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勝手に作家さんを紹介していくシリーズ1・SHOOWA




どうもこんにちは!た、大変なくらいお久しぶりです。
どもども。ゆきおです。

毎日、創作にかまけていたら最後にまともな記事を更新したのが約半年前になっていて慌てました。

また、たまにしょうもないことを呟く感じでブログしていこうと思ってますので、お暇なときにでもお付き合いくださると嬉しいです。

で、なんでこのたび戻ってきたかといいますと。

久しぶりに商業作家さんのことちょう語りたい!と思ったからです。

覚えてらっしゃる方はいらっしゃるでしょうか?
はるか昔、太古のカンブリア紀にわたしが「それぞれの雑誌の看板作家さん」の話をしたのを。

あの話をしてから結構な時間が経ち、その間もカンブリア紀まっさかりの商業BL界はさまざまな地殻変動、新種の生物の大発生が起こっておりました。

そんな中で、語り足りなかった作家さんとか、新たな注目作家さんとかを今再び語りたいぜ、勝手に!と思ったので語ります。なにこの自己満足臭。

いや、でもですね 個人のブログなんてマスター○ーションみたいなもんでどんなお題目を口にしようと結局は自己満足じゃない?(下品)ということで。


はじまりはじまり!今日のテーマは最近個人的にイチオシ!の作家さん「SHOOWA」さんいっきます。



■SHOOWA

TLコミック(ちょっとえっちな方向性の少女マンガです。基本読みきり)、NAR○T○の同人、電子書籍などでの活動ののち芹文社の花音を中心に、大洋図書のHertzや海王社のGUSHにも作品を発表している作家さん。

看板作家さん、という感じで表紙にデッカク名前を掲載するような多作な方ではないのですが、いまのところ出ているコミックスの出版元は芹文社が多いので、芹文社さんがいちばん強いコネクションを持っている作家さんなのかなぁ?という感じです(コレ結構意外なんですよね。SHOOWAさんはどっちかっていうと大洋あたりが好きそうな雰囲気の作家さんなので。個人的には花音での西田東さんみたいな立ち位置の個性派枠なのかな?と予想)

作品の特徴は、「独特のサブカル風味(オシャレさ)漂うガサっとした絵柄とギャグタッチとシリアスモードのギャップ」でしょうか。

ほんとに、作品によってガラっと表情の変わるお話を描かれる方で、その変貌ぶりは中村明日美子さんレベル(笑)
「ジンと猫は呼ぶと来ない」というコミックスに収録されている短編群を読むとそのあたりかなり堪能できますので興味のある方はぜひ。

「あなたは黒いSHOOWAさんと黄色いSHOOWAさん、どっちがお好きかしら?」と問われたら人によって答えはかわりそうです(白でなくて黄色なのがSHOOWAさんです)

漫画の描き方も結構独特で、わたしがSHOOWAさんのいちばんの特徴だな、と思うのはコマの割り方で、普通 BLの作家さんは横に長いコマと線のみで割ったコマを中心に組み立てつつ、縦の動きで変化をつける感じの方が多いと思うんですが、SHOOWAさんはほとんど正方形に近い形の小さめのコマを基調に、コマとコマとの隙間の効果とカメラアングルやキャラクターの動作を細かく切って、連続して同じシーンを切り取って見せていくことで独特の映画的な見せ方をするのが特徴だと思います。
あ、この説明わかんない?わかんなかったら一冊買ってほかの作家さんのコマ割りと比べたら一発でわかる!気にスンナ!

たぶんSHOOWAさんはフランスとかあっち系の静かな映画がすきなんじゃないかな?と想像しているんですが…どうでしょう。

現在出ているコミックス6冊のうち2冊は絶版なうえにプレミアがついちゃって入手できないので、わたしも歯噛みしているところなんですが、絶版の2冊はなんと新装版になってこの秋に出るらしいので、そっちはそのときの楽しみにしとくことにして、現在も普通に入手可能な「向日性のとびら」「ジンと猫は呼ぶと来ない」「イベリコ豚と恋と椿」「パパ'sアサシン〜龍之介は飛んでいく」の4冊のことをちょっくら紹介。

まず花音さんからの二冊「向日性のとびら」と「ジンと猫は呼ぶと来ない」は関連する作品です。

先の話にあたる「向日性のとびら」は欧州の架空の街を舞台にした物語で、主人公のシスは30代前半〜30代半ばくらいの在宅で働く自由人。
シスには彼曰く「電波」な兄がいて、彼とは随分 会っていないが、ある日突然 その兄が死んだことと、兄には養子の少年・カイがいたことを知らされる。
17歳のカイは不思議な少年で、どこか子どものような無邪気さと哀愁が漂っている。
しかも、カイはシスのベッドに夜な夜なもぐりこんでは一緒に眠ってしまうのだ。
その姿を恋人に見られてシスは恋人と破局してしまうのだが、どこか本気で悲しめない。
そんな様子をシスの悪友で街の情報屋のジンは面白おかしそうに見守る。
しかし、そんなカイとの平穏な日々も束の間、シスは自分とカイをめぐる「秘密」を知り、トラブルに巻き込まれていくことになる。

というお話です。
細かい話をするとほんとうにただのネタバレになってしまうので殆ど語れないのですが、BL漫画のたった1冊でこんなドラマチックな話をできるんだ!と わたしの中でひとつBL観を変えてくれた作品。
BLはまりたての結構初期に手にとったんですが、びっくりでした。
お話は1冊で描く内容としては複雑で、長いセリフの文字を読んだり、ミステリっぽい内容に慣れてない方にはちょっとわかりにくい内容かもしれませんが、そこをすっ飛ばして「シスとカイの恋物語」と単純化して読んでも十分楽しめると思います。

なにより、SHOOWAさんのえろってときめくんです!!←重要

そういうシーンが多い、とかではないんですが あると「せつなえろい」です。
キスするときの顔が斜めに傾く感じとか、頬や耳をなでる指、キャラの表情・アングルがとにかくいい。

「ああんらめぇぇ」的な青年誌的えろとは対極の、少女マンガ的な、擬音や汁描写などのエロ記号は極力排除してキャラの表情やカラダの動きを丁寧に見せながら描くタイプのエロスです。これがもう、ほんっとにせつなえろい……!

読みながらキュンッとなるんですよね。このオッサンになりかけのわたしでもなる!イイヨーSHOOWAさんこういうエロもっと描いてくれてイイヨー。

そんな感じの「せつなえろ」がより深化しつつ新たな要素をプラスされているのが「向日性のとびら」でシスの友人で街の情報屋として活躍したジンを中心に据えて街の「裏家業者たち」の愛とも恋とも執着ともつかない微妙な関係性を描く「ジンと猫は呼ぶと来ない」です。

こっちはせつなえろに加えて「痛えろ」が追加されております。
実際 リンチされてる、とか殴られて血みどろ、とかではなくて心が痛くなる感じの「痛えろ」

好きなのか、寂しいのか。恋なのか、執着なのか。

わからなくて、結局どうすることもできない人たちがみんなそれぞれ一方通行のまま片思いしてるみたいな群像劇なので、「BLの基本は笑顔とハッピーエンドとカップル成立」って人にはちょっと合わなさそうですが、「そういうどうしようもない閉塞感漂う不健康な奴らいいよー」な人にはたまらんと思います。わたしはたまらんかった!

でもまぁ、「ジン猫」は好み分かれそうなので、「BLの基本は笑顔とハッピーエンド」派の人にオススメしたいSHOOWA作品デビューに最適・最近ドラマCDにもなっちゃったりしてSHOOWAさんがスターダムに押しあがるキッカケになりそうな一作が「イベリコ豚と恋と椿」です。

さっきの「向日性」シリーズとは違って舞台は普通に日本。
主人公らはちょっと不良の高校生。
町には不良だけど、ゴミ拾い活動をしている「仁義あるワル」たち「イベリコ豚」というのがいる。
近隣でも有名なイカレ野郎のイベリコ豚に、ある日 椿は「道にゴミを捨てた」と勘違いされてしまう。
濡れ衣だ、といくら主張しても引かないイベリコ豚のメンバーと道端で言い争いになっていると、椿の前にイベリコ豚のリーダーで通称・イベリコと呼ばれる男が現れる。
話を聞いたイベリコは椿にあっさり謝ると、イチャモンをつけてしまった詫びにファミレスでおごってくれるという。イベリコの男気に触れるうちにイベリコになついてしまった椿はイベリコの通う高校におしかけて放課後つるむようになっていくのだが…というお話。

ここではあらすじ書けなかったんですが、椿とイベリコの話以外にも、イベリコ豚の幹部的二人・吉宗と源治のお話も入って、不良同士で2カプ読める連作になっています。
「向日性」シリーズではちょっと影をひそめていたSHOOWAさん独特のギャグもしっかり利いていて、ちょっと下品なところがありつつも(笑)明るくてスカッとしてて、たまーにSHOOWAさんらしい重たい話があるんですけど、そういう過去があって今が明るく楽しい、という話なので暗いところにおちる感じじゃなく読めるので 多分 このお話がいちばん間口が広くていろんな人が読んで「スキ!」となるお話だと思います。
わたしもこのお話どっちのカップルも大好きです。
椿のまっすぐ可愛いとこもいいし、イベリコの食えないところや不器用なやさしさも好きだ。
吉宗は不幸体質好きには文句なしの男前だし、お相手の源治も大人ぶってる等身大の男子で素敵。
相変わらずえろいとこもときめくえろ。

で、そんな感じでSHOOWA作品にすっかりはまってしまったアナタ様に最後に読んで欲しいのがこれ!
現在も連載中の最新作「パパ'sアサシン」です。

なにこの変なタイトル、と思った方。
……わたしも思った……。でも、読んで思いました。SHOOWAさんのタイトルセンスはパネェ、と。
このタイトルでゴーサイン出したHertzの度量にも感心した。「これじゃ売れない」とわたしが担当だったらもうちょい無難なタイトルにかえさせるところです(笑)
でも、面白いです文句なし!

あらすじはネタバレになるので難しいんですが、ごく普通の高校生の龍之介はモテモテ男前の父・ダニエルと二人暮らし。龍之介は知らされていないが、龍之介は14年前 ダニエルがある女性から託された子どもだった。気の置けない友人もいて、楽しい毎日を送る龍之介だが、実は父のダニエルにはいえない悩みを抱えていて…というお話。

主役はSHOOWAさんお得意の「ビッチなのに一途な受け」です。
わたし、龍之介みたいな子大大大好きです。
心は一途なのに、寂しいからカラダはビッチになっちゃう受け…。
え、苦手だって?……まじか。しかし皆さん!いつも思うんですが、ビッチって言うとちょっと「え…」ってヒキ気味になっちゃうのはわかるんですが、読んだら絶対「この子ええ子やぁ…!」ってなりますからね。
SHOOWAさんの描く少年の哀愁漂う一瞬の表情は本当にすばらしいです。
なんか「無理してる笑顔」とか、「必死に泣くのを我慢して普通の顔してる普通の顔」とかがわかるんです。
こんな微妙な表情描ける作家さんはなかなかいない。
漫画家さんの絵のうまさ、というのはいろんな種類があって、線が綺麗だとか、背景がちゃんと描けてるとか、絵柄が好みだとかいろんなポイントがあるとおもうんですが、わたしは何より「表情を描くのがうまい作家さん」の絵にときめきます。
そのたったひとコマからいろんな気持ちが滲むような「行間を読ませる絵」に惹かれるんですよね。
SHOOWAさんは間違いなくそれができる稀有な作家さんです。大好き!

まだ読んだことのない方、悪いことは言わないので「ちょっと読んでみたい」と思った作品からでいいのでぜひぜひ。








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