2014-7-28 01:20
☆プリヤランサー×アーチャー
目の前に、一体の狼がいた。
体は大きく、青い毛並みが特徴の狼だった。
狼は徐にアーチャーに近付き、ゆるり、ゆるりと彼の周りを2、3周したかと思うと、突然飛び乗って来た。
「!!?」
驚きと不意打ちとでバランスを崩し、呆気なく青狼に覆いかぶさられる。
しかしそれは自分を捕食しようとした行動ではなく、まるで大好きな飼い主に甘えるような、犬本来の本能のようだった。
すり、と頬を擦り寄せた狼は安心したように眠ってしまった。
自分も胸に安らぎを感じ、やってきた睡魔に身を委ねた───。
穏やかで幸福な気持ちに身体を預けていた中。
身体への息苦しさと重さに、沈んでいた意識が覚醒する。
ゆっくりと目を覚ますとすぐさま身体に感じる異変。
僅かに顔を起こせば、仰向けで寝ている自分の上に何かが覆いかぶさるようにして眠っていた。
…しかし。
「……ランサー……?」
そこにはあの青狼ではなく、自分の恋人である青い髪の男がいた。
ふとアーチャーは考える。
あの狼は何だったのか、夢にしてはヤケにリアルだった先程の出来事を思い出す。
それが夢だったのか、現なのか、彼には分からずにただただ幸せそうに眠る青い男を見つめていた。
☆ランサー×プリヤアーチャー
その人物は言葉を無くしたように佇んでいた。
何を思い何を感じているのか、彼の目は塞がれ何物も写し出すことはない。
ひゅう、と風が鳴り、草木がサラサラと揺れる。
じき夜が訪れる。
しかし彼はただただその場に立ち尽くしていた。
まるで誰かが迎えに来るのを待っているかのように動かなかった。
どれ程時間が経ったのか。
日は沈み、辺りは一面の闇だった。
そうして彼の元に一人の男がやって来た。
長い襟足を束ね、派手なシャツを着た男は、躊躇うことなく彼に近付く。
そしてその手を握り、優しく抱き寄せ耳元で何かを囁く。
自分を思いやる男の温かい言葉に、彼はそっと身体を委ねる。
その姿に男は小さく笑うと、彼の手を引いて家路につくのだった。
☆槍弓
「なぁ、アーチャー」
「…何かね」
「その胸の傷痕って、俺が付けたヤツなんだよな」
「あぁ、コレか…確かに昔君の槍に穿たれたモノだが」
「ちょっと良く見せてみろ、…」
「ちょっ!!?…っいきなり何をするのだ君は…!」
「傷痕見るだけだっつの。…へーえ、ふぅん?」
「っ、な、何だ…っ」
「いんや?何かこのアトってお前が俺だけのモンだって言うマーキングみてーだと思ってよ」
「!!!」
「…しかし存外アトは薄くなってんのな。何なら今此処で改めて傷を付け直してやりてぇくらいだ」
「な、ふざけたことを」
「もう一度俺のゲイボルクで貫いて、カラダだけじゃなくて精神も捕らえて、今度は消えねぇよう俺のモンだって縛り付けてやりてぇ」
「…、そんなこと、無意味だ」
「…あぁ、そーかもな」
「そうだ」
(何故なら私は、とっくの昔に君に捕らわれているのだから)
(そうじゃなけりゃ、お前が俺にこんなに甘いハズがねぇ)
「ウワ、愛されてんなァ俺」
「五月蝿い。お互い様だ」
************
槍弓でありがちなんちゃって短文3作品。
ノリと勢いと雰囲気の産物。
凛ちゃんルート途中までとアニメの知識のみで書いたので矛盾があるかも。
後悔はしている。
反省もしている。
ここまでお読みいただきありがとうございました!