綺麗な海にはしゃぐ
無邪気な横顔。
楽しいときに笑って、
悲しいときに泣いて、
それだけなら、こんなにも美しいのに。

もう、帰ろうか。と言うと
そうですね。と
きみの瞳からふっと、表情が消える。
その瞬間は、
何度見てもぼくの心を震わせる。

ぼくらはこうして、夢と現実の間を、何度も行き来して
隣り合わせにある 最悪の結末 から
逃れるようにして、歩いている。


楽しいときに笑って、
悲しいときに泣いて、
心が躍るのは、いつも、ささやかなこと。
でも、
それだけでは足りないのだ。と
意味はあるんでしょうか。と
問い続けなくてはならない、人生だから
人として生きるということは……
言葉に出来ないことのようだね。



必ず訪れる夕暮れに、きみは
帰りたくない、とは
決して言わなかった。
それが訪れる瞬間を
決して拒むことなく
怖くなるほど素直に
冷静に、受け止めている。



もう会えなくなるんだ、と言って
初めて溢れる涙。
いつまでも、隣り合わせにある暗闇。
神さま、
例えばぼくらは、こんな気持ちになる前に
こんなに遠くまで離れてしまう前に
もっと何かから、誰かから
大切にされるはず だったのではないでしょうか?


見えない心は
簡単に忘れ去られていく


沈む夕陽を受け止め、
透明な水が、穏やかなオレンジに変わっていく。

ただ、生きているだけなら、こんなにも美しいのに。