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一生

話題:突発的文章・物語・詩

この度、時間という概念が大きく変わるらしい
いや、厳密に言えば徐々に変化していくらしく、その前兆はもう何百年と前からあったのだと
そしてその現象が発覚したのは半年前
それからというもの、テレビでは連日のようにこの現象についての特集が組まれ、お偉いさんや学者が騒ぎ立てているが、俺たち庶民にはイマイチ事の重大さが伝わらない
なんでも過去から現在そして未来と同一直線上にあったものが、徐々にではあるが、そうでなくなっているらしい
やはりどういう事なのかイマイチピンとこない
なんでも、この1週間で似たような事件が頻発しているのもこの現象のせいだとか
その事件というのが奇妙な話なんだが、自分の目の前に、自分と同じ姿形をした所謂ドッペルゲンガーが現れるのだと
俄かには信じがたい話だろう
まともな人間ならば幻覚や思い過ごしじゃないかと思うだろう
しかしこの俺が実際にその場に遭遇してしまったのだがら、信じる他はない
あの日、仲のいい同僚のAが2人、確かにそこにいた
似たような別人とは思えなかった
当事者でこそなかったが、心底不気味な思いだった
俺のように、その場に居合わせた連中を含めれば誰もが一度はこんな経験をしている
それ程にこの事件、最近は頻繁におきている
学者どもはこれについて様々な見解を出しているが、どれも推測の域をでなかった
ただ一つ、例の時間の問題が原因であるということだけは確からしかった
そうそう、そしてそのドッペルゲンガー事件がどういう経緯を辿るのか
なんと奴らはほんの五秒くらいで跡形もなく消えてしまうのだ
その後Aに変な所は見られなかったし、病院での検査結果も特に異常は無かった
持病の糖尿は引っかかっていたが


あれから1週間が経った
変わりもせずにテレビでは例の件で盛り上がっている
だが庶民の俺は最早慣れにも似た感覚だった
赤信号も皆で渡れば怖くないし、ただちに影響はないとくれば皆こんなものだろう

そんなことよりも俺は俺の日常を消化していかなければならない
何年目だろうか、社会に出てから
それすらも直ぐには出てこないなんて俺も歳をとったなぁ
なんてひとりごちる
俺はこれまで、なるべく面倒を起こさないで生きてきた
そんな過去を振り返っては少し淋しく思ったりもするのだがいやいやこれでいいのだ
何よりこれから先に響いては困る
老後は田舎に篭り悠々自適に暮らすのだから
そのためには堅実な歩みを持って進まねばなるまい

この靴すこし汚れて来たな
一瞬取引先の相手の顔が浮かんだが

男は構わず玄関のドアを開けた


俺ががいる
目の前に

俺が


男の意識はそこで途絶えた



ドッペルゲンガー現象は時間の断片化が進んで来た結果であった
過去から現在を通過し未来へと同一直線上に流れていた時間が、それぞれが切り離され現在を除いて過去と未来が繋がってしまったのだ
ドッペルゲンガーはその切り貼りの途中に現れていたのだろう

そしてその結果訪れたのは無だった

人間達は愚かだった
過去と未来が確かに存在しているかのように錯覚していた
時間が帯のように連続して、今を起点にその延長線上までも自分達が掌握しているつもりになっていた
だがそれは間違いだったのだ
私たちが得られるものは、今というただ一点のみだった

記憶に惑わされるな
想像に呑み込まれるな

過去と未来とは人間の脳内が作り出した概念に過ぎない

それは過去への焦燥と未来への憧れにとらわれ過ぎてしまった人間達への皮肉であった



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無限、夢幻

最近調子はどうだい?

いたって健康だよ。ただこの頃夢見が悪くてね。

へえ?

目が覚めたとき、冷や汗と動悸が凄くてさ、とても怖い夢を見ていたはずなんだ。
ただ不思議なことにそれが毎回同じ夢だということはわかっているのに肝心の夢の内容を思い出せなくてね。

ふうん。今日の朝もかい?

ああ。毎日あの夢をみる。もう気が狂いそうだよ。

そうか。あまり気に病むなよ。

ああ。ありがとう。


そう。今日も君に言わなきゃならないことがあるんだ。
ああ、僕も辛いんだけどね、これも僕の使命だから。
どうか僕を責めないでくれよ。
僕だって毎回同じでなきゃならないしそれってとっても、もしかしたら君よりも辛いんだから。
あ、これでちょうど1000回目だね。






「残念ながらこれも夢なんだ。」








たまに夢の中で夢から起きた夢を見たりしませんか?
永遠に夢から抜けられず。
これは現実か否か。
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