右を見ても山
左を見ても山
グラウンドには鹿
隣のクラスは上級生

一学年20人構成の
全校生徒は60人未満。

全てが変わりました。

マンモス学校卒業の、のんたろには、とてもじゃないですが差が有りすぎて入学式早々、気が重い。

クラスメイトはみんな保育園や幼稚園からの幼なじみだと言う。

転入生、ましてや奇抜なのんたろが馴染めるわけが有りません。

クラスで孤立化。

上級生からはターゲットにされ「デカイ学校から来たからって調子にノってんじゃねぇ」と擦れ違い様に罵倒。



そんな暗黒の中学生時代に光が射したのは、意外と早かった(笑)

Rコ。可愛くて、成績優秀、スポーツ万能。
何で、のんたろみたいな、素行不良児(茶髪、制服改造、成績悪い)と仲良くしてくれたのか。

何気ない事で話し掛けてくれ、急速に仲良くなりました。

Rコの人脈で、スクールバス(のんたろ家は学区内でも遠方)で一緒だったYコとも友達に。

Yコは独特な雰囲気を持ってて、一緒に居ると、とにかく楽しかった。

仲良しな友達が出来、いつの間にかクラスにも馴染めるようになりました。


そして、初めての彼氏T。

Tは、いわゆるイケメンってやつで、中学生にしては大人っぽい、田舎の中学にこんな人いるんだ〜と思うような人。
他中学の女子にも人気があるようでした。


のんたろは、とにかく馴染まなきゃ!友達つくらなきゃ!と必死だったので、男子には一切興味無し。

話すらまともにした事が有りません。

…と言うのも、のんたろ。
ドが付くほどの奥手。
異性を前にすると言葉が上手く出て来ないのです。

のんたろの恋愛年齢は小学生で止まったまま。
『男』として好き。なんて無い。『面白くて良いヤツ』が好き。

兄も同じ中学で上級生に居ます。
ある日、家で言われました。

『T、お前の事好きらしいよ。』

接点ないのに何故?
てゆーか恥ずかしくて無理!意識したら余計、近寄りたくない!無理無理無理!

のんたろの恥ずかしがり屋に拍車をかけただけです。

が。

Tから、ある日、突然の電話。

手汗をかき、心臓が口から出るんじゃないか?と言うほど緊張しながら電話を持ってたのを覚えてます(笑)

話してみると、気さくな良いヤツで見た目とはギャップが有りすぎるぐらい無邪気なヤツ…。

毎日、飽きもせずに電話をくれて、のんたろが気を許した頃に告白され付き合う事に。

しかし。

ドが付くほどの奥手のんたろ。
付き合うって何?
どうすれば良いの?
てゆーか恥ずかしい!
顔見れない!喋れない!
どう接して良いか分からない!

と1人でパニックになってしまい、最終的にはTに愛想を尽かされ終了。

その後、Tとは気まずくなり、言葉すら交わさなくなりました。

憧れの先輩に恋をしたりもしましたが、また繰り返し…。


青春の1ページ。
そう、思う事が出来れば良かった。


それ以来、だんだん引っ込み思案になってしまい、人と距離を置くように。

緊張してしまう自分が嫌
素直になれない自分が嫌
赤面するのが嫌、太っているのが嫌、ブスな自分が嫌、嫌嫌嫌嫌嫌、とにかく自分が大嫌いになりました。

思春期特有ですね。

コンプレックスが強くなるにつれ、人の目を見て話す事が出来なくなり、顔を隠すように。

そうすると今度は、学校へ行くのが嫌になる。人前に出たくない…。仮病を使っては頻繁に学校を休むようになりました。

部屋にこもって、読書をする。それが、コンプレックスだらけだった自分を小説の中に綴じ込めて、没頭できる唯一の逃げ道でした。

この頃、父母が不仲になり、毎日怒鳴り声と罵声が飛び交う状態になっていました。
酷いときは一晩中。
煩くて眠れないまま学校に行くことも日常茶飯事。

両親の声が聞こえないようにヘッドフォンで爆音の音楽を聴きながら眠りにつくようになりました。

登校してもクラスのみんなが羨ましく思えた。それと同時に自分が虚しく思えた。