スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

回帰点。

嫌いになれない自分を認めることからすべては始まるのです。

相当好きだった人がいました。
だったって、いうか、いまも、すきで
気になってしまうけれどでもわかってる、私なんかと関わらないほうがいいって。
卑屈んなってるんじゃないよ、そうだってなんとなくわかるわけで、こういうのって結構当たるのです。
たぶん一生好きなんだよ。

螺旋。

わたしの事を覚えておいてね
そういっておんなは螺旋階段から飛び降りた
即死であった

一日目はみんな涙した
二日目はみんな思い出話をして
三日目には其々の日常に戻った

わたしの事覚えておいてね
そう思うならおんなは選択肢を間違えた
衝撃的な死よりも
何の変哲もない生の方がずっと
なまなましいのに

わたしの事覚えておいてね
それならおんなは生きるべきだったのだ
飾られた白黒の写真は笑っているけれど
それは既に褪せていっている証拠で
人は過去の人に構っちゃいられないのだ

今日も世界はわたしたちを
急かすようにぐるぐる回り
螺旋階段から飛び降りたなら
それはもう忘れられても文句は言えないのだ

カナリヤ

静かな寝室で
カナリヤは歌を忘れて鳥籠の中
たのしいですか
覗きこんでそう尋ねたら
放っておいてくださいなと

扉は開いているはずなのに
カナリヤは飛ぶのを忘れて鳥籠の中
たのしいですか
覗きこんでそう尋ねたら
忘れておいてくださいなと

言葉通り私は黙して
カナリヤは愛されていたのだろうか
と考えては
飼い主だったおとこのことを考えた
あれは三日前交通事故で死んでしまったが
ひどいおとこだった
カナリヤの声帯を切り落とし
カナリヤ風羽を削いだ
それだけろくでなしのおとこだった

しかしカナリヤにとっては唯一のひとであったのだ

カナリヤは待ち続けるのだろう
私はただ瞼を閉じてその部屋を後にした
わかれのことばを小さく呟けば
わずかな羽ばたきの音がさみしく響いた

空気

おとこは私を殴りはしなかったが私を抱きもしなかった。

(つまり、どうでもよかったのだ)

私は所謂空気のようなものであり
いてもいなくてもなにも変わりがなかったのだ
と私は私に言い聞かせ
全て、諦めて、携帯の電源を落とした

けれどもそれから一時間後
私はベットの上で背中をしならせていた
吸って、吐いて、わたしたちは生きていくように
おとこにとって私は結局空気でしかなくて
必要不可欠なものであったのだ
という矛盾を抱いて
私は微笑んだ

初恋

心地よさを感じた時点で負けだと
そんなこと誰が言い出したのか
始まりはわからないが
ひとつわかっていることは
私は今にがにがしくその言葉の意味を
飲み込んでいるのだという事

さぁ、打ちつけて、血が出るまで
そしたら私、わらうから
囁いて、鼓膜が破れるくらい
そしたら私、なくから

うれしすぎて。

そうやって揺さぶられるの、きらいじゃないと
言ったら
すでに、さいあくだね
ばかな女だよ、と
母はわらい
私もわらった
それは間違いなく恋の一種で
だけれど物語の主人公みたいに
しあわせであるとは思えなかった
だって、私もうめちゃくちゃよ
でも、おねがいだから居て、隣に、私の
そしたら私死んでもいいの

<<prev next>>