この池袋は、首なしや人間離れした物語が沢山ある。そして今日。またもや、人間離れした新たな物語が池袋を賑わせていた。
「吸血鬼?」
「ええ、今噂になっているみたいよ」
暖かな陽気に包まれた午後。新宿で情報屋を経営する折原臨也とその秘書矢霧波江は新な噂で会話を繰り広げた。
人間大好きの臨也にしてみれば、吸血鬼など興味ない。ただのお伽話に出てくる悪役。そんなモノが世の中にいるはずがないと小さく笑い珈琲を一口啜った。
「噂ねえ。噂なんて直ぐに消えるさ。仮に吸血鬼が居たら見てみたいね」
「だから、今吸血鬼を見たって人が増えているのよ。」
「じゃあ、居るってこと?」
「ええ。ただ、その吸血鬼…目が赤でなく青らしいの。だから人間になりすまして生活しているのかもしれないわ」
一向に噂を信じない臨也に対し普段喋らない波江は次々と言葉にした。興味がない臨也も信頼している秘書から言われば気持ちは揺らぐ。吸血鬼が人間になりすまして生きる姿をこの目で見てみたいと思ったのだ。
「面白い。その吸血鬼…俺が見てくるよ。怪異如きに俺の大好きな人間を貪られたたまらないからね…」
始まりです。
また、書き直すかもしれない