※TOV(フレユリ)
※現パロ
※1の続きです。
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「君と僕の恋愛事情。」
【第2話】
「うわっ;」
電気をつけた途端、広々とした高級感溢れるリビングが目に飛び込んできた。
それに物や家具、全てが綺麗に整理整頓されているため、本当に人が住んでいるのかと思うくらいの几帳面さが伺われた。
ここが、フレンが一人暮らししている部屋……
んで、今日から俺も住む部屋…………。
ゴクリと一回唾を飲み込んだ。
ユーリは再びまじまじと見渡した。
つい数分前、俺とフレンは五年ぶりに再開して、軽く話しをしてからフレンがちょっと用事を思いだしたっていうもんで、鍵と住所を印した紙キレを急いで手渡すとどこかに走り去ってしまったのだ。
そんなに急ぎの用事だったのなら、忘れるなよ…
……もうちょっと話していたかったのに…
久しぶりの再開なのに……
ハッ
俺、何考えてんだ……
何やらもやもやしたものがユーリの心臓あたりを燻っていた。
…………。まぁ、あいつアイドルだし、仕事忙しいし、仕方ないか…
帰ってきたら、また沢山話せばいい。
ユーリはそう言い聞かせた。
すると、
タイミングよく玄関からガチャッという音がした。
「ユーリ!!」
「……フレン!;おま、用事はもうすんだのかよ」
「いや、元々そんなに時間のかかる用事ではなかったんだ、」
「ふーん。それにしては随分慌ててたな…急な仕事とか?」
「いや、その、野暮用で………」
「なんだよそれwww」
フレンは何かごまかしたような感じがした。
まぁ深いとこまではつっこまないが、誰でも何か一つくらい隠したいことぐらいはあるはずだ。
「と、何か部屋の物いじったりとかしてない?」
「してねーよ、この几帳面に整理整頓してる部屋みたらする気もうせたぜ」
「そうかな、普通だと思うんだけど…」
「いーや;、明らかに几帳面すぎるだろ;お前昔っから綺麗好きだよなー」
「ユーリが不潔なだけだろ、」
「へいへい、悪うござんしたっ」
「まったく、これからも二人で使うんだから、ぐちゃぐちゃにしたりとかは許さないからねっ」
「げッ、俺どうやってこの几帳面の中に生きろっていうんだよ…;」
「人は慣れだ、ユーリ。」
「……う、;」
そういえば、とユーリは思った。
「つーか、部屋に住ませてもらうのは有り難ぇことなんだけど、お前、彼女とかいないの?」
そうなのだ。“恋人”という存在を忘れてはいけない。もう17歳、いてもおかしくない。だいたいフレンは誰もが見とれる程の容姿だし日本のトップアイドル。モテないわけがない。
ただ、いまだに報道などでもフレンとだれそれの恋愛記事などは一度も見たことがなかった。
しかし実際にはわからない。もしかして影でいるのかもしれない。そういう考えもあった、だからもしものその場合はその恋人にすごく悪い、と思っていたのだ。ユーリはそう考えるたびに何故か胸がチクリと痛んだ。
少し間があくと、フレンは何故かいきなり笑いだし、こういった。
「そんなのいないよ。」
たった一言だった。
聞くと事務所からも恋愛を禁止されているらしく、学校でも毎日何度も何度も告白されても断り続けているらしい。
そうゆう事務所から言われたとかできっちり恋愛という行為をやめるなんて真面目なフレンらしいと思った。
ユーリは少しだけ気持ちが楽になった。
楽になった理由は…何故だかは、まだ本人はわからないが…。
「そうだ、もう夜中だけど、こ腹空かない?何かつくるよ。」
その言葉にユーリは背中に冷汗を垂らした。
「いやいやいや!!;俺がつくるよ、なっ♪;フレンもロケ疲れたろ?、キッチン貸してもらえば俺がなんでもつくるからさ!!;」
思いだしたくもない昔のフレンの料理の腕前。…見た目がプロで味だけ壊滅的……練習にって何度か食べさせられたクレープとかプリンに吐きそうになった記憶がある。
「え、でも、ユーリこそ長旅疲れたろ?」
「いーや全然ッ;お前の顔みたら疲れ全部吹き飛んじまったよ!;」
「…………………。
…な、何いって…////」
何故かいきなりフレンは赤面した。なんだ、俺なんかおかしいこといったか?
「どうしたんだ?フレン」
「あ、いや、別になんでも……」
「じゃ、やっぱり俺が作るぜっ?、冷蔵庫借りていいか?」
「……あ、あぁ。もう好きに使ってくれ。」
何故かフレンは口元に掌を置いたまま。
「…?具合でも悪いのか」
「ん、いやそうゆう訳じゃないよ、心配しないでくれ。」
「ふーん―…。」
変なフレン…
心の中でポソッと呟いた。
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「とっ!!いっちょ出来上がりッ!!」
数分後、何か出来上がったらしく、リビングにはとてもいい香りがひろがっていた。
「…ユーリ…これ何…」
「何って……」
ユーリがフレンの前にある綺麗な大型の白いテーブルの上にちょこんと置いたのはごく家庭で親しまれる簡単料理。
「……肉じゃが、だけど。」
「ユーリ…君、いますぐ僕のよ…っ…んぐッ;!?!」
「なーに一人でむせてんだ?んで、今なんて言おうとしたんだ?」
「ゲホッゲホッ;…いや、なんでもない…、それより…とてつもなく美味しいんだが…//君、昔から家庭料理うまいよね…」
「おぉ!そりゃよかった!!」
ユーリはニッコリと笑った。
…フレンなんて言おうとしたんだ…?見事に熱々のじゃがいも食べてむせてたけど…
「それにしてもキッチンもまた随分と綺麗に収納してありますことっ」
「普段はあんまりしないからね、ロケ弁とかですませちゃうし…」
「なっ!?;」
突然ユーリが食べていた糸コンニャクを噴いた。汚…
「ど、どうしたんだユーリ…;そんな急に大声だして」
「ロ、ロケ弁だけって…お前、借りにもアイドルなんだぞっ…体調管理しっかりしろよ;自分のことは後回しなのかよ…」
「そりゃ、体調管理は大事だけど…仕事は忙しいし、食べるより疲れをとるなら睡眠を重視しちゃうし…」
よくみるとフレンは普通の成人男性よりも少し細いと思った。いや、俺も人のこといえないけど………それなのに筋肉はきちんとついていて、でも、それでも顔をじっくりみると少しばかりゲッソリしてるような感じがした。
やっぱり栄養が足りてないみたいだ。
「でも、ちゃんと栄養は摂らないとダメだろ!!;」
「いや、でも作る時間も限られてるし…」
「………」
しばらく沈黙、
するとユーリが口を開いた。
「な、なら、俺が…………」
「…え?」
「俺が、毎日朝晩料理作ってやるよ…」
その言葉に一瞬ポカーンとするフレン。
「…!いやいや;それは死ぬほど嬉しいけど…でも大変だろ、君も仕事…てゆーかバイト忙しいだろうし…」
「気にするな、料理は好きなんだよ!…それに、今…いったじゃねぇか、死ぬほど嬉しいんだろ?」
「………ユーリ」
「な、なんだよ;」
「…ありがとううう!!!!!」
ガバッ
いきなり抱き着いてきたかと思うと半泣きしてるフレン。
「お、お前、よっぽど今まで栄養不足で辛かったのか?大袈裟だな…;」
首に腕を絡められて身動きが苦しいユーリであったが、優しくポンポンッとフレンの頭を撫でてあげたのだった。
……なんだ
昔と変わらないな…
外見は変わっても、フレンはフレンだ……。
この夜、ユーリは安心してしまったのだった。
これから始まるフレンとの危ない同居生活を知らずに―…
第2話 完