「ここが
最後の部屋・・・」

すでに押し寄せた群集は
大広間、王の居室を通り抜け
王宮の一番奥に
たどり着いていた


礼拝堂

整然とそびえ立つ
小さな白亜の塔

しかしその扉は固く閉ざされ
これだけの大人数で
押そうが引こうが
ビクともしなかった

ようやく追いついてきた
MJがその窓を見上げる

「礼拝堂・・・
やっぱりあれは
天使だったんだ」

『発想が天使だなぁ』

誰かがつぶやいた


「さっきみたいに
ディスプレイとか
ないかな?」

「そうそう同じパターン
あるわけ・・・」
「おっ?これなんだ?」
「聞けよ!
アイバッティ!!」


扉のまわりに
うっすらと
何かが彫られている

アイバッティがさわった途端
扉を装飾するように
ぼんやりと淡く光りだした!

「わわっ」
「何やってんだよーーーーーーっっ?!」

「これ・・・
文字じゃね?」

「見たことのない
文字だなー
あっ・・・」


その時
フードの皆さん
人間の皆さんが
一斉に
うしろを振り向いた!!




「えっ・・・俺?」


「頼むよ!SHOちゃん!!
記者のSHOちゃんなら
読めるよっ」


「たって俺
革命を客観的に取材する
立場としてだなー」

「カタいこと言うなよ」
「アラシアンズ国の
命運がかかってんだ
ちょっとぐらい
協力しても
いいんじゃない?」

そうまで言われると・・・


美味しいものたちの
悲痛な叫び

美味しいものを食べたい
人々の純粋な願望を
近くに見聞きし
伝えてきた者として

果たすべき
役割がある・・・


「微力ながら」
「やったあっ!!
ありがとSHOちゃん!」

はぐっ
「わっ!くるしっ」


かすかに浮かぶ古い文字を
指でなぞった

「これは・・・English」

「読めるのか?」
「ああなんとか」


昔調べたことがある

一定のリズムに乗せて
正確な抑揚で詠唱しなければ
意味をなさない
特殊な魔法言語だ

「ただ
詠唱を完成させるには
みんなの協力が必要だ
俺についてきてくれ」

「わかった!」


遠き昔に忘れられた
流暢なEnglish
今!目覚めの時を迎え
高らかに響き渡る!!


「お米のいる奴
Put your hands up!!」

Yeah!yeah!
yeah!yeah!


「お米のいる奴
Put your hands up!!」

Yeah!yeah!
yeah!yeah!


絶好調超!なC&Rが
あたりにわんわんと共鳴し
熱気の高まったその時!
扉のまわりが白く明るく
輝きだした!!


「扉が!!」


「開く・・・!!」


封印された扉が
重々しく開いていく
人々は息を飲み
その様を眺め


礼拝堂の白いエントランス


そこに佇む人


その
おだやかで優しい笑顔!!


一気に歓声が上がった!!






「サトシ=クン!!」