〜宮城県にある水産加工場で働く
今野鈴也くん〜

「お久しぶりです」


〜8年前
磯部地区を襲った大津波は
鈴也くんの家を飲み込んだ

お父さんが経営する水産加工場も
大きな被害を受けた〜


かつてあった家の跡には
鈴也くんの名前と手型が残っている

お父さんが
工場を立て直す目処がつくまで
石川県に避難した

放射能もすぐになくなるから
少しでも多くの友だちを作って
磯部に帰りたいと語っていた
鈴也くん


〜でもその希望は叶わなかった〜

原発事故のこともあり
福島県では漁業の再開が難航
お父さんは
工場の再開に踏み切れずにいた


あれから8年

復旧した港では
試験的な水揚げが始まっている

放射線量の測定も行っており
出荷している魚介類は全て
国の基準値を下回っている

それでも
福島産というだけで敬遠される


鈴也くんのお父さんは
福島ではなく宮城県で
水産加工場を再開した

「風評被害があっても
しょうがないんだろうけど
悔しいですよね」

鈴也くん


「そういう現実だから
それを受け止めて
やっぱがんばるしかない」


龍之介くんから
盆踊りへの参加を呼びかける
連絡が届いていた

「行きたいのはやまやまなんですけど
やっぱ仕事優先なんで」

仕事が忙しくなかったらぜひ行きたい
手伝いたい


智也くんが
盆踊りを手伝うため
埼玉から帰ってきた

〜でも会ったらまず遊ぶ
それが2人のルール〜

龍之介くんとのキャッチボール

都会で外で野球とかやらない
それでもまだ
外で遊ぶ子どもの気持ちは
持っていて

「龍之介はたぶん同じ考えで
だから一緒に遊んだ時なんかは
楽になるんすよね」


寄付金集めをしていて気になった問題

仲の良い友だちがみんななくなって
あるいは別のところへ住んでいて
盆踊りに行きづらい
行かないという人たちがいる

ほんとは行きたい気持ち
どこかにあると思う


こういう盆踊りの機会に
元気な人もそうでない人も
一生懸命盛り上げることが
一番の恩返し


〜2人は
ともかく盆踊り直前まで
粘り強く呼びかけ続けることにした〜



大詰めを迎える盆踊りの準備

〜みんなで会うのは高校卒業以来
それでも会えばすぐに
あの頃の関係に戻れる〜


〜震災の中を共に生きる
21人の輪の仲間たち
僕には想像つかないほど
強い絆で結ばれている〜


みんなは
盆踊りに参加できない同級生のことを
気にかけていた

ああ、ももちゃん来れないのかー!

懐かしいな
鎌田百子さん
横浜の大手ホテルに就職
レストランで接客を任されている

「料理出されて
ああ、おいしそうってなってる
あの瞬間だけって
何事もこう忘れられてるような
それだけに
集中できるような気がするので」

その瞬間の時間を
提供できるのがうれしい


広島県?えぇー?

島美咲さん
全国展開するパン屋さんに勤務
研修のため盆踊りには参加できない

でも自分なりに
ふるさとには恩返ししたい

「東北にまだお店がないから
自分が店長として
まぁお客さんに対して
あの〜うれしいとか
おいしかったなって
思ってもらえるような
パンを作れるようになりたいです」



8月11日

盆踊りの日がやってきた


あっ!鈴也くん来てくれた!!

〜仕事を終え
宮城県から駆けつけてくれた〜


〜龍之介くんは
寄付金集めの時に会った
お年寄りのことが
ずっと気になっている

東京から帰ってきた
希亜さんと穂波さんに
重要な任務を託した〜


大谷希亜さん
阿部穂波さん
すっかりファッショナブルに
なっちまって〜\(*T▽T*)/

消防団の協力を得て
盆踊りへの参加を
開始ギリギリまで呼びかける


「皆さんこんばんは
磯部盆会会長 坂田龍之介と申します
今年も磯部盆踊りの季節が
やってまいりました」

「今日は11日
東日本大震災の月命日でもあります」


なくなった方にも思いを馳せながら
楽しい盆踊りの時間に


〜太鼓の音に誘われ
人が集まってきた〜

そこへ
一人暮らしの
高戸喜夫さんもやって来た

「気になるべ
だって我々もやってきただもん」


〜21人の輪のみんなが
祭りを盛り上げる〜

〜予想していたよりもはるかに多い
350人が参加してくれた〜


高戸さんは幼なじみと出会い
昔話に花を咲かせていた

「そっちにいるのは同級生」

「磯部小学校で」

なにかイベントやると寄ってくる
懐かしくなってと語る
幼なじみの方

〜この夜
高戸さんの姿は
祭りの明かりが消えるまで
会場にあった〜



21人の輪のみんなが中心となって
開催された今年の盆踊り

ふるさとに大きな輪ができた


「よくやった!」と褒められる
龍之介くん

「これを機会に
い〜い大人になって
な、がんばって」

「頼むぞ」





盆踊りの2日後

龍之介のもとに
ある知らせが届いていた

あっ!内定式!

全国に支社を持つ建設会社への
就職が決まった


ふるさとを復興させるという夢に
一歩近づいた


「磯部はほんとになくしたくないし
なくなっちゃいけないなと
思う地域なので」


磯部を離れた人や
その子どもさんも呼び込めるような

住宅を作ることで
復興に関わりたい


「できそうかな?」

「まぁこれからの
自分の努力次第ですね」


〜責任感が強い龍之介くん
時々息抜きもしながら
がんばって!〜


埼玉の大学に通う智也くんは
磯部を去る前
海を訪れた

「忘れてるような気持ちとかも
思い出させて」

「がんばんなくちゃ
いけないみたいな
気持ちにもなるから
それが地元だと思うから」


卒業後は
ふるさとの力になりたいと願っている

地元の公務員として
復興に関わっていければと
勉強も難しいけど
がんばるしかない


〜智也くん
バレーボールで流した汗と涙が
人生の糧になるはずだよ〜


みなきさんは10月
待望の赤ちゃんが産まれる予定だ

震災があったからって
弱いものみたいに言われるのは

「ずっとへこたれてるわけじゃない」


〜みなきさん
被災地の苦労はあると思うけど
君ならきっと
いいお母さんになれるよ〜



今年二十歳を迎える
21人の輪の子どもたち

どんな人生を送っていくのか


〜僕はこれからも見守り続けたい〜


相葉ちゃんと
21人の輪のみんなの写真

おだやかな笑顔