…わかってるよ
原因は昨日の"アレ"だ…

池に落ちて身体冷やしちゃったのがいけなかったみたいだね…


***

暖かい蒲団は夢を長引かせ、現を遠ざけてしまう
そんなほわほわとした意識の中、彼は「呼ばれて」いた…

――…いっ!…ぃさく!!

誰が…呼んでる、だろ…


「伊作っ!起きろ!!

…遅刻すっぞ!!」


「………!!?!」

ガバリと身を起こした瞬間、伊作は強烈な目眩に襲われ、身体を動かすことが叶わなかった

「……っ…!」

声も出ないことに気付き、どうすることも出来ない侭のたまっていると、自分の異常に気付いた留さんが近づいて来て体制を楽にしてくれた

「………伊作、風邪か?」

声が出ないのでコクリ、と頷くと留さんは一瞬、痛みを湛えた瞳をした

「……よし、新野先生呼んでくるから…大人しくねているんだぞ?」

まるで僕が病の度に脱走する某会計委員長のようじゃないかと思い、ムスッとした視線を留さんに送ると…

「お前をアイツみたいなんて欠片も思ってない……


…俺が好きなのは……お前だからな…」

髪を二、三回撫でてから彼は立ち上がり、部屋を出て行った…


―――思わぬ爆弾発言に顔を真っ赤にした…もとより仄に赤かったそうだが…僕を診た新野先生が、苦笑しながら薬を処方するのはこれから数刻後の話…


***
この後、伊作は薬は自分で調合すると言いだし、六年皆で説得させられる