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ふたりの






ザーーーーー……







「ねぇ、七海(ナナミ)傘持ってきた?」


ざわざわと騒ぐ教室の中
黙々と掃除をする七海に話しかける


「もちろん。」


短くそう答えるとどこかに行ってしまった


「えーーずるい!朝晴れてたじゃん」


私も後について行こうとすると
ちりとりを持って戻ってきた。



「ちゃんと掃除しなさい、当番でしょ」



「ちぇっ、」






ザーーーーー……




しばらくやむ気配はない






「夜空(ヨゾラ)、帰るよ」

「……コンビニ寄っていい?」


ぷぅーっとほっぺを膨らましながら
七海に付いていく





廊下を歩いていると


「あいあい傘、しよっか」

振り向いて
にやっと笑いながら言われた




パアッ

「七海すっき〜!!」



ガバッと抱きつく私を呆れ顔ではがされた



「家まで?ねぇ家まで入れてくれる?」


「分かれ道でバイバイよ」



そのあとは走れってか!!

家近いからがんばるけど〜





バンッ

ストライプの傘が広げられた



「……結構降ってるわね」

「朝晴れてるのにこれはナイ」




パシャ…パシャ……




雨はどうも好きになれない



髪の毛が広がって

じとじとしてて

私のボロのローファーが雨水を通す






「雨は落ち着いてて好きだな」

ぽつ、と
七海が言った


「ふ〜ん」


「夜空はキライそうね?」


うへぇ
バレてる



「良いとこわかんないよ」


ふふっと笑う七海


「雨はね匂いがスキよ」

「におい?」


雨のにおいなんてあった?

改めて嗅いだこともなかった




スンスン……



「どう?」


「うーーん??じめっとしてる?」


嗅いでみたけど
良さはわからなかった、、、





「澄んでる感じがするの」

「雨?においが?」


「そうね、空気が透明な感覚がするわ」




七海は雨の時にそんなことを
感じていたのか


私はマイナスばかりで
プラスのことなんて無かったな



いや、体育が室内になる
嬉しさはあるな!一個あった!



「分かった!マイナスイオン的なあれでしょ」


ドヤッ



「……ぷっ、そうね?」


笑われてしまったが
そんな感じか、うんうん





ザリ、


「はい、分かれ道。」

「あ。」



どうやら分かれ道まで来ていたようだ

ここからは一人だ




「ありがと!七海、バイバイ」

「うん、また明日」




よしっ、走るか





と気合いをいれた





「ちなみに、わたし、」



「ん?」




七海がグッと顔に近寄る









「夜空のニオイも好きよ」










ザーーーーー……








ザーーーーー……









「ち、近いよ七海」




ふわりと髪がゆれて

爽やかなシャンプーの匂いがした




わ、私のニオイってなに??






「あまくて、いいニオイ」










パシャン………








水溜まりに傘が落ちていった



















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