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銀←神 3Z

苦い香りが鼻をかすめる。
風下の私の顔には白く濁った煙が嫌というほど漂ってきた。いつものように私はその煙を避けもせず、ゆっくりと息を吸い込む。
好きではないが嗅ぎなれた匂いが少しずつ自分の肺を侵食していく。
しかし、ふと私は違和感を覚えた。いつもとは違う奇妙な感覚。横を向くと煙を吐き出している銀八の持っている煙草の銘柄が目に入った。
「煙草、変えたアルか?」
屋上の柵に寄りかかって、煙草を燻らせていた銀八に神楽は尋ねた。
「ああ、いつものが売り切れててな。」
死んだ魚のような目で頭をボリボリ掻きながら、面倒くさそうに銀八は答えた。
白髪が昼下がりの日を浴びてキラキラと輝いて、風になびいている。
「オメーは変なとこに気がつくな。」
呆れたように肩をすくめる銀八の言葉に神楽は褒められたようなむずがゆい気持ちになった。
3年間ずっとこの匂いをかいできたのだ。その煙草の匂いがする度にその白髪を、白衣を、必死で探してきたのだ。
不思議なもので、不快でしかなかった煙草の匂いも銀八と出会ってからは、とても魅惑的に思えた。
(中毒みたいだ……)
喫煙者じゃないのに、私ももう立派なニコチン中毒なのかもしれないと、胸中で嘲笑した。

また大きく息を吸い込む。肺が副流煙で満たされていくのがわかる。
いつか保健の教科書で見たような喫煙者の灰色に染まった肺が自然と思い出された。
3年間、煙を吸い続けた私の肺は、どれほど健康なのだろうか。
ずっと銀八の姿を追いかけて、煙草に随分親しんだ私の肺は、もしかしたら、既にああなっているかもしれない。
真っ黒にくすんだ肺は私が銀八を好きな証拠?
「銀ちゃん。私煙草の匂い好きアル。」
そう言って神楽が微笑むと、銀八は眩しそうに目を細めた。
「バーカ。オメェにはまだ早ぇよ。」
銀八はやさしく微笑んで神楽の頭をくしゃくしゃに撫でた。懐かしい感覚に神楽は涙腺が緩むのを堪えた。

さようなら、私の愛した人。
行き場を失くした想いは私にはつらいだけだから、思い出と一緒に気持ちだけでもおいていくね。
今までありがとう










─────────────
終わらせ方がいまいちわからない……

新←神 3Z

「新八くんって何でもいうこときいてくれそうじゃん?お金を搾れるだけ搾っとかないとね」

キャハハハ、と高く耳障りな笑い声を上げる女の声が教室から聞こえてきて、私の中の何かがキレた。

勢いよく教室のドアを開けると、ビクッと肩を震わせ彼女は振り返った。一緒にいた友達も凝固する。ドカドカと彼女に歩みより、仁王立ちになると、どす黒い感情はもう自制などきくはずがなかった。自分でも恐ろしいくらいの醜い濁った思いが、ふつふつとわいてきて、心をかきみだす。


「お前なんかが新八の何を知ってるアルか!!」

新八はお前が思っているほどヤワじゃないアル。やるときはやる男ネ。お前なんかが、最近新八と知り合ったお前なんかが知った風な口をきくな!!
言いたいことはたくさんあるのに、ありすぎて言葉が出てこない。
もどかしくて唇をギリ、と噛みしめると、彼女は怯えながら逃げるように去って行った。

こっわーい!逆恨みってやつ?、廊下からひそひそ話がこれみよがしに聞こえてきたが、聞こえなかったふりをする。

なんでアイツなんかが、新八の彼女なのだろう。私の方が新八のこと知ってるし、私の方が可愛いし、私の方がおしとやかだし、私の方が強いし、私の方が……

「新八のヤツ趣味悪すぎネ」

と上を見上げて吐いた言葉は最後まで紡がれることなく、透明の粒が頬をゆっくりと伝い床に円を作った。






新八と神楽は幼なじみで、新八が告白されて彼女と付き合っているという感じ……?
彼女のイメージはエロメスです!!


なんか複雑な感じで暗いですが、長編にして終わらせる自信がなかったので、書きたいとこだけ……



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