2009-8-9 13:45
幸柳が買い物に行ったら【昼食編】
前ブログの小話です
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「れ、蓮二?」
幸村は、一心にとんこつラーメンにお湯を注ぐ男を凝視した。
「味なくなっちゃうよ」
「いや、ここのスープは俺には濃厚過ぎてな」
会話の間も男の手は休まることなくお湯を注ぎ続ける。かっと目を見開いてポットを持つ男の姿は真剣そのものだ。
「ああああああやめてええええ。ごめん。俺がここがいいなんて言ったから」
グルメな丸井に薦められた店に来たいとゴリ押しした俺が悪かったからー蓮二ーと詫びる幸村を尻目に柳は自分用特製とんこつラーメンを完成させた。(お湯で極限までスープを薄めたもの)
「本来の白色が見られないよ?」
「ああそうだな」
幸村の言葉を意にも介せず、柳は小気味よく割り箸を割り箸を割った。
「いただきます」
「え?ああいただいてください」
柳の食べている器を覗き込んだ。
「スープ透き通ってて底が見えるよ?」
「うん?なかなか美味いぞ」
笑顔で返されてしまってはにべも無い。
幸村は観念して自らも箸を進めることにした。