オモイオモワレフリフラレ




紺野の会社に派遣され少し経ってから、僕の歓迎会が開かれた。

祭り好きな会社の様でなんでかんで宴会が開かれる。この月も4つの宴会が予定されていた。歓迎会では僕がもてはやされる訳ではなくて、自己紹介も早々に皆、酒、酒、酒、
若手社員でずば抜けて出来る奴として、まだ言葉を交わしていなくても紺野の存在は知っていたけどこの日初めて紺野をしっかりと認知した。


上司『紺野ォォォ…お前ふられたんだってな〜付き合ってまだ3ヶ月くらいじゃあなかった?みじけ!短小だからじゃないのか?うへいいいあえあえあ』


紺野はふられたのか。ほぉ〜、こんな何でも出来る奴を振る女がいるとはねぇ、、
僕を挟んで上司と紺野はクダを巻きあっている。

紺野『振られたのは確かですけど、短小というのは訂正します。俺のは凄いですからね。日本一ですよ日本一。』


ほぉ〜、紺野のは日本一なのか〜、尚更女の気が知れないな。つまり、プライベートでの人格に問題があるか、2人の相性が合わなかった、どっちかだな…


紺野『市川さん、確認しなくて大丈夫ですか?』

僕「じゃあ今度時間がある時にでも」


と、テキトーに返して金がないからみんなの金で一週間分の飯を食おうと決めていた僕はご飯をもっしゃもっしゃ食っていたら、紺野ノリ良く話せる人間が出来たと喜んで、三次会まで付き合ったところ、


紺野『市川さん、中抜けしましょう』


えっえっと返事する僕を強引にバーに引きずった。


紺野『仕事は慣れましたか?』

僕「ひとりは慣れましたか」


紺野に聞かれてからすぐに返した。勝手に引きずられて少々腹立たしいかったのでつっかかりたくなったのだ。

紺野は、あーーーーー、と遠い記憶を持ってくる様に唸ったあと、


紺野『いや、面白いもの見つけたから問題ありませんね』


躰全体で僕を見ている。しかも、真顔で、切れ長のしっかりとした目は僕をじっと見ている。僕でもなんだか勘違いする様な恐ろしく真っ直ぐな目だったので、


僕「あーーーーー、そうですか。それは本当に良かった。」


雰囲気を変える様に笑って、振られた話を聞いた。紺野側から聞くから当たり前なんだけれど、紺野は悪く無かった。女はまだ若くお盛んであったので次々と吸収し、色々な躰を食いたかったのだなぁ、というのが僕のざっくりとした見解だ。

どんな人間とでも、俺は恋愛をしているのだ!愛しているのだ!と、自分に言い聞かせながら恋愛をするので、恋人を神の様に崇拝していまう。本当は恋人でなくてもなんでもよくて、とにかく愛してくれる人が欲しいからそれと同等なモノコトをあげてしまうのだ。あげるからおくれよ。精神。
それが釣り合わなかったとき崩れ、向こうもメンドクセってなるのかもしれない。

バーで知った紺野は仕事の時とは違う、よわよわな男の子だった。さっきまで問題無い。キリ。っとしていたのに、今だったらまだ向こうからやり直そうって言ってきたら払い戻すのに…と、何度も繰り返す紺野。


やめちまえやめちまえ、そんな恋愛。
と、言うとムッとした様でもあった。その女の事を好きか嫌いか知らないが、
捨てたいのに(自分愛してくれる可能性がある人間)を離せないもんなんだなぁ、と、思った。




結局この日は社会人らしく社会人たるもの社会人として紺野と別れ、家路についた。


次の日の朝携帯電話を見るとバーで泥酔した僕らはツーショット写真を撮っていた。いい大人が、、と、思いながら少しだけニヤついたのは気まぐれかもしれない。