2008-10-27 07:21
光雪。
裏ではないです。裏寸前ですが、とりあえず裏で王道のあの薬が登場します。
カプ?カプというより、光→雪っぽいです。
キスすらない。けれど寸前(笑)
苦手?な方はご注意ください…。
―――――
「げっ…なんだそりゃ」
「レモネードですが、何か?」
□優しさに御用心□
締め切りが近い。1時間前である。
物凄く急いで原稿を仕上げなければならない。
そんな状況で、雪見がパソコンにかじりついていると、後ろから涼やかな声を掛けられた。
振り返る余裕がないので耳だけを傾ける。
「何だ?」
「先輩。これでも飲んで、一息ついてはいかがです?」
「…んな暇あるように見えるか?」
「いいえ。…では、こちらに置いておきますから、よろしければ。」
デスクの隅に音もなく置かれたのは、いつも雪見が使っているマグカップ。
レモネードだろうか。暖かく甘酸っぱい香りが鼻をつつく。
チラリと視線をパソコンから雷光に移す。
彼はソファーに静かに座っていた。
…気持ち悪い。
正直、雪見はそう思った。
控えめ過ぎる。それ以前に、レモネードを入れるなんて…妙だ。
普段は構ってくれと言わんばかりに、ウザイくらい付きまとってくるというのに。今日はやけに大人しい。
恐る恐る、マグカップを手にとり口を付ける。
香りも普通。
味も…普通だ。
益々恐ろしい。
が、そんな思考も仕事の忙しさですぐにどこかへ飛んでしまった。
カップに何度か口付けて、猛スピードでキーボードを打つ。
雷光は、我関せずといった様子で膝を抱えて天井を見上げている。
無言。
静か過ぎる空気の中、雪見のキーボードの音だけが響いた。
締め切り2分前。
雪見の指が止まった。
「間に合った〜」
腕を天井へ伸ばして、大きく深呼吸。
達成感に表情が緩むと同時に、徹夜続きの疲れがどっと押し寄せる。
さて、寝るか。
雪見が立ち上がると、雷光も此方を見て一緒に立ち上がった。…柔らかい笑みを浮かべて。
美しい笑みである。
だから尚更気味が悪い。
「な、何だよ雷光。どうしたよ」
「私は何も。先輩こそ、何もないんですか?」
「は?俺だって何も…」
ない。
そう言うつもりで口を開いた途端、雪見の体に異変が起こった。
(な、んだ…?)
ぐらりと、視界が揺らぐ。
そして、何とも言えぬ熱が奥底から込み上げてきた。
それは全身を駆け巡り、脳までをも麻痺させる。
それが何なのか、分からない程無知ではない。
きちんと分かる。この感覚は知っている。
けれど、何故、今。
段々曖昧になってゆく意識の中、雷光が近付いてくるのがわかった。
思わず後ろへ下がろうとして、椅子の背もたれにぶつかる。
衝撃に耐えきれず、足がもつれる。
――倒れる。
そんな思考が雪見の頭を支配し始めたところで、背中に手が差し込まれ、支えられる。
誰。
疑問を持つまでもなかった。
「先輩?大丈夫ですか?」
「らいこ…、てめ…」
絞り出した声には、気迫などなく。
ゆれる視界の中に映る雷光は、柔らかな笑みを浮かべたままだ。
素直に、むかついた。
「先輩。寝室までお運びしますよ?」
「いらん。自分で…、ぅ」
腕から逃れようともがけば、びくりと体が震える。
服の擦れたところから、体が触れたところから、熱が増していく。
息を殺して、何でもない素振りをしても、身体に力が入らない。
(これは、まずい…)
高まる身体に対して、どんどん心は青ざめていく。
不味いと思うも思うだけで、熱に邪魔されて考えが全くまとまらない。
ぐるぐると同じところを回っているだけで、どうしようも答えが出ない。
そうこう考えている内に、抵抗していた手はいつしか雷光の服を握りしめていた。
それを見た雷光は、更に笑みを深めて。
雪見の膝の裏に腕を差し込み、持ち上げる。
俗に言う、お姫様抱っこというものだ。
人生20年以上生きていて、まさか親以外の人間にされるとは思いもしなかった。
一瞬状況を掴めずポカーンとする雪見に、雷光は穏やかに話かける。
「寝室まで、お運びしますよ」
「ちょ…ちょい待てって。これはやだ…」
「ふふ。そんなことを言える状況ですか?」
確かに。
いやいや、どちらにしても大丈夫な状況にはならないだろう。
雪見はさらに青ざめる。
「先輩。今楽にしてあげますからね」
「や、やめてくれ…お願いだから放っておいてくれ」
か細く響く雪見の声。
雷光がそれに従うはずもない。
かくして。
寝室へ運ばれた雪見。
その運命やいかに…?
#end#
この先はもう…
っというか、初の光雪が薬て…何故だ。ホントはもっとほのぼのしたものが書きたかったのに。
気を使う雷光。
↓
気味が悪い
↓
実は企み
↓
なんと薬。
あれ。
他にほのぼのなものを書いていて進まなかったんですが、これを書き出したら早かった。
薬は何かって……はは。もうアレですよ。
裏では王道?のあの薬です。
ある程度の薬に耐性のある雪見。
雷光…あのレモネードにどんだけ混ぜたんだよ。
つか、気付くよね。雪見なら気づかない筈ないよね。
…徹夜で疲れていたんですよ、きっと(んないい加減な)
"