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小さな約束も守れない

占星術殺人事件読了。以下ネタバレを含む。

ミステリ好きなら必ず読めと言われるこの作品。島田作品は初めて読んだ。処女作と聞いて驚愕。

プロローグの手記の部分から読み応えがあるが、やはり今作の一番の魅力はトリックであろう。物語の序盤から読者の意識を引きつけるであろうアゾート制作がミスリードだったとは!語り手である岩崎の必死の捜査や微細な占星術の解説も今作の犯人とは全く関係を持たないのである。まいった。あれだけ読んだのに…。笑

主人公の御手洗も魅力的であった。「電話帳を読まされたみたいだ。」「理解する能力がなけりゃピカソもただの落書きだ。」

納得の傑作であった。
「手品の幕は下りた。」

安定した日々の退屈が


横道世之介/吉田修一


「大切なもの」を与えてやるのではなく、その「大切なもの」を失ったときにどうやってそれを乗り越えるか、その強さを教えてやることなのではないか


主人公世之介の明るさ、運の良さ、流されやすさ、行動力、全てが愛おしかった。大学在学中に読むといいかも。思い出を振り返る中でふと「あいつは元気でやってるだろうか」と暖かい気持ちにさせる、そんな人物になりたいものだ。

私らしさとか優しさだけが

鍵のない夢を見る読了。

辻村深月は以前から好きでほとんど読破しているがやっと本書が読めた。
直木賞を受賞したらしい。


内容は短編が五つ収録されており、いずれも何かしらの犯罪と関係している。
だからといって彼らが特別な生い立ちであるとか、極悪人であるといったわけではない。
私は彼らの中に『私』を感じた。彼氏と別れられないDVを受ける女のコ、現実を直視しようとしない学生、育児ノイローゼの女性。
彼らはごく普通に生活していたはずだった。私たちとかけ離れて見える犯罪は実は日常に潜んでいるのだ。
他の作品同様、繊細な登場人物の心理描写が素晴らしい。
どうして著者は私のことがわかるのだろうと感心してしまう。
彼女の短編集を読むのは初めてだったが、私は長編こそ彼女の真髄を味わえるのではと思う。


深く愛せるかしら



ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ/辻村深月
名もなき毒/宮部みゆき


活動限界です
くちびるがっさがっさ

お久しぶりです※ネタバレ注意




悲しかった。
ただ、ひたすら悲しかった。


これは推理小説と呼ぶべきではないのかもしれない。
謎解きの要素はあまりなかったように感じる。
暗号文(?)も容易に解けるものだったうえに
犯人ははじめからひとりわかっていた。
さらにもう一人の犯人もうすうす気づいていたし、
警察もなんでいたの?と感じるほど印象が薄い。

だが、そんなことは問題ではない。
読んでる途中あまりにも悲しすぎて、脱力感が胸を占めた。
浅葱が、月子が、「i」が。 
特に浅葱。
第9章は読むのがつらかった。(第9章は下巻なんですけどね) 
もう彼を苦しめないで、自分を苦しめないで、と何度も感じた。
悪循環だ。自業自得だ。
様々な言葉が彼を責める。

第10章以降で真実が徐々に明らかになっていく。
そしてエピローグ。
私が思春期に読んでいたなら号泣だったろう笑
彼は決して不幸ではなかった。

…とにかく!わたしはこの作品が好きだ!
何も伝わらないと思いますが、興味のある方は是非手にとってみてください。
あと、恭司はすごいやつだった笑

表紙も素敵な一冊でした。
大好きだったって素直にまっすぐに言ったシーンはグッときました。


「俺は彼じゃないけど、だけどわかるよ。絶対に不幸じゃなかった。夜を照らす月の光は素晴らしく明るい。クリスマスのイルミネーションなんか比べ物にならないくらい、明るかったんだよ」


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