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La Salle de Bain(静臨)


来神



俺は人間を愛している。それは未来永劫変わることはない俺のアイデンティティだ。愛 ラブ アムール! だけど俺はセックスが駄目だ。嫌いとかではなく、拒絶。欲望に支配された生き物の本能を見る分にはとても興味深いと思う。けれど、…どうしても駄目なんだ。…セックスが。内臓の中に肉の塊が出し入れするなんて、気持ち悪いにもほどがある。ましてや他人の薄汚い肉が、だ。おぞましい、考えるだけでおぞましいよ!!それくらいだったら自慰でもしていた方がまだ綺麗だろう?セックス依存症なんてものがあるけど、俺の場合はセックス拒絶症って言うんだろうね。気持ち悪い。気持ち悪いよシズちゃん。君もそう思わない?






涼やかな水音が水泳部のシャワー室内に響き渡っていた。
人間を愛している癖にセックス嫌いな折原臨也の白い股の間から大量の白濁が流れて排水溝に消えていく。虚ろな眼。誰とも知らない、死んでいく命の種を臨也はじっと見ていた。きもちわるい。そう呟いて、苦しげに嘔吐する。さっき吐いたばかりで胃の中は既に空っぽなのだろう、吐き出すものがないせいで臨也は唾液をこぼして嗚咽するばかりだった。


きっと曇りガラスの向こう側には、微妙な顔をした金髪の男が煙草をくゆらせているのだろう。

憎くて憎くて堪らなかったが、それ以上にここへ連れてきた、世界で一番嫌いな男の腕がいつになく優しかったことが何より腹立たしくて、気持ち悪くて、心地良かった。

苛立たしい。そう思った瞬間、臨也の脳内に何がよぎったのかー 許容範囲を越した何かに任せるまま、目の前の白い壁に向かって思いっきり腕を振り下ろした。


「死ね。」


空っぽな目をしたまま吐いた恨み言は、シャワーの水音に紛れて捨てられた。

白昼夢(帝臨)


※精神崩壊


「可哀想な臨也さん。」

帝人の膝にもたれかかれ眠る彼の豊かな黒髪を撫でる。ビロードのような触り心地に帝人はうっそりと微笑んだ。

「可哀想。」

あの頃よりも少し髪が伸びた気がする。白い首筋に掛かる絹糸を指で払ってあげると、彼は猫のようにむずがって、そしてまた眠る。薄いわき腹に浮いた肋がとても愛おしく思えて、裸のわき腹に口づけを落とした。

そうすると、彼の長いまつげが震えたのに気付く。そろそろ目を覚ます頃合いだろう。帝人はことさら優しく目を細めて、愛猫の形のいい耳に唇を寄せて囁いた。
猫の意識に擦り込むように


「僕だけがあなたを愛してあげます。」

猫は一体何の夢を見ているのだろう。
そのまろい頬は優しく微笑んでいた。




×××
一度は描いてみたかった精神崩壊ネタ

あいのかたち(静臨)


「殺してやる」憎悪が爛々に満ちた視線を一心に受けて、俺はそれが心底面白くて堪らなかった。ノミ虫の形のいい後頭部をわし掴んで、灰色のコンクリートの壁に押し付けてやる。ノミ虫はどうにかして俺の腕から逃れようと足掻いてみせるが、俺とコイツの力の差は一目瞭然だ。それはコイツも分かっている筈なのに、必死に抗う様は何ともいえない高揚感を俺に与えた。「殺してやる」「……。」「殺してやる、殺してやる…!!」壊れたラジオのように、決まった戯言を繰り返すその舌の根を指で引っ付かんで黙らせる。ひゅっ、という息を呑む音と共に、俺の指先からコイツの唾液が糸を引いて伝った。(俺はそれをただ黙って見つめていた。言葉の出ないノミ虫は使えない口の代わりに、視線で本音を語ってくる。その赤目が薄暗い路地裏でも鈍く光ってみせて、猫みたいだ と思った。)

瞬間、俺の指に痛みが走る。丁度第二関節あたりだ。指から垂れたコイツの唾液に、赤いものが混じっていた。ああ、噛まれた そう思った途端、気づいたら俺の指はさらにコイツの口の奥へと潜り込んでいた。目を見開いてえずくコイツの姿に、俺は例えようのない恍惚を覚えた。断言しよう。俺は今目の前の男に欲情している。もっと虐めて見たくて、コイツの泣き顔が見たくて俺は中に入っている指をめちゃくちゃに動かした。



***
力尽きた

食いしん坊さん(静臨)


※微裏表現

シズちゃんとのセックスはさながら暴食みたいだ。キスだって、愛撫だって、はたまた挿れるときだって、俺はシズちゃんに食い殺されそうになる感覚に陥いってしまうから。さながら肉食獣に捕まった草食動物のように。ほら、現に今も俺はシズちゃんに食われている。骨の髄までしゃぶり尽くされる感覚は、まるで酒に酔ったかのような、恍惚と似たものを感じさせた。掴まれた腰骨が歪な悲鳴を上げている。痛い、痛いけど気持ちいい。狂った中毒者みたいに、喘いで悶える俺は端から見ればとんだ滑稽なんだろう。頭上から鼻で笑われる気配がした。今この瞬間、シズちゃんと俺の立ち位置は、完全に肉食獣と草食動物になり果てていた。
食物連鎖。生命の営み。昔見た動物のドキュメンタリー映像が頭の中で再生される。あぁ、今俺はまさに、あの時ライオンに食われたシマウマそっくりではないか。
俺の喉元にむしゃぶりついたシズちゃんの、傷んだ金髪が揺れて、それはさながら金色の鬣に見えた。


「、………く、われっ………」

自分のなまっしろい腕が虚空を切る。
それはシズちゃんの背中と比べると、酷く頼りない腕だった。


「…ぁ、…食わ、れっ……る…!!」


終わりにはきっと、俺は骨の一片たりとも残っていないのだろう。
ひたすら俺を貪り尽くす肉食獣は、その鋭い視線を俺に向けてニヤリと笑った。

「残さず食ってやるから、安心して俺に食われてろ。」


***
ドM臨也
コイツらに生温いセックスは似合わない。

クラッシャー イン・ザ スカイ(門+臨→静 来神)


※臨也が援交


折原臨也は人を愛している。それは男女関係なく、"人間"という存在そのものを愛しているんだと、折原臨也はそうのたまった。お前は神にでもなったつもりか、 と呆れ混じりに呟いてみせたら、嫌だなあ、神様なんて最初っからいないんだよドタチン とそのお綺麗な顔をくしゃりと歪ませ臨也は笑った。それは今にもこのフェンスの向こうへと飛び降りていってしまいそうな笑顔だった。(そのまっしろい手首に浮かぶ青い痣を見て見ぬフリを決め込む。匂いたつ首筋から歯形が覗き込んでいて、制服の襟に血を滲ませていた。春の麗らかな日差しとは裏腹に、それはとても淫靡な光景だった。)

俯いた臨也の表情はその艶々な黒髪に隠れて分からない。ただ、その背中が何時にもまして華奢に見えた。

臨也はおもむろに立ち上がると、床に散らばるクシャクシャになった万札を拾い集めて、数枚を俺に渡す。そのとき、臨也はまるで内緒話をするように俺の耳へと、その桜色の唇を近づけた。

シズちゃんには内緒ね

口止め料ということだろうそれを俺は握りつぶしてソイツに叩き返してやる。
ようやく伺うことが出来た臨也の顔は、クシャクシャな笑顔のまま微笑み返すだけだった。


***
知らないフリをする人も共犯者ってこと
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