私は、学校の課題でやる
企画を少し詰めるため
シャープペンシルを持ち
ノートと向き合っていた。


その時、私の耳に
[ぷ〜ん]
という音が響いた。

そう。
季節外れの蚊が出没した。


私は耳障りな
その季節外れの蚊を
叩き潰そうと
左右の手と手を
蚊に照準を合わせた。

追い掛けること2秒ほど。

ついにその季節外れの蚊は
あたしの手と手の間へ。


今だ!!


しかし私はこの時
重大なミスを冒していることに
気づいていなかった…。


さぁ叩き潰そう。

左右の手を合わせた瞬間………!!!!








[いってえぇぇぇーーー]








響いたのは
あたしの野太い声の悲鳴。


そう、
先程企画を詰めるために
右手に持っていた
シャープペンシルを、
私は芯の方を内側にし
まだ右手の
親指と人差し指の間に
挟んだままだったのだった。



季節外れの蚊を叩き潰す。
ということに夢中になった私は
それに気づかなかった。

そして気づいた時には
もう遅かった。

蚊に向けられたはずの
左右の手の威力は
右手の親指と人差し指に挟まっている
シャープペンシルにも伝わり、
そのまま私の左手の平に………!!!!


そのあと私は
季節外れの蚊のことなど忘れ
慌てて傷の具合を見ながら
大騒ぎしていたのは、
言うまでもない。

今私の左手の平には
シャープペンシルの芯の
太さ分の穴がある。