話題:今日見た夢
よくわからん展開になってました。怪人は出てきたけど、ほとんど戦ってない異質回みたいな。


解析班のおかげで塔の調査は進んでいたが、進展せず。連日激務だった解析班は連休を貰えることに。

「烏丸さん、予定あるの?」

朝倉は治療スーツ姿の烏丸に何気に聞いた。その日は薄いベージュのスーツ姿。烏丸の動くマネキン感が強い。


「矢神さんが言ってたあの話、進展したんです」
「本部にいる間のお出かけの話だよね?そのスーツ姿だと支障があるからどうたらの」

「暁くんと鼎さんが訳ありの人向けのお店を教えてくれて…。行くことになりました」
「あー、あれでしょ?稲葉さんがいる店だ」
「イナバ…さん?」
烏丸はわからない様子。

「仮面の店員さんがいる訳ありのお客さん専門の服屋さんだよ。事故か何かで顔に怪我したとか聞いたな…稲葉さん。ちょっと話題になってたから知ってたけど、場所まではわからんな〜。まさか暁くんと鼎さんが場所知ってたなんて」
「いつ行くの?そこ」

「あ…明日です…。移動は組織の車だから大丈夫だって。暁くんが調べてその店の店員にゼノク入居者だった人がいるって情報掴んだみたいで」
「お〜頼もしい〜。運転手は桐谷さんかな。桐谷さんはエスコートがっちりだから安心だよ」


翌日。宇崎は晴斗・鼎・桐谷・御堂に注意事項を伝えた。

「任務じゃないけど、烏丸のために行くのね。今はまあまあ平穏だからな〜。そんなところがあるなんて初めて聞いたぞ。桐谷と御堂は烏丸のエスコートを頼む。烏丸は車から降りたら日傘を差せばある程度はごまかせるから。とにかく顔を見せるな。のっぺらマスクだからどうしても目立ってしまうな…」
「わ、わかってます…」
烏丸はかなり縮こまってしまい、声が小さくなってる。

「室長、烏丸にあんまり言わない方がいいって。彼女、勇気出してんだ。本部にいる間に1度は思いっきり出かけたいからその一歩なんだよ。普段はゼノクにいるし…。烏丸の場合はハードルが上がるから協力してんだよ」

「御堂、わかったわかった」
宇崎、たじたじ。


「鼎の時もそうだったろうが」
御堂は少し苛ついてる。あー、そういえば4年前だっけ…。鼎が組織に入った当初もなんか似たようなことがあった気が…。


桐谷は組織の車両で待機していた。
「待ってましたよ〜。烏丸さん、大丈夫ですよ。エスコートは2人いますから」

桐谷は落ち着かせることに慣れている。5人とも組織の制服姿。烏丸は休日なので迷ったが、合わせることにした。この日はクリーム色のスーツ姿。


某所にある例の店へ到着。御堂は烏丸が車から降りる時に日傘を差してあげた。烏丸ののっぺらマスクの顔を見えないようにするため。桐谷もガード。
鼎と晴斗は先に店に入り、店長と稲葉と話してる。晴斗はOKのジェスチャーをした。
「いいって!ゼノク入居者だった店員さんがいるから大丈夫だよって!」

5人は店内へと入る。個性的な店…という印象。訳ありの客専門の服屋というだけある。よく見るとざっくりとカテゴリー分けされてるよう。


店長はファンキーな印象のおじさん。この人も癖強そう。

「稲葉〜。棗呼んできて〜」
「は〜い」
仮面の店員・稲葉は棗という店員を呼んだ。そこには烏丸と同じような治療スーツ姿の女性が。どこか垢抜けて見える。

「私が棗です。ゼノク入居者でした。まだ完全には回復してないのでこのスーツ生活を余儀なくされてます。あなたが烏丸さんですね?」
「はい…」
「この治療スーツ着用者用のカテゴリーはこちらになります。ゼノク元入居者は意外といるんですよ、日常生活に馴染めない人向けに店長がカテゴリーを増やしたんです。需要があったから…」
棗は烏丸を案内する。


「あ、あの…棗さんでしたっけ」
「…どうしましたか?」

「棗さん…どうやってここに行き着いたの…」
「店長に拾われたんです。ゼノクを出てから居場所がない私はさ迷ってました。このスーツ姿ですし…。店長は私に居場所をくれました。この店の近くにアパートがありますよね?」
「あの煉瓦色のですか?」
「あのアパート、ゼノク元入居者向けなんです。店長がオーナーしてて…誰1人取り残したくないって。私はそこに住んでます。元入居者向けだから顔見知りばかりですし。ここらへんで治療スーツでうろうろしても何もないですし。快適ですよ」

確かにこの店…住宅地にいきなり現れる。この辺のアパートはあそこくらいだから近所の住人はわかっているのか…。


「元入居者向けのアパートは他にもあるのかな…」

「あると聞いてます。意外と怪人の後遺症が完全回復せずに悩んでる人は多いみたいで。烏丸さん、大丈夫ですよ。別にスーツ姿でもいいじゃないですか。私なんて完全に開き直ってますからね。着せ替え人形感覚で楽しんでますよ。化粧出来ないのは難点ですが。ピアスやイヤリングはなんとかなりますし」
「完全にこのマスクのせい…ですよね…」
「まぁ…そうなんだけどね。スーツで個性を殺してるのならば、他のもので個性を出せばいいんです。私なんてこんな感じですし」


棗さん、ゼノクの治療スーツ姿なのにウィッグやアクセサリーで自分を主張しているな…。服はスーツとの兼ね合いで薄手だ。

「服との兼ね合い考えたら、薄いベージュや肌色のスーツよりもそのクリーム色とか淡い色付きや白の方が合わせやすいですよ。ヌーディカラーは顔がリアルのっぺらになっちゃいますからね。濃い色のスーツは服を選びますし…」


棗は烏丸を見てる。
「あの…なんでしょうか…」
「烏丸さん、もっと自信持ちなよ。今は組織の制服だけど私服だと幅が広がる感じがする。烏丸さん、スラッとしてるんだね」
「え…えぇ、別に…」
烏丸は恥ずかしいのか、うつむいてる。


ひとしきり話をした後、烏丸は何着か服とアクセを購入したようだ。帰りの車内。

「烏丸、何か買ったのか?」
鼎はなんとなしに聞く。

「棗さんのおかげで少し自信が出たかも…。私みたいに怪人による後遺症が完全に回復出来なくて悩んでいる人、意外といる話を聞いたら安心しました。ゼノク元入居者向けのアパートや施設もあるんだって」
「確かに棗さん、あのスーツ姿だったよな〜。開き直ってる感じが凄かったけどよ」御堂は遠目に烏丸と棗を見てた。

鼎は烏丸の買い物の間に自分用のものをしれっと買ってある。稲葉と会うと刺激を受ける様子。


それにしても棗は店長に拾われたって、どういうことだ?


数ヶ月前。長いゼノクでの治療生活を終えた棗は帰ってきた。だが、完全に回復したわけではないために治療スーツはまだ手放せない状態。端から見たら異様に見えるが、本人はそれどころじゃない。

居場所がない棗はふらふらとさ迷った末に店の前で行き倒れる。それをたまたま見たのが店長。店長は棗をゼノク元入居者だと見抜き、保護。
しばらく体力が回復するまでの間、店長は付きっきりで看病。棗はやがて回復した。店長はゼノク元入居者の扱いに慣れていた。店長は元ゼノク職員。

居場所がないと聞いた店長は元入居者向けのアパートに棗を住まわせる。棗に素質を見た店長は店でバイトさせることに。棗は治療スーツ生活をしているせいか、同じような境遇の客が来店するようになったという。


「烏丸さん、おかえり〜。どうだった?」
朝倉はキャピキャピしてる。

「意外と感じ良かったよ…。私と同じような人、意外と身近にいて安心しました」
「私も調べたよ。ゼノク元入居者で烏丸さんのような状態の人、意外と多いみたいだね。元入居者向けのアパートや施設もあるってさ」
「朝倉さんは休まないんですか?」
朝倉はよく見るとオンラインゲームしてる。矢神はリモートで何かしてる?

「え?休んでるよ?私らこの部屋に住んでるようなもんだし、連休言われてもやることがないから」
本部に2人の部屋はちゃんとあるのだが、朝倉と矢神の休日はだいたいこんな感じ。インドア派なんだー…ってか、この2人は引きこもり体質?


烏丸はなんとなくモニターを見た。何か塔の上に黒いもやがかかっているように見える…。
さらに詳しく見るために、烏丸はスーツ専用のゴーグルを着けた。

「これ…塔に何かかかってますね…。もやみたいな」
「えっ!?」
朝倉はゲームをやめると塔の定点カメラ映像を見る。矢神も急いで駆けつける。

「おい…これ塔にもやがかかってるの、首都圏だけじゃないか?ほら」
矢神はモニターを指差した。首都圏の塔だけ黒いもやがあるのに、他の地方には何もない。朝倉は烏丸のゴーグル姿に違和感がある様子。治療スーツ用のゴーグルなんてあるんだ…。デザインはVR用ゴーグルっぽいが。


朝倉は急いで室長に連絡。

「室長、首都圏の塔に異変が出ています」
「何?」
「黒いもや?です。他の地方の定点カメラには異常ありません」
「もう少し観察しろ。首都圏だけなのが気になるな…。発見したのは誰だ?」
「烏丸さんです」
「異変があったらすぐに報告しろと烏丸に伝えろよ」
「了解です」


烏丸は食い入るようにモニターを見ている。ものすごい集中力。マスクのせいで表情はわからないが、目線はモニターしか見ていない。


同時期、都心では巨大な鳥が目撃されていた。怪鳥か?



塔に異変発生。鼎さんが行った、訳ありの客専門の例の店がまた登場した…。店長も癖が強いが、稲葉と棗はビジュアル的な意味で個性的というか…。複雑というか…。
至って普通の店員さんもいますが、この店の客層の約8割が訳あり。

元入居者向けのアパートにはゼノクにいた親子連れもいたりする。ゼノクでの生活が長引いた結果、日常生活に馴染めないってキツいよ…。


謎の怪鳥は敵の可能性大。まだ組織は気づいていない。
解析班のフリーダムさがヤバい…。それでいいのか、解析班。


ゼルフェノアの中でも異質と言われてる部署が解析班だから…。晴斗や鼎達が所属している戦闘隊員も変わり者だらけなのが本部。
整備班は職人気質だったりするんで、研究肌の解析班とはビミョーらしい。…ていうか、そもそも整備班と解析班は滅多に接触しないけどな…。