△▽ 思わず泣いてしまった時
今日から15分の面会許可が出たので、ゆうさんに事故後10日ぶりくらいにあってきた。
救命救急センターに入る前にインターホンを押さなきゃいけないんだけど、押す前すごく緊張した。
押してから、ゆうさんが出てくるまでは心臓が口から出そうなくらいに緊張していた。手足が震えて、表情も強張ってたと思う。
扉があいて、車椅子にのったゆうさんが現れた。目は真っ赤で、顔の左半分が腫れていた。全体的にげっそりと痩せたようにも見えた。
わたしの第一声なんだったんだろう。言葉が出なかった気がする。ついさっきのことなのに、記憶もあやふや。
思ったより大丈夫そうやろ?
心配してくれてるより大丈夫やで。
って言われたけど、思ってた通りというか、全然大丈夫そうじゃないよ。元気になんて見えないよ。
痛々しいです。
めっちゃ心配しました。
って言おうとしたら、泣きそうになって声が震えた。そしたら、ゆうさんは謝った。
ごめんやって、泣きそうなんなよ。
泣かないです。
なんでゆうさんが謝るんですか。
わたしがごめんなさい。
そーいっている間に、わたしは泣いていた。ゆうさんの前では泣いちゃいけないと思ってたのに、やっぱり堪えきれなかった。
ゆうさんは、わたしが泣くのをみて何度も謝った。
帰りもひとりで泣いた。
泣きながら何の涙なんだろ、って考えた。ゆうさんの身体はしっかり動いていた。ちゃんと喋れてるし、記憶だってしっかりしてる。これからリハビリを重ねて、回復するはず。元に戻るはず。なのに、なんでわたしは泣いたんだろう。
その答えは、すぐに出た。
これからの、ゆうさんとわたしの関係。
当然かもしれないけど、ゆうさんは面会中あまり笑ってくれなかった。事故をして、1番大変な状況にいるのはゆうさんなんだから、彼女が来たくらいでそんなすぐに元気はでないよね。食欲湧かなくて、ご飯も食べられないくらいだったみたい。わたしはわたしで、顔がきっと引きつって上手く笑えてなかったし、楽しい話のひとつもできなかった。そりゃ、ゆうさんも笑えないよね。ごめんなさい、ゆうさん。
なのに、わたしは笑わないゆうさんをみて、本当にわたしが行ってよかったよかな、喜んでくれてるのかな、まだ好きでいてくれてるのかな、なんて自分勝手なこと考えて、不安になって泣いた。
本当に最低な彼女だね。
今ゆうさんに、元気をあげないといけないはずなのに、心配かけるって最低だよね。
面会時間は14:00〜16:00で今日以外土曜日も学校だから、次会えるとしても日曜日。さっきまで一緒にいたのにもう会いたくなってるよ。
早く一般病棟に移ってほしいな。そしたら毎日会いに行けるのに。時間だって気にしないでいいのに。
次こそはゆうさんに、元気分けてあげるんだ。
ゆうさんの笑顔がみたい。