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絶体絶命

 かなしみが声を殺して
 わたしを待ち構えている
 躙り寄る気配の主を
 知りながらも手に掛かって
 余にも重く余にも硬く
 余にも暗く余にも冷たい
 かなしみが顔を隠して
 わたしを抱き抱えている
 押し掛るその恐ろしさ
 知りながらと儘と捕まって
 余にも低く余にも永く
 余にも深く余にも大きい
 静寂が
 「騒いだ所で出される答えは同じ」と
 教えてよ頭のうちでは
 言葉がなにより正しいと
 かなしみよ横たわって
 わたしを喰い尽くさないで
 関わり合って居ない知能と肉体だけ
 持て余して
 絶望が囁く
 「逃した魚へ拘泥る姿勢は尊い」と
 教えてよ口にだした途端
 言葉は裏切るものだと
 唯独りにして放っといて
 さよならかなしみよ
 寝返り打って…
 かなしみよ向こうへ行って…
 かなしみよ押し黙って
 わたしを縛り付けないで
 晴れ渡る空は遠く塗り潰されて行く



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