白龍公カール・フォン・リンドヴルム。
リンドヴルム公爵にして、未だ皇王家を見限らずにいる大貴族。
その思惑はただ一つ、国家の安寧のみ。
親子の想いは同じ――この国に平穏を。
しかし、その目標に至る手段には大きな隔たりがあった。
カールは娘の保護した〈白〉を連合軍に差し出すことで戦乱の終結を図り、メリエラは〈白〉を然るべき地位に就けることで国を立て直そうとしていた。
メリエラは、カールの考えを覆すことが出来なかった。
これまで自らの心の拠り所としてきた貴族としての役割。それを全うするなら、レクティファールを生かすよりも、その生命で国を救うことを選択せざるをえない。
彼女はこのとき初めて、「貴族」という存在の重さを知った。
貴族とは立場でも位階でもない、生き方なのだと。
それを知り、彼女はレクティファールの下へと赴く。
貴族として彼に死を求めるのなら、貴族としてその対価を負わなくてはならない。
たとえそれが、自分の身を費やすことであっても……
生を実感出来ないから、死を恐れることがない。
それは異常なのか、それとも生き物としてあたり前のことなのか。
メリエラは死を恐れる素振りを見せないレクティファールに、自分の理想とする貴族像を重ねた。
そんなメリエラの内心に気付かないレクティファール。彼は、メリエラに一つの望みを伝える。
それは彼にとってこの世界で生きるための大切な糧。
セイバー&セイバー・モータード・キュイラッシェ 1/8がねんぷちになるとは、思いませんでした。