。


さすがの私も目を見開いた。




舞い上がる花びらたちが、スローモーションのように感じて、一瞬…ぱっと誰かの事が頭をよぎった。

あまりの驚きに言葉もでなくて…ただ床に落ちていく花びらたちを見ていた。
床中真っ赤になって、私の長い髪にも数十枚花びらがかかってた。
しばらくするとまた部屋は静まり返って、はっと我にかえった。

「……なに…いまの…」
少し震えたような小さな声で私は呟いた。いつも見たれた部屋が全く別の部屋みたくなってしまった。
ふっと箱に目をやると花びらが2 3枚のこる中…なにやらペンダントらしきものがはいっていた。

私はそれをゆっくりと手に取った。
チェーンが長めの、十字架に薔薇の荊が巻きつくようなデザインで真ん中には不思議な色の石の埋め込まれたペンダント。
その不思議な色をしている石をそっと撫でるように触った。


「…綺麗……」

私が触れるとその石は反応するように一瞬だけ強い光を放った。
なんだろうこれ…なんかふしぎなペンダント……。

あ そっか…これがコトンっていったんだ。誰からの贈り物…?











“カミ…さま…?”












…そういえば…カミさまって誰?
なんか包みが気になりすぎて忘れてたけど、そういえばこれカミさまさんからなんだよ。
カミさまって神様……?




「…って、そんなわけないよねー!きっとあれだよ、領収書の上様と同じだよ。」

あはは〜なんて立ち上がるけど、……そうだった…











この…









「この
大量の花びらどーするのよー!!」

大迷惑だわ。
なんて常識のない奴なの。
…ってゆーかこれどう仕掛けたらあんな演出になるのよ。

渋々私は片付けを始める事にした。とりあえず掃除機で……って絶対吸いきれるような量じゃないよこれ。
絶対箱に入ってた量より増えてるって。



「あぁもう…」
ペンダントをまた箱の中に戻し、片付けようとしゃがみこむと一番最初に反応したのは私の髪。

ふわぁ…と宙にまって、なんだろうと思って振り向くとなんか突然瞬間移動したみたいに花びらが消えちゃった。
後ろにあった花びらも…足下のにあった花びらも全部。



「……ほ…本当に…なんなのよ」

拍子抜けしたダサい声がでた。
部屋はいつもとかわらない私の部屋にもどってた。
再び箱に目をやるとやっぱりペンダントはあるわけで…あの大量の花びらはどこへいったんだか…。


なんだかとりあえず…すごく疲れた。




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