「父になる」

言葉が出てくるようになった息子の、アンパンチがとてもかわいい。

普通は「アーン、パーンチ！！」かな。

息子のは「アンパンチィ」

とってもかわいい声とイントネーションが絶妙にマッチして、妻さんと僕にとってはメロメロパンチだ。

妻さんが娘に「今日は幼稚園で何したの？」って聞いたら、娘が「お母さんにプレゼント作っているのはナイショなんだって。」って言ったらしい。

妻さんが「…」でいると、もう一度「お母さんにプレゼント作っているのはナイショなんだって」だって。

いつも娘との会話は、質問の意味が分かっているようで分かってないから、要領を得なくて、聞きたいことが聞けないのに、聞きたくないことはあっさり聞けたりする。

幼稚園のクラス替えは、妻さんとしても気になるところ。
「先生は誰になったの？」と聞いても、ムニャムニャの回答。
どうやら先生の名前を覚えてこなかったらしい。

先生の名前なんて、娘には関係ないんだろう。
反対にプレゼントを作ったのは、楽しくて仕方なかったんだろう。と思う。

息子の人見知りが復活したようだ。
その、人見知りの方法がとても可愛くて妻さんと僕のツボにはまっている。

泣くのではなく、見ないことにする。

眼をつぶったり、顔を背けたり。
目の前に人が来ていて「それは無理やろー」とツッコミたくなる状況でも、見ないことにする。


そんな息子だけれど、家ではとびきり社交的だ。
今はおてつだいに夢中になっている。

娘が僕に「セロテープとって」と言うと、息子はスタスタと、セロテープのある引き出しの下で「あっ！あっ！」と言う。
僕がセロテープを息子に渡すと、娘のところに持って行って、「あっ！あっ！」と渡す。

食事のあとの食器のお片付けも、進んでやってくれるし、ゴミが落ちていたら拾ってゴミ箱で、「あっ！あっ！」と言ってる。
この前は娘が折った折り紙の力作を捨てようとしていた。


こんな息子が、人見知りで顔を隠すようにしてると、きゅんとしてしまうのは、仕方のないことだと妻さんと話している。

他人が運転する車に乗ったせいで、僕は久しぶりに車酔いをしてしまった。

夕方家に帰ってからも、何だか気分が優れない。
とはいえ、ただの車酔いだからと、気合いで乗り切ろうとしていた。

妻さんがいつものとおり息子をお風呂に入れ、僕が受け取り、体を拭いて、パジャマを着せる。
いつものことで、いつもどおりやったつもりだった。

ところが、今度は僕が娘とお風呂に入るときに、「ちょっと来て」と妻さんの声がした。

行ってみると、妻さんに抱っこされて風呂上がりの一杯を飲んでいる息子のオマタ辺りが濡れて、床も水浸し。
僕は何が起きたのかわからなかった。
「なんでオムツはいてないの？」と妻さんに言われて、ようやくはっと気が付いた。

妻さんのため息が一番効いた。
たしか、娘にも一回やったオムツ忘れ。
懲りずにまたやってしまった。
ごめんね。

息子の寝相が極度に悪い。

夜中に目が覚めて隣を見たら、息子の顔が変な方向に向いて、近くにある。
僕の隣は妻さんのはずなので、驚いてよく見てみると、妻さんの上に息子が乗っている状態だということがわかった。
それも、妻さんの首の上辺りに、のけ反った息子が横たわっていた。

あとから妻さんに聞いたら、実は妻さんも起きていて、苦しかったらしい。
そりゃそうだ。

息子は起きているときも、妻さんに甘えまくっているのに、寝ているときもこんな感じで甘えている。

「将来、反抗期になったら、この事実を暴露してやろう」
妻さんは、冗談っぽく言うけれど、笑ってしまうくらいの甘えん坊だから、効果的なのではないかな。