今までなら、こう言う窮地に陥っても煌希と話し合えば何とか解決して来れた。
けど、煌希の声は聞こえんし他の皆の声も聞こえへん。
時々聞こえる澪ちゃんの言葉は壊れとる。
その上ねーちゃんは死ぬ事になんの躊躇も無い。
異常な状態。
きっと、煌希も動きたくても動かれへん。
代わるんは難しいけど、中でねーちゃんの気分を上げるか発作の程度を軽くしとるとかはしてそうやしな…。
自分責めてそうで心配やわ…。
それか、いっそ一緒に諦めかけとるんやろうか…。
これは、アカンやろ。
煌希の偉大さを改めて思い知るわ…。
ホンマにウチの旦那はすごいから。
婚約者ちゃんが言うた事は、確かに重いけど独占欲と支配欲ばっかりや。
重い“愛”では無いわな。
特別とも感じられへん。
ポジティブやった時言うとった言葉も思い出せんらしいしなぁ。
思い切り苦しんだ後は、どうでもええって全てが投げやりで。
でも確実に死ねる事は探しとる。
1番危ない状況とちゃうやろうか…。
こっちに出来る事は何や?
にーちゃんの言葉には耳を貸さへんし。
ホンマに全てが壊れてまう前に、何か出来へんやろうか…。
昴。
人格である僕には、母親なんていない。
仕事も、夜の世界に戻るなら…融通がきくだろうし。
僕なら、憂を悲しませたりなんかしない。
僕を選んでくれるなら…養ってあげたい。
仕事も、頑張って僕がする。
憂に働けなんて言わない。
憂を誰よりも優先して、愛して、尽くすよ。
非現実的だって、憂に言われたけど…そんなの、知らない。
僕が憂を助けたいんだ。
早くても7月からになってしまうけど…それまで、この状況が続くようなら…憂を攫おう。
苦しんで、死ばかりを考えて、辛い毎日を過ごすよりはずっとマシな筈だから。
ねぇ、婚約者君。
どうして君は男としての体を持っていて、戸籍もあるのに…憂を追い詰める事しかしないんだよっ!!
僕がどれだけ欲して、手を伸ばしても…絶対に手に入れる事の出来ないモノを持っていながら、憂を傷付けるお前が心から憎い…ッ!!
…憂を此処まで追い詰めて、苦しめた君を僕は一生許さないから。
僕はただ、憂に笑って平和に暮らして欲しいだけなんだよ。
ねぇ、憂。
僕の手を、取って。
愛してる。
柊也。
澪が…頓服の眠剤を、全て飲んだらしい…。
何日分かは、知らないけど…月に一度しか精神科には行かないから…量は、ありそうで怖い…。
憂に…殺してあげる、一緒に楽になろう…確実な方法を探さなきゃって、更新されてた…。
婚約者と、憂の話し合いは…上手く行かなかったみたい…。
結局男は、仕事と母親が大事だ…って。
母親、縁切るって言ってたのにどうしてそうなったんだろう…。
澪の彼氏みたいに…婚約者がしっかり言葉とか伝えないから、こんな事になってるんじゃないの…?
毎日呼吸が苦しくて、煌希でさえ辛い発作を何度も起こして…体は辛いし、苦しいしで…もう、いっそ狂ってしまいたいって言ってた…。
どうしたら、死なない方向に考えてもらえるのかな…。
どうしたら、澪や憂…皆が苦しまないのかな…。
親友が辛くて苦しい思いをしてるのに、私は…何一つしてあげられない…っ。
代われるものなら、代わってあげたい…っ。
澪、澪…愛してる…。
澪が、憂が、あっちの皆が死んでしまう世界…なんて、考えたくもない…!
樹浬。