混沌の國のアリス

話題:幼なじみ

転勤族の私達。

お互い唯一の幼なじみ。

双子のようだと言われて育った私達なのに。

いつでも。

私の一歩前を進む彼女が。

憧れであり

自慢であり

嫉妬の対象であり

何より私の劣等感を生んでいた。

地味な私と目立つ彼女。

不器用な私と器用な彼女。

小さな頃から育まれた劣等感は。

大人になるほど大きくなっていった。



でも。

初めて彼女が私を褒めた。

ファッションなんて小さなことだけど。

それで。

今の私の状況を。

怒りもせず、笑いもせず

淡々と突っ込むだけ突っ込んで帰って行った。

その突っ込みは。

私を対等に見てくれてるんだと思った。

その突っ込みは至極当たり前なことだけど。

私には理解出来なくて。

元々違うんだと思った。

つまり。

比べる必要なんて。

最初からなかったんだ。

私達は幼なじみで。

双子のようだと言われて育ったけど。

私達は違う生き方をしてきたんだ。