この一夏のヤツは万事屋に姿を見せなかった。
染み付いたはずの苦い臭いも消えていた。
こおろぎが鳴けばヤツの夏休みが始まる。
だまかと月に喧嘩を売ると、そっと扉が開いた。
振り向く前に目に入った白い煙だけで身体が火照った。
そして綺麗な虫の羽の音が鳴く。
朝まで鳴かされる覚悟は出来ているか?
2012-9-8 01:41
空に闇が広がり風は吹き荒れ雨水を巻き上げた。
歩く度に足首すら力の入らない水音が鳴く。
傘の前に人の気配を感じて見上げると
プレスをかけたように雨に濡れた銀髪の男子高校生がいた。
えーと…坂田君?
傘が壊れたから入れて土方君!
と許可する間もなく相合傘で登校。
それまで雨が止まない事を祈る
2012-9-6 01:39