「やっぱり眼鏡、曇るんだ」
相向かいに座り一心にラーメンをすする男を見て笑いが弾ける。
持ち主のようにスタイリッシュで洗練された眼鏡はいまや湯気に当てられて白く曇っている。
「仕方が無いだろう。掛けないと何処に麺があるかさえ解らないんだ」
体をゆすって笑いを体現中の不二に手塚は分かるようにため息を吐いた。
「あはははは、苦労するねえ」
「ああ、苦労掛ける(眼鏡に)」
「幸村みたーい。ゆうきむらあああああ」
「・・・・・・お前の今の声も真田みたいだったぞ」
一向に笑いやまない気配に呆れ、手塚は一気にスープを飲んだ。