俳優の中川大志が1/25、都内で行なわれたBS-TBS開局20周年記念ドラマ『左手一本のシュート』(3/14、21:00)記者発表会に出席。中学時代の部活動以来、バスケットボールに本格的に挑戦する大志君は「ここまでがっつりやるのは中学生の部活以来。バスケは運動量が多いスポーツなので、体力面と勘を取り戻すことを頑張っています。久々にボールを持って、まず体の衰えに落ち込むところから始まりました。でも久々にチームメートと青春しているなっていう感じ」と苦笑いを浮かべた。
原作はその軌跡を描いた島沢優子のノンフィクション小説[左手一本のシュート〜夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活]。物語の主人公は、2007年4月、高校の入学式を目前に脳出血で倒れた山梨県日川高校バスケットボール部の田中正幸さん(当時19歳)。命は助かったものの、右半身麻痺で選手としての復帰は絶望的に。高校には1年遅れで入学し「再び試合のコートに立つ」という夢に向かってリハビリを続ける。そして最後のインターハイ予選で新聞記事にもなった“左手一本のシュート”の実話を、中川大志を主演に描く。
同局は開局20周年記念し、パラリンピックをテーマにした番組を三夜連続で企画。『左手一本のシュート』は、その第2夜で放送される。
大志君自身も中学時代にバスケット部で活動。起用理由も「バスケットボールの経験がある人がいいと思った」(プロデューサー)というものだ。昨年2019年12月から感覚を取り戻すべく共演者と練習に励んでいる。
「後輩たちから尊敬されていた正幸さんのような選手を演じるのは、逆にプレッシャーがすごくあります。正幸さんご本人も含めて、このお話に関わった当事者の方たちがどういう風に受け取られるかなっていうのは不安なところもある」と実在する人物を演じる難しさを感じているというが、「資料や小説を読んで、ドラマのような話で、正幸さんの人生を生きてみたいと思った」と告白。田中さんに直接会って話を聞いたほか、病院の医師やリハビリ指導者からも当時の様子を聞いて役作りをしている。「歴史上の人物を演じたことはあるけど、(現代の)当事者の方を演じるのは初めて。ご本人とお話しさせていただいたり、実際にリハビリを指導していた先生、実際に通っていた病院に本当に足を運んでお話を聞いて、“こんな風だったよ”と教えていただくっていうことがすごく自分にとって心強い」と実在するからこそできることを役作りに生かしているという。
撮影は順調に進んでおり「やればやるほど立ち上がって夢に向かっていく強さを感じている」という。現在、撮影4日目だが「熱い作品になるんじゃないかと思っております。楽しみにしていただければと思います。もう一度立ち上がって夢に向かう強さを感じています」と背筋を伸ばした。
体を鍛えるなど現在も運動は続けているものの、大志君は「運動はしていたんですけど、すごい運動量。体に障害が出てからのバスケットシーンもあるので、左手を使っての練習もしています。左手でのシュートは初めてのチャレンジなので一生懸命練習を重ねているところです」と必死に挑戦している段階。
さらに「12月から少しずつ練習をしているので、バスケシーンはかっこよくできるようにしたい。朝9時に集合して走っているので朝練ですよね。でも、みんなとやっているので“青春”していると感じます。そういう時間も映像に出てくると思っています」とつらくとも楽しい撮影期間であると語った。
大志君は特に正幸さんがシュートを決めた場面については「映像も残っていまして、何回見ても胸が熱くなる」といい「正幸さんが左手でシュートを決める。それはすごいことで鳥肌が立ちました。何にぐっと来たのかを考えたとき、周りのチームメイトだったり家族の喜ぶ姿、本人よりも周囲が喜んでいることが、このドラマで大事なことだと思っています。正幸さんの人柄や、どういう関係があったからここまで来られたのか、最後のシュートが決まる瞬間に向けて熱いシーンにできれば」と意気込んでいた。
田中さんは現在、競泳でのパラリンピック出場を目指している。ドラマ化が決定し「すごく光栄」と喜んでいる。「2010年を振り返ると内容の濃い1年で、1年休学をしましたが、“諦めない心”を学んだ高校3年間だったと思い出しました。中川さんが主演と聞き、こんなイケメンが…と困惑しました。役になりきる姿は圧巻だと思います。ラストの試合シーンはもちろんのこと、チーム全員が一緒に泣いてくれたシーンを注目ポイントに挙げたいと思います」とコメントを寄せた。
ほかの出演は、石黒賢、永作博美ら。