ギルドの仕事がひと段落着いて下町に戻ったときのことだった。
下町に一歩足を踏み出すなり

「ユーリだ!ちょうどよかった。こっちにきて手伝ってよ。」

そしてテッドに手を引っ張られる。
テッドのなすがまま引っ張られたほうへと走っていく。
テッドは子供癖に引っ張られる手はきつくて痛かった。
何をこんなに急いでいるんだ。
そして目的地に着いたのか手を離される。

「みんな、ユーリを連れてきたよ。」

テッドの一言でぞろぞろと下町のおなじみの顔ぶれが現れる。
久方ぶりだなと懐かしんでいたら特に目立つ金色の頭を見つけた。

「よぉ、フレンもいたのか。」

昔は当たり前のように隣にいた幼馴染
昔当たり前だったことが懐かしく感じる。

「なんだ、君も捕まったのか。」

フレンはいたずらっぽく笑う。

「で、騎士団長様は今日は何をしにこの町の下町にいらっしゃるのですか?」

「ユーリ茶化さないでくれ。僕はこれを運ぶのと飾り付けの手伝いをしていたんだ。」

フレンの指すこれとは笹のことだった。
それにはいろいろと飾り付けをされていた。
あぁ、そうか今日は七夕か
彦星と織姫が年に一回出会える日
そして短冊に書いた願いをかなえてくれる。

「ユーリ、フレンに久しぶりに会えたことは嬉しいのはわかるけど手伝ってよ。」

テッドは七夕用の飾りを手渡す。

「ユーリが来る前にフレンが運ぶ仕事を終わらせてくれたからあと飾りつけだけなんだ。」

「だからユーリは高いところに飾り付けをやってよ。」

そうやって意テッドにいわれるままに飾り付けを終わらせていく。
大体の飾りつけは終わった。

「そうだユーリ忘れていた。これユーリとフレンの分」

テッドから二枚の短冊を渡される。

「ユーリからフレンに渡しといてよ。そのほうがフレンも喜ぶと思うから。」

そう言ってバッと走り去ってしまうテッドを見てマセガキめと思ってしまう。
テッドに言われたとおりフレンに渡すためフレンを探した。
意外とフレンは見つからずに夜になってしまった。

「よかった。ユーリ見つかった。」

どうやらフレンもオレの事を探していたらしい。

「ユー力みに見せたいものがあるんだ。ついてきてくれないかな。」

フレンは俺に背を向けるとそのまま歩き出した。
そして俺はフレンを追うようについていく。
フレンが止まって辿り着いた目的地
人気もない町外れそして満天の星空がよく見えた。

「お前が見せたいものってこれ?」

オレは上に指を差す。
星が見渡せてとてもきれいだと思う。

「君に見せたいと思ったんだ。今日彦星と織姫が会えるこの日に」

「まるで僕たちみたいだねと思ってね。」

フレンは急に振り返る。
闇夜の中だけど星明りでフレンの髪はキラキラ輝いていてきれいに感じた。

「バァーカ。オレ達は望まばいつでも会えるだろ。」

オレは当たり前のような自由に合えるという幸せをかみ締めた。