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戦いのその先に(佐助+幸村)




雨の中。

全身を真っ赤に染めた幸村は、ただ空を見ていた。

冷たい雨にうたれているにもかかわらず幸村は動こうとしない。

「いつまでそうしてるつもり?」

「…あぁ…」

佐助の声かけにも上の空で、その瞳に映っているものがなんなのか佐助には分からない。

「はぁ…」

出陣して日が浅い頃は毎回戦場に立ったままの幸村を、佐助は何度も見ていた。

最近はなかったのだが…。

「そろそろ戻らないと風邪ひくよ」

佐助がゆっくり腕に触れると、幸村の身体は冷たく冷えきっていた。

「…佐助…寒い…某は











生きておるのか?」











「…っ、当たり前。何言ってんの旦那」

佐助が腕をぐっと掴むと、幸村の表情が緩む。

その表情が儚くて

それでも雨は降り続いた。




次の日。

「だから言ったでしょ、旦那?」

幸村は風邪をひいた。

「この程度のことで寝てはおられぬ!佐助!今すぐ相手を…」

かすれた声で一生懸命話をする幸村に、いつもの熱い雰囲気はない。

「だから佐助!!」

幸村は必死に佐助の手を掴むが、その力さえもいつもより弱い。

なにより高熱のせいで頬は赤く染まり、息づかいもあらい。

瞳も潤んでいる。

(旦那もこんな表情するんだ…)

佐助は場違いなことを考えるが、めったに見られない幸村を目の前に自然と口元が緩む。

「とにかく旦那は風邪をひいてんの」

「しかし…」

「…大将命令…だって」

「…っ…!!」

幸村にとって武田の存在は絶対。

それが少し悔しいと佐助はときどき思う。











まさに、今。











「ほら、旦那」

幸村を横にさせ、布団をかける。

「佐助…」

「なに?」

「…かたじけない…」

耳まで真っ赤にした幸村は急いで布団で顔を隠す。

「おやすみ、旦那」

少しだけ見えている幸村の額に佐助は口づけをおとす。

それに対して幸村は布団の中に隠れる。

「また来るね、旦那」

佐助の気配が無くなったのを確認しゆっくり布団から顔を出す。











「…これで熱が上がったら…佐助のせいにこざる…」










今の幸村には

戦場での面影はなく

幸せそうな表情だった。




END.
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ハッピーバレンタイン

ハッピー バレンタイン

ディノ雲ver.




今日は2月14日。

「恭弥」

いつもと変わらないはずの1日。

「何」

「愛してる」

最近聞かなかった言葉を僕の耳元で囁く彼。

「そう。それで?」

「今日だけは…











お前の時間を俺に下さい」











僕が正式に雲の守護者になってから

彼と僕との関係は以前と変わった。

ボンゴレ同盟ファミリーの1つ、キャバッローネファミリーのボスであるディーノ。

ボンゴレ雲の守護者である僕。

「…なにそれ…」

それ以降、彼は1歩後ろに下がるようになった。












2人でいる時間がなくなった。

仕事以外で声を聞くことがなくなった。

僕だけに見せる笑顔がなくなった。

抱き締められることがなくなった。











「耐えられない…お前が…足りない…」

背中に感じる温かさ

彼の香り

「恭弥がいないと…生きていけない…」











「ねぇ」












今日は2月14日。

大切な人に想いを伝える日。











「僕の口から言うのは今日だけだよ」












だから、伝えよう











「君がいない毎日で












僕は壊れてる」












彼から贈られるたくさんのキスと

彼が残すたくさんの証

それは

甘く、熱い

快感。




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Happy Birthday


静臨

※キスシーンがあります











「ハッピバースデイ トゥーユー、ハッピバースデイ トゥーユー」












1月28日。

今日は俺にとって、

池袋にとって、

世界にとって、

きっと大切な日。

きっと…?

いや、確実に大切な日。

大嫌いで、大嫌いで、どうしようもなく愛しい

彼の生まれた日。











「ハッピバースデイ ディア 静ちゃーん」











ヒトがやってるみたいにプレゼント買いに行った。

ヒトがやってるみたいにケーキを買いに行った。

歌を歌いながら池袋へ行った。

プレゼントはよくわからなかったから右手にはケーキ。

左手には真っ赤なリボン。










「ハッピバースデイ トゥーユー」












なんか楽しくてニヤニヤ。

「あ、静ちゃーん!!」

見知った姿に声をかける。

「いーざーやー!」

聴きなれた声に口が緩む。

「またこりもせずここにきやがって…いいかげんにしねぇーか」

静ちゃんがかまってくれるのは凄く嬉しくて

「ねぇ、静ちゃん。これあげるから今日は休戦」

右手に持っていたケーキを差し出す。

「一緒に食べようよ」

サングラスの奥の瞳が驚いているのが分かる。

「…だ、騙されねぇーぞ!今度は何を企んでやがる!」

「いやだなぁ。静ちゃんの誕生日を祝いたいだけなのに」

ケーキのはいった袋を静ちゃんの右手に持たせる。

「でね、静ちゃん。プレゼントなんだけど、モノじゃなくてもいいよね」

「…は?」

怒ってない静ちゃんを見るのは凄く久しぶりで

なんか、楽しい。

「はい。プレゼント」

左手に持っていた真っ赤なリボンを静ちゃんの首にかける。

「プレゼントは…












オ・レ」











静ちゃんの唇にキスをすれば

静ちゃんの瞳の色が変わった。

分かりやすい静ちゃんが

大嫌いで、大切。

「覚悟はできてんだろうなぁ、臨也」

返事の代わりにもう1度キス。

すぐに静ちゃんの舌が俺の口内に入ってきて、暴れる。

生き甲斐できない気もするけど、気にしない。

お互いが離れれば銀の糸が2人をつなぐ。

「ほら、静ちゃん」











ハッピバースデイトゥーユー

ハッピバースデイトゥーユー

ハッピバースデイディア

静ちゃん











「俺をもらって?めちゃくちゃにして?」











ハッピバースデイトゥーユー…

再会


ジョカエリ




「やっと会えたね…











エリオット」










エリオットの首につながれている鎖がジャラっと鳴る。

「今更…何しにきやがった」

「つれないなぁ。せっかく愛しい人に会いにきたっていうのに」

「俺は会いたいなんてこれっぽっちも思ってねー!!」

手や足に鎖はつながれていないから自由に動く。

それでも、首の鎖をはずすことはできない。

「君の意志なんて関係ないよ。俺が会いたいって思ったんだから」

「お前の考えなんて聞いてねーよ











ジョーカー」











エリオットが名前を呼ぶとジョーカーはにっこり笑った。

「やっと俺の名前を呼んだね。やっぱり君も同じ気持ちなんだろう?」

「んなわけねーだろう!俺はただお前の名前を呼んだだけだ!」

「だからだよ。君も俺を求めている…そうだろう?エリオット・マーチ?」

ジョーカーの指がエリオットの頬を撫でる。

眼帯の奥の瞳にすべてを見透かされているような錯覚に陥る。

「嫌なら拒否しないと。このまま続けちゃうよ?」

「…くっ…」

逃れたくても身体が動こうとしない。











身体は正直だから。











「ほら、やっぱり君も望んでいたんだね。帽子屋のボスじゃあ満足できなかったんじゃないかい?」

「…そんな…ことっ…」

「へぇー、彼とそういうことしてたんだね。ブラッドと…」

ジョーカーの指は服の上からエリオットの鎖骨をなぞる。












「さぁ。ショーの始まりだよ」




END



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友達

ユイミカ
Webアンソロ企画参加小説










ねぇ、ミカゲ君

僕の気持ちとどいた?

伝わった?

分かってもらえた?

うん、そうだね。

さすがミカゲ君だ。

君は

僕の











最高の友達だよ。




























「僕にはユイカイ君だけです」











やっと言った。

僕への愛の告白。

「よかったよミカゲ君。これで僕達、相思相愛だね」

僕が笑ってもミカゲ君は笑わない。

「ねぇ、ミカゲ君?」

頬を撫でれば身体がビクッとはねる。

呼吸が速く、浅くなる。

「嬉しいな。僕が触れるとこんなに感じてくれるんだね。ほら」

両手で首をつかめばミカゲ君の瞳は大きくひらかれた。

「ユイ…カ…イ君…」

「何?ミカゲ君」

「どうしてこんなこと…」

どうしてだって?

そんなこと分かりきったことじゃないか。












「君のことが好きで好きで、しょうがないからだよ」

「す…き…?」

「そうさ」

だからこうやって












縛って、閉じ込めて…












ここは、僕とミカゲ君の二人だけの世界。












「これは僕の愛のカタチさ」












抱きしめれば息をのむミカゲ君。

「その反応嬉しいな。まるで











期待してくれているみたいで」











その期待に僕は応えないと。

「君のことは僕が守るよ」











誰にも見られず、触れられず












僕だけを見ていれば、












君は…。



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