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カナシミノモリ

恐らく磁場が
狂っているのだ
この森は
哀しみの森

多くの生き物が
死に腐り
そして吸われていく
美しいこの木々も
生きるために
殺して
いる

肺に貯まるほど
哀しみにくれた
わたしも
そうなりたい
わたしという
輪郭を地球に
融かしたい

もう方位時針は
はたらかないなら
終わりにしようか
此処で

「おはよう。」

朝の眠りは私を蹂躙する
脳の奥深くがまだ眠れと
サイレンのような目覚まし時計を
拒否するのだが

君の早く起きてと
預けていたあたたかさが
するりと逃げる感触に
朝の悪魔はあっけなく逃げ去るのだ

おはよう

何故だろう
わたしはあなたを
期待した

(世界がかわる)

とりわけ何かが
あったわけでも
ないのだ

いつも通り
一番のりで教室に
いたわたしの
次にやってくる
あなたの

ガラリとドアを
あげてすこし
眠たげに
お早うという
その言葉と
あたまで跳ねる
寝癖

おかしくて

(世界がかわる)

私は思わず微笑んで
そして気がつく
二番目は
あなたであれと
期待した
こころに

(世界がかわる―――…いや、かわったのは、わたし。)

生きている。

いつまでわたしは
こうやって未完成の
言葉を吐き出すのだろう

もう私を導く声はなく
それでもこの世に投げ出されて

いつまでわたしは
こうやって未完成の
思いを吐き出すのだろう

もう私に届く声はなく
それでもこの世に産み落とされて

いきている。

原爆

白い光は
私たちを
影だけ残して
焼き尽くした
それは今から
六十年前のことだと
思われているが
本当はこの世界で
今この時にも
起こっているのだ
その身はありとあらゆる
火葬場にて燃え尽くされ
跡形もなくなるが
私たちのこころの
奥深いところに
その存在は
くっきりと影を残して
そしていつまでも
消えないでいるのだ

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