話題:トラウマ
この間図書館で借りた香山リカ先生の『上手に傷つくためのレッスン』を読み終えました。香山先生は精神科医で、まずこんなメッセージを読者へ宛てています。
「傷を受けやすい人は、悪い人や弱い人ではなくて、いまの社会に敏感な人、優しい人、おだやかで気配りのできり人なのだ。本書では、そうした人たちの素晴らしさが発揮されるためのヒントを伝えたい」。なんて優しく言われたら、おや?と思うよね。ちょっと読んでみようかな、って。上手い切り出し方ができるのはやっぱり人の心の深いところに触れるお仕事だからなんでしょうか。
香山先生いわく、過去の辛かった記憶を思い出すことは、必ずしも悪い事ではないそうです。一般的にはトラウマとして処理しがちだけれども、その記憶にくっついているしあわせな体験を一緒に思い出してほしいんですって。
例えば大好きな彼氏に浮気をされた事を長年引きずっている人は、当時どうやって苦しさを乗り越えたのか記憶を引き出してみる。女友達が朝まで長電話で愚痴を聞いてくれた、とか、悔しくて美容室で髪をバッサリ切ったら似合いのヘアスタイルになった、とか。そういう事ね。
或いは、クラスメートが自分の悪口を言っているのを聞いてしまったけれど、そういえばあの時は親友がわたしの代わりに怒ってくれたっけ……と思い出す。ネットの掲示板に悩みを相談したら優しい回答をもらえたんだったわ、なんていうのでもいい。
そうやって辛かった記憶と嬉しかった記憶をセットにして考える癖をつけると「確かに辛かったけれど、わたしは何とか今日までやってきたんだ。また同じような事があっても当時みたいにきっと楽しい出来事も起きるはず」と思えるようになるそう。
ということは過去のトラウマがふと頭をよぎったり、悪夢を見るのは、脳が「当時どうやって悩みを乗り越えようとしたか」「その時どんな幸せな事があったか」思い出させようとしているのかもしれないね。わたしが何度も何度も嫌な夢を見るのも結局その出来事から逃げ続けてきていて、本当は辛さの陰に隠れていた幸せな記憶を思い出そうとしないからなのかも。うん、時間を作って頭の引き出しを一個一個開けてみよう。苦しかった時期の楽しかった思い出を探してみよう。
拍手してくれた方々どうもありがとう。トラウマのある人、みんなもやってみてね。
>烏さんへ
捨てられない方のタイプなんですね。きっとわたしとは真逆の気質です。部屋にほとんど物がありません。