俳優の佐藤健が主演を務める映画『ひとよ』が今秋に公開されることが決まった。[孤狼の血]の白石和彌監督がメガホンを取る。

『ひとよ』は、[鶴屋南北戯曲賞][読売文学賞戯曲・シナリオ賞]などを受賞した、劇作家・桑原裕子率いる劇団KAKUTAの同名の舞台作品を、[孤狼の血]の白石和彌監督により映画化。ある事件をきっかけに離散した一家が15年後に再会し、絆を取り戻そうとする姿を描く。主演の佐藤健のほか、きょうだい役で鈴木亮平と松岡茉優、母親役で田中裕子が共演。いずれも白石監督作品には初出演となる。

15年前、ある家族に起きた一夜の事件。それは、母とその子どもたちの運命を大きく狂わせた。一家はあの晩の出来事にとらわれたまま別々の人生を歩み、15年後に再会。葛藤と戸惑いの中で、一度崩壊した絆を取り戻そうともがき続ける―。抗うことのできなかった家族の岐路と15年越しに向き合う一家が辿り着く先とは…“家族の絆”や“究極の愛のかたち”を問いかける感涙のヒューマンドラマだ。

主演の佐藤健は、15年前の事件に縛られて家族と距離をおき、東京でうだつのあがらないフリーライターとして働く稲村家の次男・雄二を演じる。鈴木亮平は、しがない町の電気屋に勤務し、三兄妹で唯一自身の家庭を持つが夫婦関係に思い悩み、幼少期より人とのコミュニケーションに苦手意識を持つ長男・大樹役。松岡茉優は、大樹と雄二の妹で、事件によって美容師になる夢を諦め、スナックで働きながら生計を立てる園子役。田中裕子は、15年ぶりに三兄妹と再会する母・こはる役を務める。

白石作品の[凶悪;'13]、[サニー/32;'18]などでタッグを組んだ高橋泉が脚本を担い、崩壊と再生を軸にした家族の物語に挑む。


▽佐藤健コメント
現場に入るのが非常に楽しみです。白石監督の作品はほとんど観させてもらっていますが、是非いつかご一緒できたらと思っていた方ですので、今回は念願が叶いました。
素晴らしい脚本、共演者、スタッフの皆様との仕事ということで、僕が気負い過ぎずとも良い映画になるであろうというある種の確信をすでに持っておりますが、こんな環境で映画作りに励めることを当然と思わずに、幸せを噛み締めながらも精進していく撮影期間であればと思います。今回のお声がけ大変光栄でした。有難う御座います。

▽鈴木亮平コメント
複雑な家族の関係、過去の事件と妻子への思い、吃音の症状。この作品は自分にとって大きな挑戦になるだろうことを今から確信しています。と同時に、この役を「鈴木にやらせてみたい」と思っていただけたことに感謝しています。
白石監督、そして素晴らしい共演者の方々と、丁寧に、時に乱暴に心を通い合わせ、皆さんの心に突き刺さる「ひとよ」を作り上げていきたいと思います。

▽松岡茉優コメント
熱い視線でずっと作品を追っていた白石和彌監督とご一緒させて頂けることは私にとって大変嬉しいことでありつつも、今の自分は何が出来るのかバレバレになってしまうだろうなと今から眉尻を下げています。
己を知れるというのはとても良いことですから、真っ直ぐ向かっていこうと思います。
家族のお話です。どんな雰囲気になるのか実は想像がつきません。
スタッフ、キャストの皆様、宜しくお願い致します。
映画ファンの皆様、少し待っていてください。

▽白石和彌監督コメント
これ以上のない最高のキャストに集まって頂き、少し緊張しています。
私自身、この家族がどのような物語を紡いでくれるのか、楽しみで仕方ありません。
多くの人の心に突き刺さる作品になるように、毎日を大切にしながら撮影に望みます。楽しみにお待ちください。

▽桑原裕子コメント
自身の所属する劇団公演にむけて「ひとよ」を描いたのは2011年の夏、日常を取り戻しているように見えても、東日本大震災の影響がまだ各地で色濃く残る頃でした。私の生まれは福島県で、子供時代は学級休みのほとんどを福島の山に囲まれて過ごしました。だから自分のふるさとが「あの一日の出来事」を境にして、まるで形を変えたかのように違う目で見られるようになったことに、たとえようのないやるせなさを感じていました。
これは震災の話ではありませんし、社会を背負うような物語でもありません。が、復興、再生、絆――そんな言葉が日本中にあふれかえるなか、本当の再生とはなにか、私たちはどう歩み出せばいいのかを、ひとつの家族を通じて、私もまだ見つけられぬまま模索しながら描いた作品でした。
社会の暗がりに目を向け、いびつながらも懸命に生きる人間をこれまで多く描いてこられた白石監督が「ひとよ」を手がけてくださることになり、本当に嬉しく思っています。高橋泉さんに丁寧な脚本を書いていただけたことにも感謝しています。
どうか原作にこだわらず監督ならではの視点で、新たな「ひとよ」を創っていただければと思いますし、蒼々たるキャストの皆さんがどんな風に役へ光を当ててくださるのか、純粋にワクワクしています。きっと素晴らしい作品になる、という予感だけが激しく渦巻いております。
そうして生まれ変わる「ひとよ」が、たくさんの皆様のもとへ届き、どこまでも高く遠くへ、旅をしてゆけますように。


『ひとよ』は5月にクランクインし、2019年11/8に公開