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懺悔は誰にも届かない【?xA[シリアス、死ネタ]】





"死"…。


僕が"世界"に与えたいたものは、思ってた以上に"痛いもの"だったよ。




僕には今まで大切な人がいなかった。
白い服を着せられて、モルモットにされて……気がついたら顔見知りの子はどんどんいなくなってて…。


深く、深く
人と関わることなんてなかった。




――でも…あぁ、神様。
もしアナタが本当にいるというのなら、なんて意地悪なんだ。
自らの意思で血の海に手を浸し、世界変革の舞台の上で道化となった瞬間、僕は愛しいと思える人を見つけた。





衝撃だった。
"愛しい"と思える人に出逢えたのが。
世界がこんなにカラフルだなんて知らなかった。

その気持ちを知った瞬間、引くトリガーの重みが増した。



――誰かの大切な人を奪い続けてきた自分が、こんな安息の中にいても良いのか…。

怖かった。


…でも、はじめて知った温もりは余りに心地良すぎて、僕は、決して手放せなかった。






手放し難いモノ…。

いっそ滑稽な程、僕はそれに縋り付いた。


















掌を見つめ、拳を握り締める。
























――失くしてしまった。














大切なもの。
決して失わないようにギュッと拳を握っていたのに、
それはまるで僕の汚れた手から逃げ出すように、残り香だけ残して零れ落ちる砂時計の砂のように、僕の手をすり抜けていってしまった。



"僕の力が及ばなかったから?"
(戦う力があったのに…失うことが怖くて、笑顔を貼り付けても、何時だって萎縮して縮こまっている自分がいた)


"僕の心に迷いがあったから?"
(握り締めたトリガー。命を奪う重みを本当の意味で知ってしまった… ――本当に大切なものは何だった?)


"――だから、彼は失われた…?"
(僕は何のために戦っていた? ……この手をそめる血は、一体誰のもの…?)




握り締めた拳から、果実を絞るように赤が滴り落ちた。






涙はもう、でなかった。



問いが脳内を駆け巡る。

答えは見つからない。
ただ、まだ彼が隣にいた頃の記憶が無機質に目の前の景色をスクリーンに再生されていた。


――かつての彼の言葉が耳を擽る。

――肌に温もりの幻覚が滑る。

――視界の端に彼の残像を見た。







…ああ、もう僕はだめなのかもしれない。



不思議と唇が弧を描く。
久しぶりに顔の筋肉を動かしたせいか、その彎曲がきつくなる度に軋むような感覚がした。



「あなたはこんな僕でも――」


最後まで言葉にならなかった。

…はじめてあなたの約束を破るよ。先に破ったのはあなたなんだ、どうか怒らないで。


いい訳じみた思考に苦笑がもれる。




あなたのいない世界に取り残されてそれでも"生きろ"だなんて…。そんな酷な事言わないで。
僕がこんな世界でも生きていきたいと思ったのは、全てはあなたのせいなんだから…。
こんな腐った世界なのに…この大気がどうしようもなく甘く芳しく感じたんだ。




こめかみに冷たい感触。
虚ろな視界の中、あなたが笑ったような気がした。




「        」





 パンッ





耳元で破裂音。




――僕の身体は永遠に熱を失った…。










(癒せないものは壊してしまおう)
(…もっとも、すでに再起不能だけれど)
(壊れてしまった僕だけど…約束を守れなかった僕だけど、あなたは受け止めてくれますか……?)



(懺悔はにも届かない)





=END=





-あとがき-

久し振りの更新がこんな暗いブツでごめんなさい(汗
やはり私はこういう系(←?)が得意なようです(^^;)
この手のネタには事欠きませんしね;

今回のCPはあえてアレさんのお相手を固定しませんでした。
誰がお相手だったのかは、皆さまのご想像にお任せします…!!


[title:イエスマンの憂鬱]


















神よ、あなたはそれでも【LxA[シリアス]】



――日付が変わって三時間弱程。寝付けずにトレミー内を歩き回っていると、ふとある部屋の前で人の気配を感じた。

(こんな時間に…?)

こんな非常識な時間にウロウロしているのは自分だけだと思っていた。僕は興味をひかれて足を向けた。
宇宙(ソラ)を望む展望室のようなその一室。
そっと気配を殺して開け放したままのドアから覗く。


(ロック…オン……?)


そこには見慣れた人物の背中があった。
普段の彼らしくなく、硝子の先の星の海に縋るように丸められた背中。
思わず廊下と部屋の境界線をくぐり声をかけようとした――が、僕の身体はそれ以上動かなくなってしまった。


低く紡がれる旋律。
それに覚えがあった。



「Agnus Dei,qui tollis paccata mundi:
miserere nobis.――」
(神の子羊、世の罪を除きたもう主よ
我らを憐れみたまえ。――)



神に助けを乞う言葉。
今目の前にいる彼が、飄々として誰よりも強くあるいつもの姿に余りにそぐわず、僕は目が離せなくなった。


「――qui tollis peccata mundi:
dona nobis pacem.――…」
(――世の罪を除きたもう主よ
我らに平安を与えたまえ。――…)




低く流れる旋律。
その中で僕は、見てしまった。

――エンドレスに歌を紡ぐその唇が、自嘲にも似た形に痛々しく歪んでいるのを。
硝子に映る寄せられた額の皺が痛々しい。


「…Agnus Dei,qui tollis paccata mundi:
miserere nobis.――」
(…神の子羊、世の罪を除きたもう主よ
我らを憐れみたまえ。――)




我知らず握り締められていた手。
それが赤い涙を流した。

……無力さが、痛かった。

彼の背中を支える事の出来ない自分が…情けない。
涙を零す事のない翡翠色。
あの虹彩の底に眠る"記憶"を僕は知らない。



(――世界は、なんて…)







この手がどれだけ血濡れになってもかまわない。
この心が砕ける程の痛みを伴おうとかまわない。

だから、

(どうか、彼を御守下さい)


信じてもない存在に無性に縋りたくなった。
あの温もりが今にも霧散して消えてしまいそうで怖かった――





(この世に神の存在など認めてないくせに、僕は祈る事を止められない)
(なんて滑稽な姿でしょう! 笑いたければ笑えば良い)
(…それでも僕はどうしても失いたくないモノがあるんだ)


(神よ、あなたはそれでも)







-end-




一度はやってみたかったAgnus Deiネタ。
別館で同じような内容でアレルヤ夢でも書いてみましたので、もし宜しければご賞味くださいませ。


-=Agnus Dei=-

Agnus dei,qui tollis peccata mundi:
miserere nobis.
Agnus dei,qui tollis peccata mundi:
miserere nobis.
Agnus dei,qui tollis peccata mundi:
dona nobis pacem.

(神の子羊、世の罪を除きたもう主よ、
我らを憐れみたまえ。
神の子羊、世の罪を除きたもう主よ、
我らを憐れみたまえ。
神の子羊、世の罪を除きたもう主よ、
我らに平安を与えたまえ。)
「ミサ曲の式文」より



[title:イエスマンの誘惑]

+人畜無害は見た目だけ【HxA[ギャグ]】

現パロ





「ッ――っべ、っつ…何だこれ」

トーストを齧って四秒弱。
半分寝ぼけていた脳細胞が一気に活性化した。

「何って…トーストだよ」

目の前で困ったような顔をするアレルヤ。

「見りゃわかる」

無理やり嚥下したトースト。その後味の悪さに眉間に皺がよる。

「…不味かったかな……?」

「不味いも何も…これは食いもんか?!」

「ごめん…今日は上手く焼けたと思ったんだけど」

「そういう問題じゃねぇッ」


パンの風味と共に口内に広がるこの吐瀉物にも似た後味……。
相当な殺傷力を持っていたのは間違いない。

「何乗っけて焼いた」

俺の一言に視線を膝に落としてしまうアレルヤ。
デカイ図体の癖に、こんな動作を可愛いと思ってしまう俺の目は相当腐っているんだろう…。

関係ない思考の湧いてきた脳を一括してアレルヤを見やる。

「ごめん。冷蔵庫開けたらマーガリン切れてて……それで」

言葉を切ってしまったアレルヤ。
無言の威圧を掛けると観念したように顔をそらした。

「……似てたから、その…マヨネーズかけてみたんだ」

「は?」

申し訳なさげに紡がれた言葉。
マヨネーズ…?それだけであんな破壊的な味になるのか???

「それから…」

疑問が顔に出ていたのか、オズオズと開かれた口。

「まだ何かあるのか?!」

「…それだけじゃ身体に悪いと思って、その――セロリの葉っぱと刻んだバナナと鯖缶を」


謎が解けた。
口にふくんだ瞬間のあの粒々はこれだったのだ。

「ごめん、一応味見はしたんだけど…」

「テメェの味覚はどうなってんだ!!ゲロ味以外の何モンでもねぇぞッッ」

一気にまくし立てる。
朝から飛んだ物を食べさせられてしまった……。


「ハレルヤ…」

「あ?」

「……ゲロ味以外の何物でもないんだよね…?」

目線を合わせようとしないアレルヤ。

(お、落ち込んでる…?!)

焦りが走る。

「おい…」

「…ってことは、ハレルヤのゲロを…僕は美味しいって感じたのと同じってこと……?」

「は?」

顔を上げて泣きそうな顔をするアレルヤ。

「ごめん、ハレルヤ!!ハレルヤのことは大好きだけど…まさか此処までキてるなんて思わなくてッ」

「キてる?!!」

お願いだから嫌いにならないで!と灰色の瞳を揺らす

まさかの発言と事態の収拾のつかなさにサーッと血の気が引いていくのを感じた。





こいつの片割れをやってきて彼是20年。
未だ新しい発見と途惑いを覚える。

……深い。

色んな意味で予想を斜め四十五度ずれていくその存在を愛しいと思う自分に改めて疑問を持った瞬間だった。

=end=




突発的に書きました;
味音痴なアレさんに萌えたんだよ←




+それすら愛しくて[HxA【ほの甘】]

+現パロ



「ハレルヤ!!」

風呂場から点々と続く水滴の道の先にいる影に思わず声を荒げる。

「あぁ?」

すると不機嫌げに向けられた金色の瞳。

「全く…ちゃんと身体ぐらい拭いて出てきてよ」

「面倒くせぇ」

思わず溜息がもれる。
ある意味僕なんかよりも頑丈に出来てるから風邪を引く心配はあんまりないんだけど…

「ソファ、濡れてる」

彼がろくに水滴を拭いもせず身体を横たえるから掛け始めたカバー。昨日洗濯して代えたばかりなのに、もう彼の頭の形に水の染みが出来ている。

「…小っせぇことグダグダ言ってんじゃねぇよ」

フイと視線を反らしてしまったハレルヤ。
その姿に二つ目の溜息が吐き出された。

「洗濯するのは僕なんだよ?」

そう言って彼の頭の隣に腰を下ろすと腕が伸びてきた。
ズボン越しに伝わってくる濡れてしまったカバーの冷たさに、内心三回目の溜息を吐きながら彼を見る。
濡れた緑掛かった黒髪の間から覗く金色。視線をずらすと頭にはいつの間にかタオルが乗っけられていた。
タオルから視線を戻して彼の表情を伺うと微妙に子供っぽい表情。
――反らされた視線の意味を僕は知っている。

僕の弛んだ頬を見て一瞬凄く嫌そうな顔をしたけど決して外される事の無いその腕は、凄く正直。
時々目の前の彼はとんでもなく可愛いことをしてくれる。

「…風邪引くよ」

形だけの言い訳じみた言葉を合図に、ハレルヤの濡れた髪に手を這わせる。
優しく撫でるように拭いていると「そんなんじゃ何時まで経っても乾きゃしねぇぞ」とボソリと言われた。


遠くで少々季節外れの焼き芋屋の威勢の言い売り文句が聞こえた。
何でもない日常。
そんなありふれたものがこんなに愛しくて、楽しくて仕方ないのはきっとハレルヤのお陰だと思う。

少し手を止めてジッと見ていると不満げな目と出会った。
その瞳に微笑を一つ。
驚いたように見開かれた金色に僕の顔が映る。

こんなにも似ている僕らがこうやって別の存在としてこの世に存在していることが不思議で、奇跡のように感じる。


生乾きの髪に指を通した。

「どうしよ、嬉しいや」

「は?」

意味が分からないと細められる瞳。その瞳を覆うように髪を拭く手を再開させた。
タオルに視界を塞がれたのと、突然犬か何かを拭くようにクシャクシャクシャと髪を掻き回され暴れだしたハレルヤ。

その身体を一瞬抱きしめて、タオル越しに額に唇を落とす。
とてもじゃないけど顔を見てキスなんて出来ない。

「なッ」

「久しぶりにホットミルクなんてどうかな?」

ハレルヤに捕まる前に席を立つ。
真っ赤になった頬を隠すように早足でソファから離れる。
目指すはキッチン。
何故か飲みたくなったんだ、甘いホットミルク。
ハレルヤは甘いものは得意じゃないみたいだけど…今日くらい付き合ってもらおう。
髪だって拭いてあげたしね?

「砂糖は何杯?」

俺は飲まねぇぞ、と慌てたように歩いてくる姿に微笑。


暖かな夜。
今日はいい夢見れそうだよ――



(この幸せを表す言葉なんて、僕には難しくて考えれないよ)


=end=


はい。
何があってもHxAだと主張します!!AxHじゃないぞーーー(叫)
ハレさんの世話を焼くアレさん。何て可愛いんだ!!という妄想の元書きなぐった一品。


[title:クロークの依存論]
[title:影]

only a word[HxA【甘】]




「ハレルヤ」

精神世界の深部。
一面真っ白なそこでのみ触れる事が出来る温かさが愛しくて、僕は口を開いた。

「…大嫌いだよ」

驚いたように僕を見るハレルヤ。
暫く固まっていた後、合点が言ったように細められる金色。
あぁ…なんて優しいんだろう。

「どの口だ、そんな生意気なこと言いやがるのは」

なぞられた唇がくすぐったくてピクリと動いた肩。
それを強引に引き寄せられて、驚いて見上げると少し荒れた唇が僕の口を塞いだ。
――ハレルヤにしては珍しく優しいキス。

顔を離した彼は意地悪く笑っていた。


目線を合わせるまでの一瞬、耳元で囁かれた言葉に頬の紅潮が止まらない。

「え、えぇ?!!」

「二度は言わねぇ」

顔を隠すように立ち上がったハレルヤ。その頬が少し赤かったのは気のせいかな。

「待ってよ!」

「ウッセェ、朝んなるぞ」

去っていく背中に投げかけた言葉は軽く振った手にあしらわれた。


彼の言葉通り浮上を始めた意識。
…今日も招かれざる朝が明ける。

幸せな気持ちをジワジワと侵食する憂鬱さに眩暈がしたけど、僕の頬は熱を持ったままだった。


彼の言葉。
鼓膜に残ったその響きが頬を弛ませる。


「…うそ、大好きだよ」

小さく呟き意識を浮上の波に乗せる。
不意に耳元で声がした。

『バーカ、日付過ぎた後に言う間抜けはテメェぐれぇだ』

「ふふ、ごめん」

照れたような含みを持った彼の声がくすぐったい。


今日も憂鬱な世界に目覚める。
それでも、生きてることが幸せだと思えた――



-end-



四月馬鹿万歳!!

ハレさんは何と言ったんでしょうか?
意外と気障だったりして(笑)

[title:DOGOD69]


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