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友達

ユイミカ
Webアンソロ企画参加小説










ねぇ、ミカゲ君

僕の気持ちとどいた?

伝わった?

分かってもらえた?

うん、そうだね。

さすがミカゲ君だ。

君は

僕の











最高の友達だよ。




























「僕にはユイカイ君だけです」











やっと言った。

僕への愛の告白。

「よかったよミカゲ君。これで僕達、相思相愛だね」

僕が笑ってもミカゲ君は笑わない。

「ねぇ、ミカゲ君?」

頬を撫でれば身体がビクッとはねる。

呼吸が速く、浅くなる。

「嬉しいな。僕が触れるとこんなに感じてくれるんだね。ほら」

両手で首をつかめばミカゲ君の瞳は大きくひらかれた。

「ユイ…カ…イ君…」

「何?ミカゲ君」

「どうしてこんなこと…」

どうしてだって?

そんなこと分かりきったことじゃないか。












「君のことが好きで好きで、しょうがないからだよ」

「す…き…?」

「そうさ」

だからこうやって












縛って、閉じ込めて…












ここは、僕とミカゲ君の二人だけの世界。












「これは僕の愛のカタチさ」












抱きしめれば息をのむミカゲ君。

「その反応嬉しいな。まるで











期待してくれているみたいで」











その期待に僕は応えないと。

「君のことは僕が守るよ」











誰にも見られず、触れられず












僕だけを見ていれば、












君は…。



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クギミカ












「1ーAミカゲ君。旧視聴覚室に来なさい。1ーAミカゲ君。新幹線のように旧視聴覚室に来なさい」











いつもの呼び出し











今日はいったい何だ?




「失礼します。授業で作ったマフィンです。いつもお疲れ「バシンッ」」

「そんなことより」

いつもどおりの反応。

僕はもう慣れた。

「これを見なさい」

指されたのはいつものスクリーン。

「…今回も僕の責任ですか?」

「当たり前です」











いつも通り進行中











「今回はとある学校の教師が生徒に好意をもってしまった。もちろん2人は相思相愛。しかし!」

バシッと指示棒が向けられる。

「生徒は明るくて気さくな少年。当たり前だがクラスの友達と話もする。それが原因なんです」

「あの…いつもみたいな感じになってないんですけど…」

原因も問題も分からない。

「分かりませんか?」

ズイッと近づき僕の顎を持ち上げる。











「嫉妬ですよ」











「え…」

どこの世界にも存在するんだと思った。

「じゃあこっちの世界でその2人をより親密に、信頼できる関係にしたらいいんですね」

いつもみたいにややこしいことじゃない。

「そう簡単にいきますかね?」

先生の口元は怪しい笑み。

「だっていつもみたいに異常なことじゃないですよね、嫉妬なんて」

誰もが抱くもの。

だから簡単だと思ってた。

「それに異性とのことは前にもあっ「誰が異性間だと言いましたか?」」

「へっ?」











「同性愛ですよ。この2人は」











スクリーンに写る人達が同性愛。

と言うことは











「こっちの世界も…同じ?」

「そうですね」

困った。

非常に困った。

「だ、誰なんですか!」

相手が分からないとどうにもできない。

「制限時間は24時間。間に合わなければ教師は生徒を監禁、拘束し自由を完全に奪うことになります」

「そんな…」

僕が失敗すれば生徒の人生が狂わされてしまう。

生き地獄が待っている。

「…やります。で、さっきから言ってるんですけど今回は誰ですか?」

クギウチ先生は教えてくれていない。

いつもなら教えてくれるのに。

「こっちでは教師はその生徒に興味をもち大切に大切に面倒みています」

そんな先生はいたかな?

「でも当の生徒はあまり教師に会おうとしません。生徒は自分の気持ちと教師が向ける愛情に気づいていない」

…クラスメイトに心当たりはない。

じゃあ誰?

首を傾げるとクギウチ先生はニヤッと笑う。

「分かりませんか?」

「…はい」

冗談でもなんでもなく本当に分からない。

「今回は教えることはできません」

少しずつクギウチ先生がが近づいてくるから反射的に後ろに下がってしまう。

「せん…せい?」

壁まで追いやられてクギウチ先生に挟まれる。











「あなた自身が気づかなくては意味がない」











耳元で囁かれると耳が熱い。

「僕…自身?」

「えぇ。あなたしか知り得ないこと」

頬を撫でられれば顔が熱い。











「さぁ、今から24時間ですよ。ミカゲ君」











気づかされた











僕の…気持ち…




 END



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