二月十四日。
今日はバレンタインデーである。
『賑わっていますね』
夕飯の買い物を終えた日本は、街中であたりを見回してくすりと笑う。
『国民の皆さんが嬉しそうにしていると、私も嬉しくなります。でもそろそろ退散しなければ』
若い人たちが賑わう中で和服姿の彼があきらかに浮いているのは明らかだった。日本はいそいそと帰路につく。
歩いて数十分もすれば日本の家がみえ、日本は寒いから早く家の中へ入ろうと気持ち歩く速度を速めた。
しかし、ふと今日はまだポストの中を見ていないことを思い出したため、家に入る前にポストをのぞいた。
『おや……?』
中には一枚の封筒。日本は手にとると、差出人の名を探す。しかし差出人の名前は見当たらず、そのかわりに糊付けのところに「SWALK」の文字を見つけた。
日本は一瞬考えた後、ふふっと笑って家の中に入っていった。
『来月にこの差出人さんへお返しを贈らなければいけませんね』
日本がそっと「SWALK」の文字へ口付けると、封筒からはほのかにバラの香りがした。
END