こんばんは

昨日
父に会ってきました

10年以上会っていなかった間に
糖尿病によって父の脳は萎縮し
現在実年齢とはかけ離れた90歳くらいの
脳になってしまいました

だから
私のこと分かりません

寝た父のベッドを弟が起こしました
父は私の顔をじっとじっとじっと
見ていました

母が声を掛けました
りこに会いたい?

父が応えました
会いたい〜


今日はりこが来てるよ〜

父は私の顔をまたじっと見て
りこじゃない〜
と言いました

私は言いました
りこだよ〜
大きくなったんだよ〜

記憶は昔に帰っていくというから
子どものりこを父は覚えてるのでは…
と思ったのです

母がもう一度言いました
りこを覚えてないの〜?


覚えてる〜


可愛かったな〜


可愛かった〜
可愛くて可愛くてしかたなかった〜

そして
にっこり笑いました




りこが好きだった父は昔の父
父が見てるのも昔のりこ

昔は仲良しだったよ

その後
いろいろいろいろあって
りこはとても苦しんだよ

だから
会えなくなったよ



でも
また会えた



もう
今のりこを認識できなくても
父は昔のりこに会いたがって
昔のりこを可愛かったって言った

知ってたはずなのに
父が私のことを大切に思ってくれてること
知っていたはずなのに…

悲しいからか
嬉しいからか
涙が出ました

疲れたみたいだったから
もう休みたい?と母が尋ねました

休みたい
父は応えました

じゃあ帰るね〜と言うと
しばらくじっと黙った後…

いじめんといて〜
いじめんといて〜
と言いました

母も弟も意味が分かりませんでした

りこは分かりました

休みたい
でも
帰って欲しくない…
休みたいなら帰るね〜と言われると
帰って欲しくない気持ちと
休みたい気持ちが葛藤して
いじめられた気持ちになったって…

それでも
面会の時間が終わりになりました

りこが誰かももう分からないのに
最後に帰るね〜って言ったら
あ〜!って言って嫌がりました

毎日毎日寝たきりで
何にもない…

誰かと話すことも
本を読むことも
食べることすらも
できなくなって
毎日毎日寝たきりでぼーっとしてる

でも
誰かが
それが誰か分からなくても
誰かが会いに来てくれたら
嬉しいみたい

母のことも
りこのことも
弟のことも
認識できなくても
所縁のある人だという感覚は
残っているのかもしれない…

お別れの時が迫ってる
そう感じました

随分昔にさよならしたつもりだったのに…

私は父を好きだったことを思い出し
父は思い出せないりこと会いました


切ない再会でした